第1412回 開催国ウクライナと対戦(1) 不吉な第1戦ドロー、開催国相手に勝てないフランス
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■欧州選手権、ワールドカップで4大会連続して初戦はドロー
第1戦のイングランドとの試合は一方に押し込み、イングランドのゴールに19本のシュートを浴びせたフランスであるが、シュート数わずか3本のイングランドの厚い守備に阻まれ1-1のドローとなった。グループDで最も力があると目されているイングランド相手に勝ち点1を獲得したことは決して悪い結果ではないであろう。これでフランスは2006年ワールドカップ以来、欧州選手権と合わせて4大会連続グループリーグ初戦は引き分けという結果になっている。
■初戦ドローでグループリーグで敗退した過去2大会
しかし、フランスにとって欧州選手権、ワールドカップでのグループリーグの初戦がドローというのは少々不吉な結果である。
まず記憶に新しいところでは、2010年ワールドカップ、フランスはウルグアイとの初戦はスコアレスドローとなった。この大会で最終的には3位となるチームと引き分けたということは評価できるかもしれないが、第2戦でメキシコに敗れ、第3戦では地元南アフリカに敗れている。2008年欧州選手権でフランスは初戦のルーマニア戦で引き分け、第2戦はオランダに1-4と大敗、第3戦のイタリア戦も0-2といいところなく敗れている。2006年ワールドカップはスイスとの第1戦はスコアレスドロー、第2戦の韓国戦も引き分け、ようやく第3戦のトーゴ戦は後半に得点を重ねて初勝利、グループ2位で決勝トーナメントに進出している。
■ワールドカップ、欧州選手権で開催国に勝てないフランス
第2戦の相手は地元ウクライナであるが、フランスはグループリーグでの開催国との対戦も得意としていない。フランスが欧州選手権、ワールドカップの本大会で開催国と対戦したのは1966年のイングランドでのワールドカップでイングランドに0-2と敗れたのをはじめに、1978年のアルゼンチン・ワールドカップでもアルゼンチンに1-2で敗れ、記憶に新しいところでは2010年のワールドカップ・南アフリカ大会では南アフリカに1-2と敗れ3戦全敗である。
一方、欧州選手権であるが、1992年のスウェーデン大会でスウェーデンと引き分けているが、優勝した2000年大会はオランダに2-3と逆転負けしている。もっともこのオランダ戦はグループリーグの最終戦で、すでに決勝トーナメント進出を決めていたフランスは控えメンバーで戦ったということもあるが、いずれにせよ、欧州選手権においても開催国相手に勝利したことはない。
すなわち、初戦が引き分けというのは決して良い結果ではなく、さらにこれまでのワールドカップ、欧州選手権で勝利したことがない開催国が第2戦の相手である。フランスにとっては厳しい戦いが続く。
■最初の対戦は2000年欧州選手権予選、2試合ともドロー
フランスの対戦相手のウクライナは、ソ連の解体によって誕生したナショナルチームであるが、1996年欧州選手権予選から檜舞台へ挑戦している。これまでに本大会出場を果たしたのは2006年のワールドカップ(ベスト8)だけであるが、本連載の読者の方であれば、2000年欧州選手権予選のことをよくご存じであろう。ウクライナはワールドカップを制覇したばかりのフランス、隣国ロシアなどと同じグループ4に入り、この3チームの争いは大混戦となる。結局勝ち点21のフランスが勝ち点20のウクライナと勝ち点19のロシアをおさえて本大会出場、2位に甘んじたウクライナはスロベニアとのプレーオフに敗れ初出場を逃す。この予選でフランスはウクライナとホーム、アウエーともスコアレスドロー。
それ以降、フランスとウクライナは親善試合2試合、2008年欧州選手権予選で対戦し、通算成績はフランスの3勝3分と優勢である。
しかし、1998年のワールドカップ、2000年の欧州選手権の二冠を獲得したフランス・サッカーの黄金時代に行われたこの予選でフランスと2試合とも引き分け、1ゴールも許さなかったウクライナの力は底知れぬものがあるはずである。(続く)