第335回 欧州連覇目指すフランス(1) ポルトガル行きの23人発表

■充実したシーズン後に行われる欧州選手権

 前回の本連載で紹介した5月29日のフランスカップ決勝を最後に、フランス国内のサッカーシーンは長いバカンスを迎える。来季への英気を養うこの休暇であるが、今年は6月に欧州選手権が行われるため、代表選手はポルトガルでの戦いが終わるまでバカンスはお預けであり、ファンにとっては決勝のある7月4日まで一喜一憂の日々が続く。今季のフランス・サッカーはこれまでの連載でご紹介したとおり、欧州カップ戦ではモナコ、マルセイユをはじめとするチームが活躍し、またリーグ戦も独走モナコをリヨンが逆転して3連覇を飾り、2部からは名門サンテエチエンヌが復活することになった。このようにクラブチームの活躍が目立つ一年であったが、フランス代表も欧州選手権の予選で8戦全勝と言うグランドスラムを達成するとともに、世界記録に並ぶ14連勝を記録し、充実したシーズンであった。

■5月18日に発表された23人のメンバー

 フランスは前回大会に続く連覇を狙っている。フランスの初戦は大会開幕翌日の6月13日のイングランド戦であるが、5月18日にジャック・サンティーニ監督はポルトガルに行く23人の選手を発表した。
 GKはミカエル・ランドロー(ナント)、ファビアン・バルテス(マルセイユ)グレゴリー・クーペ(リヨン)、DFはジャン・アラン・ブームソン(オセール)、ビシャンテ・リザラズ(バイエルン・ミュンヘン)、ウィリアム・ガラス(チェルシー)、マルセル・デサイー(チェルシー)、ミカエル・シルベストル(マンチェスター・ユナイテッド)、リリアン・テュラム(ユベントス)、ビリー・サニョル(バイエルン・ミュンヘン)、MFはパトリック・ビエイラ(アーセナル)、クロード・マケレレ(チェルシー)、ロベール・ピレス(アーセナル)、ジネディーヌ・ジダン(レアル・マドリッド)、シルバン・ビルトール(アーセナル)、ジェローム・ロタン(モナコ)、オリビエ・ダクール(ローマ)、ブルーノ・ペドレッティ(ソショー)、ルドビック・ジウイー(モナコ)、FWはルイ・サア(マンチェスター・ユナイテッド)、ティエリー・アンリ(アーセナル)、ダビッド・トレゼゲ(ユベントス)、スティーブ・マルレ(マルセイユ)、という陣容になった。

■初めての大舞台が10人、4大会以上連続エントリーは8人

 偶数年に欧州選手権とワールドカップと言うビッグタイトルの本大会があるが、読者の皆様も良くご存知の通り1996年欧州選手権ベスト4、1998年ワールドカップ優勝、2000年欧州選手権優勝という栄光が続いた後、2002年ワールドカップではグループリーグ敗退という屈辱を喫している。
 23人の選手のうち、これが初めての本大会と言う選手は実に9人(クーペ、ブームソン、ガラス、ロタン、ダクール、ペドレッティ、ジウイー、サア、マルレ)に上る。さらに2002年ワールドカップでメンバー登録されながら出場機会のなかったランドローを加えれば、二桁の10人が本大会初出場である。2002年のワールドカップの際は同様の選手が6人しかおらず、大幅な増加である。一方、1996年欧州選手権から5大会連続してエントリーされたのはバルテス、デサイー、リザラズ、テュラム、ジダンと言うチームの柱となっている5人の中心選手である。そして地元開催で優勝した1998年ワールドカップから4大会連続エントリーとなるのはアンリ、トレゼゲ、ビエイラの3人と主役級のメンバーである。2000年欧州選手権から3大会連続エントリーとなる選手はビルトールだけである。一方、2002年ワールドカップだけに出場し、いい思い出の残っていない選手はマケレレ、サニョル、シルベストルの3人である。

■ポルトガルが故郷のピレスが復帰、三冠なるか

 ここまでの数字を足すと22人。残りの1人はピレスである。ピレスは1998年ワールドカップ、2000年欧州選手権に出場し、それぞれ優勝に貢献した「純粋二冠選手」である。ピレスは2002年ワールドカップでも期待されたが、前年秋の負傷のため、エントリーできず、大きな痛手を負ったフランスは惨敗する。そのピレスも復帰し、ベテラン、新人が混合し、代表歴のバラエティがあふれるチーム構成となったのである。ピレスはポルトガル出身の父親を持ち、少年時代をポルトガルのブラガで送っている。そのピレスが三度目に出場する大会でもまた栄冠を獲得するのであろうか。(続く)

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