第175回 マルタ、イスラエルと連戦(4) 主将ジネディーヌ・ジダンの活躍で4連勝

■注目の主将にジネディーヌ・ジダンを任命

 主将マルセル・デサイーのいないフランス代表。過去に主将としてフル出場した選手が今回のメンバーにいないことから、主将を誰がつとめるかが注目された。マルタ戦の前々日の木曜日に記者会見が行われ、ジャック・サンティーニ監督はジネディーヌ・ジダンを主将に任命することを発表した。2月12日のチェコ戦では精彩を欠いたジダンであるが、サンティーニ監督はジダンを天性のリーダーであると表している。ジダンはデサイー不在時に主将を務めたこともあり、2001年9月1日のチリ戦(本連載第1回から第4回を参照)、2002年3月27日のスコットランド戦(本連載第44回から第48回を参照)では後半にデサイーがベンチに退いた後、キャプテンマークを渡されている。一方、サンティーニ新体制の初戦である昨年8月21日のチュニジア戦では3バックシステムでスタートした先発メンバーにデサイーがいなかったため、ジダンが主将を務め、後半にデサイーが出場してきた時点でキャプテンマークを譲っている。今回はキャプテンマークを譲る相手もおらず、ジダンの主将としての資質が問われるところである。

■青一色のフェリックス・ボラールでゴールラッシュ

 さて、普段の週末は「血と黄金」の赤と黄色に染まるランスのフェリックス・ボラール、青一色に衣替えした3万6000人のファンの前に姿を現したイレブンはGKファビアン・バルテス、DFは中央にウィリアム・ガラスとフランク・シルベストル、右にリリアン・テュラム、左にビシャンテ・リザラズ、守備的MFはクロード・マケレレとブノワ・ペドレッティ、攻撃的MFは主将ジダンが1人で担い、3人のFWは中央にダビッド・トレゼゲ、右にシルバン・ビルトール、左にティエリー・アンリである。
 試合は開始1分にバルテスが警告を受け、相手FKからピンチを迎える局面もあったが、その後はフランスが安定した試合運びをする。なかなかゴールネットを揺らすことができなかったが、36分には主将としてこの試合に期するものがあるジダンの左CKをビルトールがファーポストで受けて先制点を決める。その2分後、この試合が代表初先発となるペドレッティのパスを受けたアンリが追加点。
 後半に入るとゴールラッシュとなった。54分にはアンリがヘッドで追加点。そしてその3分後ペナルティエリア内でリザラズが倒され、フランスにPKが与えられる。ペナルティスポットにボールを置いたのは主将のジダン、難なく決めて4点目。ジダンのゴールは実に昨年3月27日のスコットランド戦以来のことである。70分にはファン待望のアンリ-トレゼゲのコンビでパスをつなぎ、トレゼゲが5点目。そして80分、右サイドのサニョルからのセンタリングにジダンがヘッドで決めて6-0となり記録的大勝となる。

■ジェローム・ロタン、代表デビュー

 この主将のゴールの直後、アンリに代わって姿を現したのが第173回の本連載で紹介したジェローム・ロタンである。ロタンは25歳の誕生日の前々日に代表デビューを果たした。実は左サイドの攻撃陣の切り札であるロベール・ピレスが足首を痛めたため、マルタ戦直前にリタイアしている。代替選手を招集する時間的な余裕がなく、19人で2試合を戦うことになるため、左サイドの攻撃的MFとしてロタンは4月2日のイスラエル戦でも期待されそうである。

■次の対戦相手はグループ2位のイスラエル

 また、グループ2はこの日もう1試合、キプロス-イスラエル戦が行われ1-1のドローであった。イスラエルはこのグループ2ではフランス、スロベニアに次ぐ第3シード。最近のワールドカップや欧州選手権の予選では本大会出場こそならないものの、あと一歩という成績を残しているイスラエルである。今予選は国内情勢の緊張によりイスラエルは試合消化がままならず、キプロス戦以外で行った試合は、昨年10月のマルタで2-0と勝利をおさめた試合のみである。マルタには2-0と勝っており、キプロス戦の引き分けとあわせて、2試合で勝ち点4となり、グループ2位。フランス戦で勝ち点をあげれば、プレーオフ出場以上の成績に前進する。フランス戦はイスラエルのホームゲームであるが、イスラエル情勢の緊迫により、イタリアのパレルモでの変則開催。そのようなハンディキャップはあるものの、4連勝で勝ち点12と独走するフランスにとって、決して侮ってはならない相手である。(この項、続く)

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