第855回 23人のフランス代表メンバー(2) 代表デビュー戦で2ゴールのバフェタンビ・ゴミス
■メンバー決定前最後の試合となるエクアドル戦
前回の本連載ではフランスリーグの終了後、クレールフォンテーヌに30人の選手を招集したことを紹介したが、この30人を23人に絞らなくてはならない。
この代表選手の絞込みはこれまでの代表チーム、各所属チームでの実績に加え、5月27日のグルノーブルでのエクアドルとの親善試合が最終のテストとなる。
■6人が4つの椅子を争うストッパー
通常の場合、23人と言うのは各ポジションごとに2人、そしてGKは3人という内訳にあるであろう。前回紹介した30人をポジションごとに並べてみよう。
GKはグレゴリー・クーペ、セバスチャン・フレイ、ミカエル・ランドロー、スティーブ・マンダンダの4人のうちの1人が外れることになる。順当であれば、実績のあるクーペ、ランドロー、そしてフレイがメンバーになると予想される。
右のサイドバックはビリー・サニョルとフランソワ・クレルクでほぼ決定であろう。同様に左のサイドバックはエリック・アビダルとパトリス・エブラの2人であろう。落選者が出るのは6人が4つの椅子を争うストッパーである。リリアン・テュラム、ウィリアム・ギャラスが当選確実であるが、それを追うジュリアン・エスクーデは負傷し合宿には合流したもの練習を休んでいる。また、今季ASローマで絶好調であったフィリップ・メクセスは5月26日のイタリアカップ決勝のインテルミラノ戦で負傷しており、2人の負傷者が彼らを追う。また、ジャン・アラン・ブームソンは昨年夏依頼代表の試合に出場していないのが弱みである。また、右サイドバックも兼ねることができるセバスチャン・スキラッチは代表戦では重要な試合にあまり出場していない。
守備的MFには6人がエントリーされ、4つの枠を争う。ベテランのクロード・マケレレ、パトリック・ビエイラは間違いなくメンバー入りするが、彼らのバックアップとしてラッサナ・ディアラとジェレミー・トゥーラランがリードしている。ボルドーのアルー・ディアラ、アーセナルのマテュー・フラミニは所属チームで活躍し、リーグ戦の優勝争いに貢献したが、4人の枠に入るのは難しいであろう。
■唯一の代表初招集のバフェタンビ・ゴミス
攻撃的MFの右サイドはフランク・リベリとシドニー・ゴブーで決定であろう。逆に左サイドはフローラン・マルーダが当選確実で、バックアップのもう1人については意見の分かれるところである。先発メンバーとしての資質を評価するのであれば、サミール・ナスリ、終盤に交代要員として投入するならばハテム・ベンアルファ、どちらを評価するかは最後までわからない。
そしてFWには5人がリストアップされている。ティエリー・アンリ、ニコラ・アネルカ、カリム・ベンゼマ、ジブリル・シセの4人でほぼ決まりであろうが、今回の合宿が初めての代表招集と言うバフェタンビ・ゴミスの存在も気になる。
■後半から登場したゴミス、派手な2ゴールで衝撃のデビュー
グルノーブルでのエクアドル戦であるが、ドメネク監督は23人の最終選考を意識した選手起用となった。まずGKはクーペ、ランドローに次ぐ位置にある第3GKのフレイを起用する。ストッパーには主将を務めるテュラムとエスクーデ、サイドバックは右はサニョル、左はアビダル。守備的MFはラッサナ・ディアラとアルー・ディアラ、攻撃的MFは右にナスリ、左にベンアルファ、そして2トップはアネルカとシセである。前半は両チーム得点がなく、特に前半最後の5分間はエクアドルが攻め、テュラムが主将の意地を見せて失点を防いだ。
後半に入る段階でGKのフレイを第4GKのマンダンダに、守備的MFのアルー・ディアラをフラミニに、FWのシセをゴミスに交代し、ストッパーのエスクーデに代えて左サイドのエブラを投入、前半左サイドを守っていたアビダルがストッパーになる。
このハーフタイムの交代でマンダンダとゴミスが代表にデビューする。この段階では誰も予想しなかったことであるが、ゴミスが大活躍をする。59分にゴミスはベンアルファからパスを受けて見事なシュートを放ち、代表デビュー後15分で初ゴールを記録する。さらに終了間際の86分にもアネルカのクロスを派手なボレーで2点目を記録する。
代表デビュー戦で途中出場2得点、本連載の読者の皆様ならばジネディーヌ・ジダンを思い起こされるであろうが、そのジダン以来の快挙を見せた今季リーグ得点ランキング3位のゴミスの存在がその翌日の代表メンバー決定の焦点となったのである。(続く)