第1161回 ルーマニア、ルクセンブルクと連戦(2) ローラン・ブラン監督の選んだ23人
■守備陣は9月と全く同じ代表メンバー
ルーマニア、ルクセンブルグと国内で連戦を行うフランス代表、前回の本連載では9月のベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦にエントリーした選手との入れ替えについて紹介したが、改めて23人の代表選手を紹介しよう。
GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、セドリック・カラッソと3人全員がワールドカップ組であり、9月と同じメンバーである。DFはガエル・クリシー、バカリ・サーニャ、アディル・ラミ、フィリップ・メクセス、ママドゥ・サコ、ブノワ・トレムリナスの6人であり、GK同様9月の連戦と同じ顔ぶれになった。
そしてMFは9人が登録され、アルー・ディアラ、アブー・ディアビ、ラッサナ・ディアラ、ヤン・エムビラ、フローラン・マルーダ、マチュー・バルブエナ、サミール・ナスリ、ヨアン・グルクフ、ブレーズ・マツイディとなりジェレミー・メネスが外れ、ナスリ、グルクフ、マツイディが加わった。
1トップが予想されるFWは5人が登録され、カリム・ベンゼマ、ロイック・レミー、ギヨーム・オラオ、ケビン・ガメイロ、ディミトリ・ペイエであり、ルイ・サアが外れてペイエが初招集である。
■名門サンテエチエンヌから2人が代表入り
今回4人加わった選手のうち、前回紹介したとおりナスリ、グルクフはおそらく先発メンバーとして起用されるであろう。そしてマツイディ、ペイエはまず出場することを目標としたいが、この2人はサンテエチエンヌに所属している選手である。
名門サンテエチエンヌは国内外の大会で大活躍し、リーグ優勝10回は最多記録である。またミッシェル・プラティニをはじめとする多くの名選手を代表に送った。フランスフットボール誌はフランス代表が100周年を迎えた2004年に歴代のフランス代表選手ベスト100を発表したが、100人中14人がサンテエチエンヌの選手であった。1980年代以降は国内外での活躍は目立たなくなり、2部落ちも経験し、緑の熱狂的なサポーターばかり目立つクラブになってしまった。しかし、近年は少し盛り返し、リーグ中位に順位をあげるまでなり、2008-09シーズンにはUEFAカップに出場し、27年ぶりに欧州の舞台で戦っている。代表にもバフェタンビ・ゴミスを送っている。また、国外から大物選手を獲得するようになり、今回のワールドカップで活躍した日本の松井大輔も2008-09シーズンに所属している。
■名門復活の起爆剤になるか、マツイディとペイエ
そのサンテエチエンヌから2人の選手が同時にフランス代表の試合に出場したのは今からほぼ30年前の1981年5月31日までさかのぼらなくてはならない。このサンテエチエンヌがリーグ戦で優勝し、タイトルを最後に獲得した直後のことであり、ブリュッセルで行われたベルギー戦でベルナール・ジャンニーニとパトリック・バチストンが出場している。今回の2人の選出が名門の復活の機会になると信じるオールドファンは少なくないはずである。
■ローラン・ブラン監督の構想から外れた選手たち
8月のノルウェー戦はワールドカップ出場メンバーを外した陣容で戦い、9月、10月とワールドカップ予選の試合が2試合ずつあるが、南アフリカでのワールドカップまで出場していた選手のうちローラン・ブラン監督の構想外となった感のある選手がいる。
エリック・アビダル、セバスチャン・スキラッチは今回も選ばれなかった。そしてワールドカップでの練習ボイコットで1試合出場停止という処分を受けたために、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦に出場の可能性があったにもかかわらず、9月の連戦に選出されなかったジェレミー・トゥーラランは今回も選出されなかった。ストッパーとして出場していたアビダル、スキラッチに関してはラミ、メクセスがストッパーとして安定しており、アビダルの本職の左サイドDFにはクリシーがいる。トゥーラランについても守備的MFとしてはアルー・ディアラ、ディアビー、エムビラ、ラッサナ・ディアラと4人が安定しており、トゥーラランが戻ってくる余地は少ないようである。
このようにしてブラン監督は自らのカラーを徐々に出してルーマニア、ルクセンブルグとの戦いに挑むのである。(続く)