第265回 欧州選手権組み合わせ決定(1) フランス、イングランド、クロアチア、スイス
■ポルトガル、フランス、スウェーデン、チェコがAシードに
フランスがドイツと親善試合を行っている週末には欧州選手権のプレーオフが行われ、11月18日に出場16か国が決定した。そして11月30日にリスボンで本大会の組み合わせ抽選会が行われた。
ワールドカップと比べると大陸別大会である欧州選手権は予選と本大会が同じメンバーで争われる。したがって、欧州選手権の予選や本大会、そしてワールドカップ予選で顔を合わせているおなじみの対戦が本大会でも再現するところが、興味深いところである。
まず、抽選会に先立ってシードが発表された。本大会での4グループの力が均等になるように出場16か国をAシードからDシードまでの4グループに分けている。開催国のポルトガルは文句なくAシード入りしているが、残る3つのAシードには前回大会優勝で今大会の予選でもグランドスラムを達成したフランスがまず入る。そして予選のグループ4で首位のスウェーデンとグループ3で首位のチェコが入った。チェコに関しては予選ではフランスに次ぐ7勝1分という成績を残しているため順当であるが、予選で5勝2分1敗、勝ち点17のスウェーデンのAシード入りに違和感をもたれる方も少なくはないであろう。実はこのシード分けに関しては2002年のワールドカップ予選の戦績も加味されるため、予選の勝ち点でスウェーデンを上回るイングランド(勝ち点20)、トルコ(19)、オランダ(19)、ドイツ(18)、ギリシャ(18)に優先してスウェーデンがAシード入りしたのである。
■欧州のビッグ4が揃ったBシード
そしてBシードはイタリア、スペイン、イングランド、ドイツとなり、リーグの力を見れば欧州のベスト4という国が揃った。そしてCシードはオランダ、クロアチア、ロシア、デンマーク、Dシードはブルガリア、スイス、ギリシャ、ラトビアとなった。
11月30日の抽選会にはフランス協会はクロード・シモーネ会長ら幹部と、ジャック・サンティーニ監督、コーチのアンリ・エミール、広報担当のフィリップ・トルノンがリスボン入りした。ちなみに12月5日にはワールドカップ・ドイツ大会の予選の組み合わせ抽選会があり、ほぼ同じメンバーがフランクフルトに赴く。リスボンのアトランティック・パビリオンは欧州のサッカー界のサミットとなる。
■相性のいいクロアチア、今夏勝利したばかりのスイス
さて、注目の組み合わせであるが、フランスはまずグループBに入り、強豪揃いのBシードからはイングランド、Cシードからはクロアチア、Dシードからはスイスがフランスと同じ組に入る。ちなみにグループAはポルトガル、スペイン、ロシア、ギリシャ、グループCはスウェーデン、イタリア、デンマーク、ブルガリア、グループDはチェコ、ドイツ、オランダ、ラトビアとなっている。最大の激戦区はグループDであり、フランスはまずまずの組み合わせであろう。
フランスはイングランド、クロアチア、スイスの順に対戦する。最大の敵であるイングランドについては次回の本連載で紹介することとしたいが、クロアチアはワールドカップ・フランス大会の準決勝で初めて対戦し、逆転勝ちして以来相性はよく、通算成績はフランスの3勝である。スイスについてはこの夏の親善試合について本連載第227回から第231回で紹介したが、アウエーの試合で2-0と勝っている。しかも前回の連載で紹介したティエリー・アンリとダビッド・トレゼゲの2トップを久々に起用し、それが見事に当たり、この秋の快進撃の起点となった試合であることから、選手たちは非常にいいイメージでスイス戦を迎えることになるであろう。実力的にはフランスが両チームよりも優っているが、初戦の結果ならびに内容次第ではフランスの勝利は磐石であるとは言えない。
■最大の関門は初戦で対戦するイングランド
最大の関門となるのは初戦で対戦するイングランドである。初戦で負けても残り2試合に連勝すれば決勝トーナメント進出という考え方もある。しかし、前回の大会で初戦と第2戦で連勝して控えメンバーで第3戦を戦うことができたこが優勝の一因であったことも考えれば、優勝を狙う位置にいるフランスは初戦のイングランド戦から勝ち点3を狙いたいところである。近年フランスの力が充実しているとは言え、イングランドの実力は侮れない。しかも初戦でリスボンで対戦すると言うことは非常に大きな意味を持っているのである。(続く)