第1308回 欧州選手権予選フィナーレ (2) 負傷者続出でアルバニア戦に臨む11人
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランス代表の大黒柱のカリム・ベンゼマ
10月の欧州選手権予選の2試合に向けてメンバーを選出したローラン・ブラン監督であるが、主力選手の相次ぐ負傷に悩まされることになった。とりわけ、最大の誤算は1トップとしてフランス代表では得点を重ねてきたカリム・ベンゼマの離脱であろう。ベンゼマは所属チームのレアル・マドリッドでは思うような成果を残していなかったが、フランス代表ではトップを任され、これまでの予選では7試合に出場、そして3得点を挙げている。しかもその得点が決勝点として勝利を呼び込むゴールが多く、最もフランスのサッカーファンには信頼されるゴールゲッターである。
■代表チームでは不発の2トップシステム
このベンゼマの不在により、ブラン監督は2トップを採用することを決心する。ブラン監督は前職のボルドーの監督時代にこの2トップを採用して成功を収め、2トップには自信を持っている。しかし、フランス代表では就任した初戦の昨年8月11日のノルウェー戦、欧州選手権予選の開幕戦となったホームのベラルーシ戦と就任直後の2試合で採用したが、ノルウェー戦は南アフリカでのワールドカップ組抜きで戦い、1-1のドロー、そしてベラルーシ戦は0-1と敗れ、2トップではなく、続くボスニア・ヘルツェゴビナ戦、ルーマニア戦は1トップに戻している。予選4試合目にあたる昨年10月のルクセンブルク戦で2トップを採用したが、それ以後は1トップで戦ってきた。2トップの成績は1勝2敗、一方、1トップでの成績は7勝3分である。
ちなみにノルウェー戦とベラルーシ戦はロイック・レミーとギヨーム・オラオが最前線に張り付いた。そして最後の2トップとなったルクセンブルク戦はオラオとベンゼマのコンビであるが、2人とも今回の23人のメンバーには入っていない。
10月7日のアルバニア戦でブラン監督が選んだのはバフェタンビ・ゴミスとロイック・レミーの2人だった。これまでブラン監督は44人の選手を代表に招集したが、そのうち7人は試合に出場していない。ゴミスはこの7人のうちの1人であり、欧州選手権予選のクライマックスで試合に出場できることは来年以降につながるであろう。
■右サイドバックは初代表のマチュー・ドビュッシー
そしてもう1つのレギュラー不在のポジションが右サイドバックである。不動の右サイドバックとなったバカリ・サーニャが負傷で外れたため、このポジションには控えとしてアントニー・レベイエールがいるが、今回、ブラン監督はレベイエールに加えて、マチュー・ドビュッシーを招集する。ドビュッシー自身はすでに昨年のノルウェー戦の際に招集されているが、このときは試合出場の機会がなく、今回は代表デビューのチャンスである。1トップの場合はMFが5人になるため、中央のトップ下に1人あるいは2人が入ることになるが、2トップの場合はMFは4人、中央の2人はどうしても引き気味になるため、攻撃はサイドからが中心になる。したがって、クレールフォーンテーヌでの合宿では両サイドバックはサイドのMFとの連携を中心に練習が行われた。左サイドはパトリス・エブラとフローラン・マルーダのコンビである。右サイドのMFはサミール・ナスリであり、レベイエールとナスリ、ドビュッシーとナスリと2つのコンビがテストされる。この練習の中でナスリとの相性のいいドビュッシーが首脳陣に評価され、ドビュッシーは代表にデビューすることになった。
■主将ウーゴ・ロリス以下11人の先発メンバー
このような負傷者の続出による苦心のラインナップは以下のとおりである。GKはウーゴ・ロリス、直前のパルク・デ・プランスでのパリサンジェルマン戦では2失点を喫したが、パリの南西部の古いスタジアムからパリの北部の新しいスタジアムに場所を変えて、気分を一新したいところである。DFは先述のとおり、右サイドがドビュッシー、左サイドがエブラである。そして中央はヨアン・カブールとアディル・ラミという若いコンビである。MFは守備的な位置に2人、右にヤン・エムビラ、左にヨアン・カバイエが位置する。両サイドは右にナスリ、左にマルーダ、そして2トップは右にレミー、左にゴミス、この11人がスタッド・ド・フランスのピッチに立つことになったのである。