第1257回 フランス代表の東欧3連戦(2) 26人のメンバーが東欧遠征

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスのシーズン終了間際にメンバー発表

 シーズン終了直後で選手の疲労がたまっている中での東欧に遠征して3連戦に挑むフランス代表。シーズン終盤のスケジュールを紹介すると、フランスリーグは5月29日に最終節を終えたが、イングランドのプレミアリーグは5月22日、スペインリーグは21日とひと足早くシーズンを終えた。
 フランス代表はこの3連戦に向けて26人の選手をフランスリーグの最終戦が行われる前の26日に発表した。前回の本連載で紹介したとおり、最初に対戦するベラルーシとの欧州選手権予選が一番大切な試合になることは明白である。本連載第1247回で紹介した人種差別問題に揺れるローラン・ブラン監督がその問題以降初めて選手を選考した。

■3月の連戦よりも微増の26人が選出

 3月のルクセンブルク、クロアチアとの連戦の際は23人を選出しており、今回はアウエーで3連戦と言うことからメンバーの増加が予想されたが、ブラン監督の手元のリストのメンバーはわずか26人、しかも新顔は1人だけという保守的なセレクションとなった。GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、セドリック・カラッソの3人で3月と同じで完全にメンバーが固定した。DFは3月の時と同数の7人であるがメンバーの入れ替えがあった。バカリ・サーニャ、アディル・ラミ、ママドゥ・サコ、パトリス・エブラの4人が連続して選出され、エリック・アビダル、ユネス・カブール、アントニー・レベイエールの3人が昨年11月のイングランド戦以来の復帰となり、ガエル・クリシー、フィリップ・メクセス、ローラン・コシールニーの3人が外れた。まだ守備陣の選手をテストし続けて模索していることの表れであろう。
 MFは1人増えて8人となった。アルー・ディアラ、ヤン・エムビラ、アブー・ディアビ、サミール・ナスリ、フローラン・マルーダ、ヨアン・カバイエ、ブレーズ・マツイディという3月の連戦時に招集されたメンバーに加え、新顔としてソショーの23歳のマルバン・マルタンが加わり、ヨアン・グルクフが外れた。
 そしてFWは8人とメンバーを増強した。ジェレミー・メネス(3月の連戦時はMFとして登録)、ケビン・ガメイロ、ギヨーム・オラオ、カリム・ベンゼマ、ロイック・レミー、フランク・リベリーに加え、2月のブラジル戦以来となるマチュー・バルブエナ、そしてワールドカップの南アフリカ組抜きで戦った昨年8月のノルウェー戦以来の復帰となるシャルル・エンゾグビアが加わる。

■モロッコとの二重国籍のユネス・カブール、パリ出身のマルバン・マルタン

 この中で代表出場歴がない選手は初選出のマルタンに以外に第3GKのカラッソ、DFのカブールの2人である。カブールはフランス生まれの25歳のストッパーの選手であり、かつてはオセールで活躍し、現在はイングランドのトットナム・ホットスパーに所属しているが、モロッコとの二重国籍である。アンダーエイジのフランス代表では活躍したが、フル代表ではまだ出場経験がなく、モロッコ代表の道を選ぶことがあると発言している。この3連戦で出場機会がなければ、モロッコ代表を選ぶこともありうる。
 そして攻撃的MFのマルタンはパリ出身である。パリ周辺の出身選手は多いがパリ市内の左岸の14区の出身であり、15歳まではパリおよびパリ近郊のクラブチームに所属し、特に8歳から15歳まで所属したモンルージュではハテム・ベンアルファのチームメートとして全国大会の決勝に進出したこともある。15歳で育成機関の評価の高いソショーに移籍し、今季はリーグの最優秀若手選手に選ばれた。

■二冠のリールからはアディル・ラミのみが選出

 一方、選に漏れたのがリーグとカップの二冠を獲得したリールのマチュー・ドビュッシーとリオ・マブーバ、ミカエル・ランドローである。リールの二冠は高く評価されてしかるべきである。すでにベテランの域にあるランドローやマブーバ、そして昨年のノルウェー戦の際に招集されながら出場機会に恵まれなかった25歳のドビュッシーは二冠の獲得に貢献しており、選出も予想されたが、今回リールからはラミだけが選ばれるにとどまったのである。(続く)

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