第965回 国内カップ、フィナーレ(1) ベスト8に残ることができなかったパリサンジェルマンとリヨン
■3月になって行われたフランスカップのベスト8決定戦
前回までの本連載ではリーグ戦で首位を走っていたリヨンをマルセイユが逆転したことを紹介したが、今回からは残り2つのタイトルであるフランスカップとリーグカップについて紹介しよう。
本連載では第932回から第936回にかけて年明けに行われたフランスカップとリーグカップの模様を紹介し、フランスカップについてはベスト16、リーグカップについては決勝に進出する2チームが決まったことまでお伝えしてきた。
フランスカップのベスト16は1月終わりに出揃ったがベスト8決定戦は3月初めに行われ、リーグカップは2月初めに準決勝が行われ、決勝戦は4月25日に行われる。両方とも次の試合との間の間隔が大きく開き、2月はほとんど国内のカップ戦が予定されていない。2月は代表とクラブの国際試合の月なのである。
そして3月になってフランスカップの試合が行われた。フランスカップのベスト8決定戦には1部から9チーム、2部から5チーム、3部に相当するナショナルリーグと4部に相当するCFAから1チームが進出した。3月3日と4日に行われたベスト8決定戦では大きな驚きを与えた試合があった。
■雪中の一戦、パリサンジェルマンが先制点
それは3部に相当するナショナルリーグから唯一残ったロデスがパリサンジェルマンをホームに迎えた1戦である。ロデスはフランス中南部のアヴェロン県の県庁所在地である。人口は3万人弱、そして肝心のサッカーのチームであるがナショナルリーグでも12位であり、中位以下の成績である。中南部とはいえ山間部であるためにロデスは降雪、7000人の観衆で一杯になったスタンドに、パリからの応援団はわずか50人程度である。
試合はカップ戦を得意とするパリサンジェルマンが本領を発揮する。1部2位でカップ戦の巧者はロデスのゴールを開始早々から一方的に攻める。前半9分にはゴールから約30メートルの位置からFKを得る。ジェローム・ロタンが蹴ったボールに合わせたのはDFのサミー・トラオレ、パリサンジェルマンは難なく先制する。その後もパリサンジェルマンは攻撃の手を休めず攻め続けたが、前半は結局得点なく1-0とリードして折り返す。
■後半にロデスが追いつき、延長後半にロデスが勝ち越し点、追加点
1点のリードで安泰かと思われた試合展開であったが、状況は急変した。66分にロデスは速攻から同点に追いつく。パリサンジェルマンのGK、フランス代表から外れたばかりのミカエル・ランドロー、痛恨の失点である。降雪は激しくなり、ボールコントロールもままならない中でパリサンジェルマンは攻め続ける。しかし、得点をあげることができず、時計の針は90分、前後半15分ずつの延長戦に突入した。
延長戦に入るとパリサンジェルマンの動きが鈍くなる。ロデスは3人の交代選手枠を延長戦開始時に使い切る。一方のパリサンジェルマンは交代枠を1人残したままで延長前半を終える。そしてパリサンジェルマンは3枚目のカードを延長後半の109分に切る。ところが、114分、ロデスは勝ち越し点を上げる。沙汰に気落ちしたパリサンジェルマンからロデスは追加点を118分に奪い、ロデスはパリサンジェルマンを延長戦で3-1と下したのである。
■ベスト8に1部リーグの首位と2位が残れず
これ以外の7試合であるが、1部勢と2部勢の対戦が4試合あった。その中で、2部リーグのチームが1部リーグのチームを下したのは、1試合であり、2部のギャンガンが試合終盤のバカリ・コネの決勝点で1部のルマンを退けた。それ以外の3試合は1部のチームがベスト8入りした。グルノーブルがPK戦の末にディジョンを振り切る。また、トゥールーズはブローニュ・シュール・メールを、モナコはアジャクシオをそれぞれ2-0と下す。
唯一CFAから残っていたヴィットレは2部のスダンに0-2と敗れ、ベスト8はすべてプロチームとなった。そして、1部同士の戦いは2試合である。ブルターニュ対決となったレンヌとロリアンの試合は2-0とレンヌが勝利する。また、リールとリヨンの試合は本連載第963回で紹介したとおり、ロスタイムのゴールでリールが勝利する。
この結果、ベスト8は1部5チーム、2部2チーム、そしてナショナルリーグ1チームとなったが、この時点でリーグ首位のリヨンと2位のパリサンジェルマンがそろって姿を消したのである。(続く)