第761回 スコットランドにホームで敗れる(3) 圧倒的に攻めるがノーゴールで敗戦、3位に転落

■出場停止のティエリー・アンリ以外はイタリア戦と同じ布陣

 10年ぶりのパルク・デ・プランスでの試合となったフランス代表、イタリア戦でティエリー・アンリが警告を受け、警告回数が累積2回となり、出場停止となってしまった。フランス代表のメンバーはそのアンリに代わってダビッド・トレゼゲを起用した以外はイタリア戦と全く同じ布陣となった。GKはミカエル・ランドロー、DFは中央にジュリアン・エスクードとリリアン・テュラム、サイドバックは左にエリック・アビダル、右にラッサナ・ディアラ、守備的MFにクロード・マケレレと、パトリック・ビエイラ、攻撃的MFは右にフランク・リベリ、左にフローラン・マルーダ、FWのニコラ・アネルカとトレゼゲとなり。リヨンの選手は先発にはいなかった。地元パリサンジェルマンの選手は前回の本連載で紹介したランドローだけであるが、アネルカがかつてパリサンジェルマンに所属したことがある。

■10年前から代表に入っている3選手

 また、11人の選手のうちこれまでパルク・デ・プランスで代表として戦ったことがある選手はビエイラ、テュラム、マケレレの3人である。10年前と言うとワールドカップフランス大会の予選がたけなわであったころであり、10年以上代表で活躍している選手がフィールドプレーヤーに3人もいることは日本の皆様にとっては驚きであろう。そしてこの試合で主将を務めるビエイラはデビューもパルク・デ・プランス(1997年2月26日:オランダとの親善試合)であり、10年ぶりにブルーのユニフォームで踏みしめるパルク・デ・プランスの芝の感触は格別であろう。

■ラグビーのワールドカップでは明暗が分かれた両チーム

 交通の便がよく、長らくフランス代表の本拠地であるパルク・デ・プランスでの75回目の試合には4万2000人の観衆が集まり、超満員となった。そして試合前にはフランスのラ・マルセイエーズ、スコットランドのフラワーズ・オブ・スコットランドが演奏される。フラワーズ・オブ・スコットランドはこの3日前にもサンテエチエンヌのジェフロワ・ギシャールで演奏されている。ラグビーのワールドカップでニュージーランドと同じグループCに入ったスコットランドはサンテエチエンヌとエジンバラでグループリーグを戦うことになるが、初戦でポルトガルに56-10と快勝したのである。ちなみにスコットランドのグループCにはイタリアも入っており、決勝トーナメントに進出できる2位の座を争うと見られているが、両チームはグループリーグの最終日の9月29日にサンテエチエンヌで対戦することになっている。
 ラグビーのワールドカップの話題が出たが、フランスは開幕戦で苦手のアルゼンチンに敗れ、6度目のワールドカップで初めて黒星スタートとなった。フランスを中心に繰り広げられているラグビーのワールドカップの第1戦ではフランスとスコットランドは対照的な結果となったが、その影響を引きずるような試合となった。

■ボール支配率72%でもノーゴール、スコットランドに連敗

 試合はフランスが一方的に支配する。前半のボール支配率は75%であり、イレブンの動きも悪くない。次々とトレゼゲ、アネルカがゴールを襲う。しかしながら、ゴールネットを揺らすことができずに45分が終わる。後半に入ってもこの状態は変わらなかった。攻めるフランス、守るスコットランド、得点シーンはなく、観衆に焦りが見られる。そして67分、焦りは失望となる。スコットランドのジェームズ・マクファデンが35メートルのシュートを放ち、この試合初めての得点となる。そしてこのゴールでランドローは代表8試合目にして初失点となった。その後フランスは主将のビエイラに代えて、カリム・ベンゼマを投入、さらにサイドバックのアビダルをベンチに下げてサミール・ナスリを投入し、リスクを犯しても同点、逆転を狙う。ところが、無得点のまま90分を過ぎ、ロスタイムは3分となる。ロスタイムにはCKのチャンスもあったが、得点を上げることができず、フランスは1年前のアウエーの試合に続いて連敗する。前後半のボール支配率は72%であったが、パルク・デ・プランスでは1993年11月17日のワールドカップ米国大会予選のブルガリア戦以来の敗戦となる。そしてホームアンドアウエー方式の予選で同じ相手に連敗したのもこのブルガリア戦以来のことである。
 グループBはスコットランド(勝ち点21、7勝2敗)が首位に立ち、ウクライナに勝利したイタリア(20、6勝2分1敗)が2位、そしてフランス(19、6勝1分2敗)は3位に落ちてしまったのである。(この項、終わり)

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