第1947回 ようこそフランスへ (7) ハンガリー、アイルランド、ウクライナ、スウェーデンがプレーオフ勝者
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■古豪復活、ハンガリーが久しぶりの国際舞台へ
前回までの本連載で10月の予選グループ終了時に予選突破を決めた19チームについて紹介してきたが、いよいよ残りは4つ、プレーオフによって最後の椅子が争われる。プレーオフ出場チームならびにシードチームについては前回の本連載の最後で紹介したが、組み合わせ抽選の結果、ウクライナ-スロベニア、スウェーデン-デンマーク、ボスニア・ヘルツェゴビナ-アイルランド、ノルウェー-ハンガリーという組み合わせになり、左記チームのホームで第1戦が行われることになった。
プレーオフは11月12日から17日までの間にホームアンドアウエー方式で行われることになっており、日程がまちまちである。一番早く日程を消化するのがノルウェー-ハンガリー戦であり、11月12日にオスロ、15日にブタペストで試合が行われた。近年クラブレベルでもチャンピオンズリーグに国内クラブが顔を出しているノルウェーと、代表レベルでもクラブレベルでも全く欧州のトップレベルの戦いから遠ざかっているハンガリーの戦いであったが、ハンガリーはアウエーの第1戦を1-0と勝利し、ホームの第2戦でも2-1と連勝する。1950年代はイングランドに初めてウェンブリーで黒星をつけ、33連勝を飾るなど、マジック・マジャールと呼ばれた無敵の時代があったが、欧州選手権の本大会出場は1972年大会以来実に44年ぶりのこととなる。ちなみにワールドカップも1986年大会を最後に本大会から遠ざかっており、古豪復活となった。
■プレーオフを勝ち抜いたアイルランド、因縁の地フランスへ
ボスニア・ヘルツェゴビナ-アイルランド戦は1日遅れで行われ、第1戦はボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで行われた。両チーム無得点が続いたが、82分にアイルランドはロビー・ブラディが先制点をあげる。昨年のワールドカップに初出場したボスニア・ヘルツェゴビナも86分にエディン・ジェコが同点ゴールを奪い、第2戦に望みをつないだ。
第2戦はアイルランドのダブリンのアビバ競技場に5万人の大観衆を集めての1戦となった。ベテランのジョナサン・ウォルタースが2点をあげてファンの期待に応える。アイルランドは2010年ワールドカップ予選のプレーオフではティエリー・アンリのハンドの前に敗れたが、今回のプレーオフは突破を決め、因縁の地フランスに乗り込むのである。
■6回目のプレーオフでようやく勝ち抜いたウクライナ
そして残り2試合は第1戦が11月14日に行われた。ウクライナ-スロベニア戦はホームのウクライナがアンドリー・ヤルモレンコの先制点などで2-0と勝利する。スロベニアでの第2戦はスロベニアが開始早々に1点を奪うが追加点をあげることは難しく、ロスタイムに入る。ロスタイムにヤルモレンコが同点ゴールを奪い、ウクライナが1勝1分でプレーオフを勝ち抜いた。
ディナモ・キエフやシャフタール・ドネツクという欧州レベルでも活躍するクラブを国内に持つウクライナであるが、ワールドカップ、欧州選手権の予選突破は2006年のワールドカップだけである。1990年代からプレーオフでこれまで5回連続で敗れてきた。これまでにワールドカップ予選のプレーオフで4回、欧州選手権のプレーオフで1回敗れてきたが、これまで唯一の欧州選手権予選のプレーオフでの敗戦、それは2000年大会予選のことであり、その時の相手がスロベニアだったのである。
■ズラタン・イブラヒモビッチ健在のスウェーデン
北欧勢同士の戦いとなったスウェーデン-デンマーク戦はパリジャンのスター、ズラタン・イブラヒモビッチが活躍した。スウェーデンのソルナで行われた第1戦では後半立ち上がりにPKを決め、2-1という勝利に貢献した。
コペンハーゲンでの第2戦は19分と76分に連続ゴールをあげる。地元で意地を見せたデンマークも残り時間で追いついたが、1勝1分のスウェーデンが本大会出場、今季終了時にパリサンジェルマンを去ることが確実なイブラヒモビッチの姿をまたフランスで見ることができるのである。(続く)