第699回 リトアニア、オーストリアと連戦(5) ニコラ・アネルカの個人技でリトアニアに勝利

■ラグビーのナショナルトレーニングセンターで合宿

 前回紹介した5人の代表未経験者を含む23人のメンバーはリトアニア戦の4日前の20日に集合した。23人のうちフランスリーグに所属する選手は14人、国外のクラブに所属する選手は9人となった。このうちリヨンの選手は8人であり、不調とは言っても国内でナンバーワンの力を誇るチームであることを物語っている。
 また、国外のメンバーについてはイングランド5人、スペイン2人、イタリア1人、ドイツ1人となったが、国外でリーグ戦首位のチームに所属しているのはバルセロナのリリアン・テュラムだけである。
 さて、この23人が集合したのはクレールフォンテーヌではなかった。クレールフォンテーヌが改装中であるため、エッソンヌ県のマルクシスにあるラグビーのナショナルトレーニングセンターを使用する。2月のアルゼンチン戦ではサンリスの施設を使用したが、今回はラグビーの施設であるとはいえナショナルチームの利用する設備を使用する。

■攻撃陣の人材不足により、アネルカの1トップ

 そのフランス代表のメンバーは試合の前日の23日にリトアニアの首都カウナスに移動する。試合会場のダリウス&ジレナス競技場の収容人員はわずか8000人、競技場は超満員の観衆で埋まった。このカウナスに初めて登場したフランス代表の布陣は、前回紹介したとおり負傷による欠場者の存在を象徴したものとなった。
 前回の連載で攻撃陣に負傷者が相次いだことから駒不足となり、FWはニコラ・アネルカの1トップとなった。MFは攻撃的な位置の両翼には左にフローラン・マルーダ、右にシドニー・ゴブー、守備的なMFは中盤の底にクロード・マケレレ、その前方にジェレミー・トゥーラランと新人のラッサナ・ディアラが位置する。守備陣は通常通りで右からビリー・サニョル、リリアン・テュラム、ウィリアム・ギャラス、エリック・アビダル、そしてGKはグレゴリー・クーペである。また、この試合は7人の控えメンバーが登録され、カリム・ベンゼマは登録メンバーから外れたが、サミール・ナスリ、フレデリック・ピキオンヌ、アブ・ディアビはベンチ入りし、代表デビューのチャンスである。

■リトアニアの守備を破ったアネルカが値千金のゴール

 試合開始からフランスは積極的に攻める。両サイドバックのサニョル、アビダルも攻撃参加する。しかしながら、リトアニアの守備陣に手を焼き、なかなかいい攻撃の形を作ることができない。またリトアニアも決定的なチャンスがあったが得点をあげることができない。前半は両チーム得点をあげることなく、0-0でハーフタイムを迎える。
 アウエーゲームとはいえ、フランスは引き分けで終わるわけには行かない。そしてこの試合初めてゴールネットを揺らしたのはニコラ・アネルカであった。時間は73分、個人技でリトアニアの選手を交わして放ったシュートが決まる。
 ここからリトアニアは同点に追いつこうと次々と選手を交代させる。しかしながら、フランス守備陣は同点ゴールを許さず、1-0という最少得点差でアウエーゲームで勝ち点3を獲得する。また、試合終了間際の89分、ディアビがマルーダに代わって出場し、代表デビューを飾ったのである。

■フランス、ウクライナ、スコットランドが勝ち点12で並ぶ

 フランスは28日は予選の試合はなかったが、ライバルたちの試合結果は気になるところである。24日にはスコットランドはグルジアに終了2分前に決勝点を上げて勝ち点3を獲得、ウクライナはフェロー諸島相手にアウエーで2-0と勝利する。
 28日にはウクライナがホームにリトアニアを迎えて1-0とこちらも最少得点差の勝利、リトアニアは上位陣相手に互角の戦いを続けている。そしてイタリアはホームでスコットランドと対戦、2-0と勝利する。この結果、グループBは消化試合数は異なるが、勝ち点12でフランス、ウクライナ(以上4勝1敗)、スコットランド(4勝2敗)が並び、イタリアが勝ち点10(3勝1分1敗)で追うという展開になり、次の予選の試合は6月上旬に2節行われるのである。(続く)

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