第351回 ポルトガルで活躍するフランスリーグの選手たち
■フランスリーグの選手の活躍が控えめな欧州選手権
ギリシャとの準々決勝に敗れ、ポルトガルを去ったフランス代表であるが、フランスのサッカーが完全にポルトガルの地から去ったわけではない。本大会にはフランスリーグに所属する選手が20人出場している。アフリカの代表チームにはフランスのクラブに所属する選手が多く、ワールドカップやアフリカ選手権はフランス色の濃い大会となっているが、欧州選手権となるとフランスリーグ所属の選手の活躍は控えめである。
■ファビアン・バルテス以外はほとんど出場機会がなかったフランス勢
まず、20人の国別の分布であるが、最多はフランスの8人である。ポジション別に列挙するとGKはファビアン・バルテス(マルセイユ)、グレゴリー・クーペ(リヨン)、ミカエル・ランドロー(ナント)と3人ともフランスのクラブに所属、DFではジャン・アラン・ブームソン(オセール)、MFはブルーノ・ペドレッティ(ソショー)、ジェローム・ロタン(モナコ)、シドニー・ゴブー(リヨン)、FWはスティーブ・マルレ(マルセイユ)というメンバーである。
しかし、この8人の中でまともに試合に出場したのは全試合でフル出場したGKのバルテスだけであるが、全試合で失点を喫している。それ以外の選手は先発出場もなく、イングランド戦に出場したのはバルテスのみ、クロアチア戦は試合終盤にベドレッティがオリビエ・ダクールに代わって12分間、スイス戦の後半ロスタイムにブームソンがウィリアム・ガラスと交代出場、ギリシャ戦でロタンがロベール・ピレスに代わって11分間出場と言う具合であり、フィールドプレーヤーはわずか3人、合計で24分間しか出場をしていない。今季の欧州カップで活躍をしたフランスのクラブであったが、その勢いをポルトガルでの戦いに持ち込めなかったことは残念である。
■グループリーグで敗退したスペイン、クロアチア、スイス、ブルガリア勢
欧州カップでの活躍と言うとモナコのフェルナンド・モリエンテス(スペイン)とダド・プルソ(クロアチア)の活躍が記憶に新しく、この2人は両国でそれぞれ唯一のフランスリーグ所属選手であり、期待に応えて得点も奪っているが、チームは共にグループリーグで敗退してしまっている。
フランスの8人に次ぐ3人のフランスリーグ勢の選手を抱えているのが隣国スイスとチェコであるである。スイスについては本連載第346回でアレクサンドル・フレイ(レンヌ)、ファビオ・セレスティーニ(マルセイユ)、パトリック・ミューラー(リヨン)の3人を紹介したが、今大会では試合には出場したものの、決勝トーナメント進出のための活躍をすることができず、グループリーグ最下位に終わった。ストライカーのフレイは無得点に終わった上にイングランド戦で相手選手を侮辱したことから、15日間出場停止という処分を受けてしまう。また、セレスティーニは今大会限りでスイス代表から退くことを表明し、有終の美を飾ることができなかった。
スイス同様グループリーグ最下位に沈んだのがブルガリアであり、リールのウラジミール・マンチェフが途中交代の切り札として期待されていた。しかし、マンチェフの出場機会はわずか1試合、初戦のスウェーデン戦で0-3とリードされた76分に出場するが試合の流れを変えることはできず、逆に2点を奪われて0-5と大敗を喫する。残り2試合には出場機会がなく、期待に応えることができなかった。
■活躍したスウェーデンのカールストロム
ここまで紹介した選手は不本意なポルトガルでの思い出となったが、逆に活躍した選手を紹介したい。スウェーデンにはキム・カールストロム(レンヌ)とポントゥス・ファルネルド(ストラスブール)の2人のフランスリーグ所属のMFがいる。ファルネルドは出場機会に恵まれなかったものの、カールストロムはトップ下のポジションで全試合に出場している。惜しくも準々決勝でオランダにPK戦の末敗れてしまったが、PK戦では最初のキッカーとして成功している。
■決勝戦での対決なるか、全勝チェコと開催国ポルトガル
そして、今大会準々決勝まで4連勝と言う成績を残している唯一のチーム、チェコにはフランスリーグの選手が3人いる。GKのペトロ・チェフ(レンヌ)、攻撃陣のヤロスラフ・プラシル(モナコ)、ステパン・バチョウセク(マルセイユ)であり、チェフは決勝トーナメント進出を決めた後のドイツ戦以外の3試合に出場、プラシル、バチョウセクはドイツ戦に出場している。チェフはもちろん準決勝以降も先発出場するが、残りの2人も準決勝以降でラッキーボーイになる可能性もある。
最後に忘れてはならないのが開催国ポルトガルのストライカーであるパウレタである。闘志あふれるパウレタがまだ今大会は無得点である。地元ファンの待望するパウレタの初ゴールが生まれるのは準決勝であろうか、はたまた決勝戦であろうか。(この項、終わり)