第1408回 欧州選手権に挑むフランス代表(5) フランク・リベリーとカリム・ベンゼマの活躍でエストニアに圧勝
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■エストニアと初対戦
欧州選手権本大会を前に行われる親善試合、アイスランドには辛勝、セルビアには完勝と、調子を取り戻したフランスは、そのままランスに残り、セルビア戦の翌日の6月1日は地元の子供たちの前で練習を披露する。そして日曜日の6月3日の午後からクレールフォンテーヌに戻り、練習を再開する。フランス代表にとって大会前最後の親善試合はクレールフォンテーヌからバス移動が可能なルマンでエストニアと6月5日に対戦する。
エストニアは大関把瑠都の出身地であることから日本のスポーツファンの皆さんにとってはなじみの深い国であるが、実はフランスにとってはエストニアとの対戦はこれが初めてとなる。
■ルマンで初の代表戦、フランス初のネーミングライツ
また、ルマンについてもかつて日本の松井大輔が4季にわたり所属していたことから、同じく日本のファンの皆様にとってよくご存じの都市であろう。しかし、フランス代表がこのルマンで試合をするのも初めてのことである。ルマンのMMアレーナは2011年にオープンしたばかりの新競技場であり、収容人員は2万5000人でフランス国内では15番目の収容規模を誇る。そしてMMAはルマンに本拠地を置く国内有数の共済組織であるルマン共済の頭文字である。日本や米国では半ば常態化しているネーミングライツをフランス国内で初めて導入したスタジアムなのである。
■けが人続出で重責を担うアルー・ディアラ
このような初物尽くしの中で戦うフランス代表であるが、心配の種がセルビア戦で負傷したヤン・エムビラである。またこの守備的MFのブレーズ・マツイディもけがをして出場できず、このポジションはアルー・ディアラ1人に委ねられることになる。
さて、フランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右にマチュー・ドビュッシー、中央にアディル・ラミとフィリップ・メクセス、左にパトリス・エブラ、守備的MFはアルー・ディアラ、攻撃的MFは右がヨアン・カバイエ、左がフローラン・マルーダ、そしてFW人は右にサミール・ナスリ、左にフランク・リベリー、中央はカリム・ベンゼマである。
エストニアは世界ランキング54位、バルトの古豪チームである。これまでにワールドカップや欧州選手権の本大会に出場したことはないが、今回の欧州選手権ではグループCでイタリアに次ぐ2位となり、アイルランドとのプレーオフに出場し、1分1敗で惜しくも初出場を逃している。
また、エストニアは5月末から6月初めにかけて精力的に親善試合を行っており、クロアチア、ウクライナという本大会出場国とも対戦している。特にフランスと同じグループDのウクライナはホームでエストニアを4-0と破っており、フランスとしてはウクライナ以上のスコアでエストニアを下し、ウクライナに精神的重圧を与えたいところである。
■流れを変えたフランク・リベリーとカリム・ベンゼマ
フランスは立ち上がりからボールを支配する。その後、エストニアが盛り返す時間帯もあり、エストニアの流れになるかとも思われたが、これを断ち切ったのはフランスで好調な選手たちであった。先制点は25分、ベンゼマとリベリーのワンツーパスからリベリーがゴールネットを揺らす。アイスランド戦、セルビア戦に続き、3戦連続で得点をあげたリベリーは絶好調である。そして38分にはベンゼマがCKからスーパーゴールをあげる。フランスは調子のいいリベリーとベンゼマの活躍によって2-0とリードして前半を終える。
さらに後半開始早々にはリベリーからのセンタリングをペナルティスポット付近のベンゼマがゴールに蹴り込み、これで3-0となる。
フランスはこの3点リードした段階から次々と選手を交代させ、懸案となった守備的MFには代表3試合目のローラン・コシエルニーを起用するなど、本来以外のポジションでも選手をテストする。また、攻撃陣はリベリーとベンゼマだけではないと交代して入った選手も意欲的なプレーを見せ、ロスタイムにはオリビエ・ジルーのヒールキックをジェレミー・メネスが決めるという、交代選手たちの活躍でフランスは4-0とウクライナと同スコアで勝利、親善試合3試合を上り調子の中で終え、いよいよウクライナへ旅立つのである。(この項、終わり)