第773回 フェロー諸島、リトアニアと連戦(1) 残り試合全勝なら自力でチケットをつかむフランス
■ラグビーの前座となったサッカーの欧州選手権予選
ラグビーのワールドカップ一色となった今年の秋のフランスであるが、日本の読者の皆様から「サッカーの欧州選手権について取り上げてほしいと、リクエストをいただいた。
国内の主要な競技場はラグビーのワールドカップのために使用され、連日テレビではラグビーがトップニュースとなる。9年前のサッカーのワールドカップをしのぐ観客動員、テレビの視聴率であるが、その盛り上がりも13日夜の準決勝イングランド戦の敗退で一段落した感がある。
実はこのイングランド戦は土曜日の夜の21時と言うゴールデンアワーに行われ、TF1で中継されたが、そのTF1が夕方の17時から放映したのが欧州選手権予選のフェロー諸島-フランス戦である。フェロー諸島はフランスと時差は1時間、通常であるならばフランスのゴールデンタイムにサッカーの試合を行うことも可能であるが、ラグビーのワールドカップの準決勝の放映をフランスが出場するかどうかに関わらず優先したのである。このようにサッカーのフランス代表の試合はラグビー中継の前座となってしまったのである。
しかし、そのサッカーも来年の6月にはオーストリアとスイスで行われる欧州選手権で主役となるはずである。そして主役となるためには現在戦っている予選で2位以内に入ることが必要である。
■3強に絞られた本大会出場争い
残り3試合ないしは4試合を残している段階でのグループBの上位の順位を確認しよう。1位から3位までは9試合消化し、残り3試合と言うチームが並んだ。1位はスコットランドで7勝2敗で勝ち点21、2位はイタリアで6勝2分1敗で勝ち点20、3位はフランスで6勝1分2敗の勝ち点19となっている。そして8試合しか消化していないウクライナが4位であり、4勝1分3敗で勝ち点13、この4チームに本大会出場の可能性が残されているが、実際にはフランスまでの争いであろう。
■唯一の3強直接対決、スコットランド-イタリア戦
さらに上位3チームの残り試合について紹介しよう。10月の13日と17日、11月の17日と21日がインターナショナルマッチデーである。まずフランスは10月13日にアウエーでフェロー諸島戦、10月17日はナントでリトアニア戦となる。そして11月17日は予選の試合はなく、21日にウクライナとアウエーで戦う。さてライバルのスコットランドは10月13日にホームのウクライナ戦、10月17日はアウエーのグルジア戦、そして11月17日はホームでイタリア戦となって全日程を終了する。そして2位のイタリアは10月13日にホームでグルジア戦、10月17日は試合がなく、11月17日にアウエーでスコットランド戦、11月21日にホームでフェロー諸島戦となっている。
この残り試合の日程を見ると、上位3強同士の戦いは、11月17日のスコットランド-イタリア戦だけであり、ウクライナまで含めた4強相手の試合は10月13日のスコットランド-ウクライナ戦と11月21日のウクライナ-フランス戦だけである。これまでの戦いぶりからして上位チームが下位チーム(グルジア、リトアニア、フェロー諸島)相手に星を落とすとは考えにくく、上記の3試合が本大会行きを左右することになろう。さらに、フランスより上位のスコットランドとイタリアは直接対決があることから、フランスが残り試合を全勝すれば、少なくともスコットランドかイタリアいずれかのチームより上位になる。したがって、3位のフランスも自力でチケットを手にすることができる。
■最大勢力はリヨン勢に代わり5人選出のアーセナル勢に
そのために、フェロー諸島、リトアニアとの試合で連勝し、11月のウクライナ戦に挑みたいところである。フランス代表はこの連戦のために23人のメンバーをリストアップした。
9月初めのイタリア、スコットランドとの連戦に招集したメンバーからフランソワ・クレルク、サミール・ナスリ、パトリック・ビエイラ、アルー・ディアラ、ダビッド・トレゼゲが外れ、アブー・ディアビー、マテュー・フラミニ、ジェローム・ロタン、ルイ・サアが加わった。このうち代表出場経験がないのは23歳でイングランドのアーセナルに所属するフラミニだけである。
国内で例年ほど勢いのないリヨンからの選出は3人だけにとどまった。リヨンに代わって最大の母体となったのが5人を輩出したイングランドのアーセナルである。そしてもしフラミニが代表の試合に出場すれば、アーセナルから史上11人目のフランス代表選手となるのである。(続く)