第1330回 欧州選手権組み合わせ決定 (3) 第4シードになったフランス
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■本大会出場への4つの道
11月半ばに行われたプレーオフで来年の欧州選手権に臨む16か国が決定した。この16か国は次の4つのグループに分けられる。開催国2か国(ポーランドとウクライナ)、予選グループで1位になった9か国(ドイツ、ロシア、イタリア、フランス、オランダ、ギリシャ、イングランド、デンマーク、スペイン)、予選グループで2位となった国うち最も成績の良い1か国(スウェーデン)、そしてプレーオフを勝ち抜いた4か国(トルコ、ポルトガル、アイルランド、チェコ)という4つのグループである。
■シード順の決定はUEFAの算定したインデックス
本大会の抽選会は12月2日に行われるが、それに先立って16か国のシード分けが発表された。開催国2か国は自動的に第1シードとなるが、注目すべきはそれ以外の14か国のシード分けである。上記のように本大会へ続く道は4つある。また、FIFAの国別ランキングもある。しかし、シード分けは今大会の予選の結果でもなく、FIFAランキングでもなく、UEFAが独自に算定したインデックスで決められた。
UEFAの算定したインデックスとは、2008年の欧州選手権の予選および本大会の成績を20%、2010年のワールドカップの予選および本大会の成績を40%、2012年の欧州選手権の予選の成績を40%の割合で算出したものである。
■近年の欧州選手権、ワールドカップで振るわないフランス
これによると、フランスは開催2か国を除く14か国のうち12番目、全体では14番目となり、第4シードとなってしまった。これらの国際大会の予選や本大会以外に親善試合の成績も加味されるFIFAランキングはフランスは15位、これは予選突破14か国の中では13番目であることから全体では15番目となり、同じ第4シードにとどまることになる。いずれにせよ、フランスは、2008年の欧州選手権は予選でグループ2位、本大会は1分2敗でグループリーグ最下位に終わり、2010年ワールドカップはプレーオフを経て本大会出場しているが、南アフリカでは1分2敗に終わっている。そして今大会の予選はすでに紹介したとおり、予選グループDで首位になったものの、6勝3分1敗と、首位になった9チームの中では最も悪い成績である。1998年のワールドカップ、2000年の欧州選手権で優勝して以来、フランスは国際大会の本大会で好成績を収めたのは2006年のドイツでのワールドカップだけなのである。そして、このドイツのワールドカップの準決勝でポルトガルを下したのを最後に、本大会では7試合連続で勝ち星から見放されている。
悲観的な要素ばかり並べてしまったが、第4シードになったということは前回の2008年大会も同様である。ワールドカップで準優勝した直後の大会であったが、この時のシード分けに算定されたのは2006年ワールドカップ予選と2008年欧州選手権予選の戦績である。2006年のドイツでの予想外の快進撃の成績がカウントされないため、第4シードになってしまった。フランスが本大会で第1シードになったのは開催国になった1984年大会と1998年と2000年の遺産が残る2004年大会だけなのである。
■出場全16か国のシード順
さて、このシード順を紹介しよう。第1シードは開催国のポーランド(FIFAランキング66位)とウクライナ(55位)、スペイン(1位)、オランダ(2位)、 第2シードはドイツ(3位)、イタリア(9位)、イングランド(5位)、ロシア(12位)、第3シードはクロアチア(8位)、ギリシャ(14位)、ポルトガル(7位)、スウェーデン(18位)、第4シードはデンマーク(11位)、フランス(15位)、チェコ(33位)、アイルランド(21位)となっている。ほぼ、FIFAランキングとUEFAのインデックスは比例しているが、FIFAランキングで9位のイタリアや12位のロシアはUEFAインデックスでは第2シード、いわゆる本番に強いチームである。逆に7位のポルトガルと8位のクロアチアは第3シードにとどまり、本番に弱いところを見せており、近年のフランスもその部類に属すると言えるであろう。(続く)