第865回 イタリアに敗れ、グループリーグ敗退(2) 第2戦とフォーメーション、選手を変更

■想像できなかった3位同士での最終戦対決

 昨年暮れの抽選会以来の注目の的となった死のグループCの最終戦は1位と2位のルーマニア、3位で並ぶイタリアとフランスと言う顔合わせになった。
 2年前のワールドカップで世界一を争ったイタリアとフランスが、その直後から行われた欧州選手権予選では同じグループで戦い、さらに本大会でも同じグループで戦うことだけで珍しいことであるが、まさかこの両チームがグループリーグの最終戦を迎える段階で3位以下に位置していると言うことは想像もつかなかったであろう。これはルーマニアの健闘、そしてオランダの驚異的な攻撃力に尽きるであろう。

■守備陣は不動、攻撃陣に手を入れたイタリア

 さて、窮地に立たされたベルリンでのファイナリストたちは両チームともフォーメーション、メンバーの変更を余儀なくされた。イタリアはルーマニア戦では1失点し、PKをストップして引き分けに持ち込んだが、最終ディフェンスラインはGKジャンルイジ・ブッフォン、守備ラインは右からジャンルカ・ザンブロッタ、クリスチャン・パヌッチ、ジョルジョ・キエリーニ、ファビオ・グロッソとルーマニア戦と変更ないメンバーで挑む。
 しかし、MFより前は必勝を期して、攻撃的な布陣とする。ルーマニア戦では守備的MFを2人、攻撃的MFを3人、1トップと言う布陣であったが、フランス戦は守備的MFを1人に減らし、FWの人数を1人から2人に増やしている。ルーマニア戦の2人の守備的MFはダニエレ・デロッシとアンドレア・ピルロであったが、フランス戦はデロッシ1人のみに中盤の底を任せた。ルーマニア戦は左にアレサンドロ・デルピエーロ、中央にシモーネ・ペロッタ、右にマウロ・カモラネージと配置したが、フランス戦はベテランのデルピエーロとカモラネージを外し、左にピルロ、中央にペロッタ、右にジェンナーロ・ガットゥーゾを起用する。そしてルーマニア戦ではルカ・トニ1人だったFWはアントニオ・カッサーニが加わる。

■守備陣に大きな改造を加えたフランス

 一方のフランスは大敗を喫したオランダ戦から守備陣、攻撃陣とも入れ替える。GKはこれまで決していい出来ではないグレゴリー・クーペを継続して起用するが、DFラインは大幅な変更をする。前々回の本連載で紹介したとおり、大敗のきっかけとなった右サイドのビリー・サニョルと中央のリリアン・テュラムをベンチに下げる。サニョルに代えて右サイドにはフランソワ・クレルクを起用するが、テュラムの代役にはCBのバックアップメンバーとしてメンバー入りしたジャン・アラン・ブームソンやセバスチャン・スキラッチを起用するのではなく、左サイドバックのレギュラーであるエリック・アビダルを起用する。そして左サイドDFは控えメンバーのパトリス・エブラを起用する。
 そして守備的MFはクロード・マケレレとジェレミー・トゥーラランでこの試合も臨む。パトリック・ビエイラの復帰はグループリーグ最終戦には間に合わず、ビエイラの勇姿を見るためには、決勝トーナメント進出を決めなくてはならない。

■2トップに戻し、ティエリー・アンリにキャプテンマーク

 攻撃陣はオランダ戦はFW1人で攻撃的MF3人というフォーメーションであったが、FW2人、攻撃的MF2人というフォーメーションに変更した。攻撃的MFは右サイドはシドニー・ゴブーが3試合連続して同じポジションで出場する。そしてオランダ戦では中央を守っていたフランク・リベリーが左サイドに回る。オランダ戦では左サイドの攻撃的MFだったフローラン・マルーダはベンチに下がる。
 そしてFWは、オランダ戦では1得点はあげたものの本来の動きではなかったティエリー・アンリに加え、ルーマニア戦でニコラ・アネルカとともに出場したカリム・ベンゼマが加わる。
 ルーマニア戦とオランダ戦で主将を務めたテュラムをベンチに下げたことからアンリが主将に任命される。
 3位同士で最終戦を迎える両チームであるが、第2戦を引き分けたイタリアは守備陣は不動で、攻撃陣を強化した。第2戦で大敗したフランスは守備陣にも大きな改造を加えた。この選手起用が明暗を分ける伏線となったのである。(続く)

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