第962回 フランス勢の望み、UEFAカップ(5) パリサンジェルマンもマルセイユも準々決勝で敗退
■苦しい状況のフランス勢
フランス勢とウクライナ勢が対戦することになったUEFAカップ準々決勝の第1戦は、マルセイユもパリサンジェルマンも厳しい結果となった。現在ウクライナリーグで首位のディナモ・キエフと対戦したパリサンジェルマンはホームでスコアレスドローに終わる。一方、昨季のウクライナリーグのチャンピオンで現在2位のシャフタル・ドネツクと対戦したマルセイユはアウエーで0-2と敗れる。
ホームのスコアレスドロー、アウエーの0-2の敗戦も絶望的な結果ではないが、かなり苦しいことは事実である。
■国内での成績が対照的なパリサンジェルマンとマルセイユ
さて、準々決勝の第2戦の戦いを紹介する前に、国内リーグの状況も紹介する必要がある。UEFAカップの決勝トーナメントが始まったのは2月19日のことである。それ以来マルセイユはUEFAカップの試合を5試合戦う傍ら、国内リーグを7試合戦っている。つまり、決勝トーナメントが始まってからは、UEFAカップの試合と国内リーグの試合をほぼ半々の割合で戦っている。この間のマルセイユの国内リーグの戦績は5勝2分、シャフタル・ドネツクにアウエーで敗れた3日後にホームでグルノーブルに4-1と勝利し、首位の座を盟主リヨンから奪っている。他方、パリサンジェルマンは国内リーグに加え、フランスカップのベスト8決定戦も戦っている。国内の8試合の成績は3勝2分3敗と芳しくなく、リーグの順位は2位から6位に急降下、得意なはずのフランスカップも格下のロデスに敗れ、姿を消している。
このように上り調子のマルセイユ、下り坂のパリサンジェルマンと国内の状況は対照的であるが、このフランス国内では人気ナンバーワンを争うチームであること、そしてフランスのクラブでは、両チームだけが、欧州カップの決勝で勝利したことがあるのである。
人気の両チームが出場するとあって、キックオフの時間がずらされ、パリサンジェルマンの試合は18時30分、マルセイユの試合は20時45分にそれぞれ始まることになった。
■パリサンジェルマンのミカエル・ランドロー、ミスを連発し、3失点
必勝を期すパリサンジェルマンはベテランのクロード・マケレレを起用し、主将を任せる。勝利または得点を取っての引き分けが決勝進出となるパリサンジェルマンであったが、4分にいきなり先制点を奪われる。その直後にパリサンジェルマンも反撃を試みるが得点には至らない。16分にはパリサンジェルマンがゴール前のピンチを迎える。パリサンジェルマンのDFがヘディングでクリアしたボールをGKのミカエル・ランドローが自らのゴールに押し込んでしまう。さらに、後半にもランドローは決定的なミスを犯す。パリサンジェルマンはゴールから約30メートルの地点でFKを与える。このFKをランドローがクリアしたが、ちょうどディナモ・キエフの選手の足下、このチャンスボールを難なくゴールに決めたディナモ・キエフは3-0でパリサンジェルマンを一蹴、ウクライナのチームとして初めて欧州カップでの四強入りを決めたのである。
■シュートのシャワーも実を結ばなかったマルセイユ
パリサンジェルマンが惨敗し、フランス勢同士の準決勝の夢が敗れた直後、マルセイユでは試合が始まった。第1戦で敗れているマルセイユは少なくとも2点を奪わない限り決勝には進出できない。立ち上がりからマルセイユは攻め続ける。
序盤から数多くのチャンスをつかむが、得点をあげることはかなわない。ホームで攻撃的なマルセイユに対し、守備的なシャフタル・ドネツクは好機を狙う。そして30分、ベロドロームが沈黙する。30分、左サイドからの攻撃でシャフタル・ドネツクのフェルナンジーニョが角度のないところからシュートを決め、マルセイユは先制点を許してしまう。この失点で4点が必要になったマルセイユは攻め続け、シュートを放ち続ける。ようやくマルセイユのゴールが生まれたのは43分、ハテム・ベンアルファが同点ゴールを決め、ハーフタイムを迎える。
攻めるマルセイユ、シュートを打つマルセイユ、しかしゴールは遠く、険しい。マルセイユが捨て身の攻勢に出たロスタイムには、逆にシャフタル・ドネツクのルイス・アドリアーノに勝ち越し点を奪われ、マルセイユは第2戦も1-2と敗れてしまう。
参考までに両チームのシュート数は、マルセイユ30本、シャフタル・ドネツク5本、さらに第1戦の数字はマルセイユ13本、シャフタル・ドネツク12本、マルセイユは圧倒的に攻めながらも勝利に見放されたのである。
4月16日、欧州の舞台からフランス勢が消えたのである。(この項、終わり)