第238回 スロベニアを倒し、7連勝でポルトガル行き決定

■予想通りの展開で本命-対抗の直接対決

 ちょうど1年前に始まった欧州選手権予選、グループ1の本命はフランス、対抗はスロベニアと目され、残すところあと2試合。予想通りの展開となり、フランスは6連勝で勝ち点18、スロベニアは4勝1分1敗で勝ち点13の2位。この両雄が9月10日にスロベニアの首都リュブリャナで対戦した。フランスは勝ちか引き分けならば最終戦を残してグループ首位を確定し、来年の本大会の出場権を獲得することになる。
 スロベニアを代表するリュブリャナ大学は日本の群馬大学と学生交流協定を締結し、この交流協定に基づいてスロベニアで生活した多くの日本人の若者が昨年のワールドカップの際に活躍したことから、日本の皆さんにとってはなじみの深い国であろう。しかしながら、フランスにとっては旧ユーゴスラビアとは多くの対戦を経験してきたが、その一つであるスロベニアの地をフランス代表が踏むのは初めてのことである。このような未知の土地でフランスはポルトガル行きのチケットをかけた戦いに臨むことになる。

■欧州選手権通算100試合というメモリアルマッチ

 さて、このスロベニア戦にはもう1つの重要な意味がある。それはこの試合が1958年に始まった欧州選手権の予選・本大会を通算してこれがフランスにとって100試合目という記念すべき試合なのである。100以上の試合を行ったのは旧ソ連から通算したロシア(103試合)、デンマーク(103試合)、スペイン(102試合)だけであり、コンスタントに本大会でも上位に進出している証である。これまでのフランスの対戦成績は55勝26分18敗、そして総得点は199点、総失点は99であり、1試合あたり平均して2点とって1点取られているという成績である。
 是非ともこの記念すべき100試合目の試合で通算200ゴールを決めて、ポルトガル行きのチケットを獲得したいフランスのメンバーは、GKファビアン・バルテス、DFはリリアン・テュラム、マルセル・デサイー、ミカエル・シルベストル、ビシャンテ・リザラズ、MFはクロード・マケレレ、パトリック・ビエイラの守備的な2人と、攻撃的なサイドMFは左にジネディーヌ・ジダン、右にシルバン・ビルトール、FWはティエリー・アンリとダビッド・トレゼゲの2トップという布陣である。キプロス戦を欠場したエースのジネディーヌ・ジダンが復帰し、ロベール・ピレスに代わって出場した以外はキプロス戦と同じメンバーである。また試合直前に守備的MFとしてフランス代表に13年間名を連ねたエマニュエル・プチが引退を表明し、守備的MFのポジション争いも注目を集めたが、結局マケレレとビエイラがブルーノ・ペドレッティ、オリビエ・ダクールを退けて先発メンバーに落ち着いた。

■トレゼゲ、欧州選手権通算200ゴール

 2000年欧州選手権、2002年ワールドカップと連続して初出場を決めているスロベニアにとって、予選のホーム最終戦とあってフランスに対して是非とも勝ちたいところであるが、先制点は9分のトレゼゲであった。記念すべきフランス代表の欧州選手権通算200得点はトレゼゲにとっては通算8得点目となるゴールであった。その後、両チーム無得点のままハーフタイムを迎える。後半68分にはそのトレゼゲをダクールに代え、守りに入る。そしてそのダクールが71分にはアンリとのワンツーから追加点を上げる。プチの引退に伴う守備的MFのポジション争いは混沌としたものになる。

■4大会連続で予選突破

 試合はこのまま2-0で終了、フランスは1試合を残して欧州選手権予選を勝ち抜く。1992年大会以来4大会連続で予選突破となったわけだが、1992年大会、1996年大会も同様に予選では1試合を残して本大会出場切符を獲得したが、本大会ではグループリーグ敗退、ベスト4という成績である。一方、最終戦でようやく本大会出場を決めた2000年大会は本大会で優勝を果たした。是非とも今回は予選ではグランドスラムを達成してほしい。本大会では、今までの予選、本大会で対戦したことのないドイツを倒し、前人未到の連覇、そしてドイツと並ぶ通算3回目の優勝を果たしたいものである。(この項、終わり)

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