第2024回 欧州選手権の直前の2試合で連勝(2) 守備の乱れで2失点、ディミトリ・パイエのFKで勝利
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■アディル・ラミとローラン・コシエルニーがストッパー陣
欧州選手権直前のスパーリングマッチ、なかなか適切な相手が欧州勢にはいない中でアフリカ選手権の最終予選突破目前のカメルーンを対戦相手に選んだということは優勝を目指すフランスにとっては手ごたえのある試合となるであろう。
フランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、アディル・ラミ、ローラン・コシエルニー、パトリス・エブラ、MFは中央の低めの位置にラッサナ・ディアラ、右にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディ、FWは右にキングスレー・コマン、左にディミトリ・パイエ、中央はオリビエ・ジルーである。
チャンピオンズリーグの決勝を戦ったばかりのアトレチコ・マドリッドのアントワン・グリエズマンは休息が必要であり、メンバーから外れる。
ラファエル・バランが離脱したストッパーは追加招集のラミがコシエルニーとコンビを組む。この2人は前回の欧州選手権ではコンビを組んだ。ラミの代表試合出場は2013年6月のブラジル戦以来ほぼ3年ぶりのことである。しかし、前回の本連載で紹介した通り、所属チームのセビリア(スペイン)では好調であり、今季は46試合に出場、今回選出されたDFの中では最も出場時間が長い。ディディエ・デシャン監督のバックアップメンバー以外からの抜擢に応えたい。
■ライオンズの輝きを取り戻したいカメルーン
一方のカメルーン、フランスとはつながりもあり、これまでに多数のタレントを供給してきたライオンズという愛称を持つアフリカの強国である。アフリカ選手権は2000年と2002年に連覇、2000年にはシドニーオリンピックで優勝と絶頂期を迎え、フランスと初めて対戦したのもちょうど2000年10月のことであり、引き分けている。しかし、そのインパクトを超える時代を築けないのが近年のカメルーンであり、ワールドカップでは2010年大会、2014年大会ともグループリーグで3戦全敗と惨敗している。また、現在の代表メンバーを見ても欧州のビッグクラブの主力として活躍している選手はいない。近年の低迷はガバナンスの欠如によりチームマネジメントがうまくいっていないことであると多くの関係者が指摘している。現在の代表を率いるのはベルギー人のウーゴ・ブロースであり、なんとか来年のアフリカ選手権で復活のきっかけをつかみたいところである。
■過去4戦全勝、無失点のナントのボージョワール競技場で守備が破綻
このように決してかつてほど強くはないカメルーン相手にフランスは大苦戦する。13分にカメルーンはGKからのロングキックから一気にフランスゴールに迫り、フランス2部のソショーに所属するカール・トコ・エカンビがシュート、ロリスは辛うじてCKに逃げる。20分にフランスはコマンのクロスをマツイディがボレーで決めて先制点、3万7000人のファンを沸かせた。
しかし、その2分後、カメルーンはニオムのクロスを主将のバンサン・アブバカルがラミをかわしてシュート、ロリスも届かず追いつかれてしまう。1984年の欧州選手権前に建設されたナントのボージョワール競技場は、欧州選手権のベルギー戦でミッシェル・プラティニのハットトリックにより5-0で勝利したことが今でも語り継がれるが、それ以来これまで4連勝で無失点である。フランスはこのボージョワール競技場で5試合目にして初失点を許したのである。
前半終盤の41分にはポグバからのクロスをジルーが左足でシュート、フランスは2-1とリードしてハーフタイムを迎えた。
■終了直前、ディミトリ・パイエがFKを直接ゴールにいれて勝利をつかむ
後半に入り、フランスは追加点のチャンスはあったものの1点リードのまま終盤を迎える。両チームとも重要な公式戦前の親善試合ということもあり、次々と選手を交代させるが、フランスの守備陣は90分メンバーチェンジなしである。同点に追いつきたいカメルーンは終盤はゴール前にボールを入れてくるが、88分、コシエルニー、ラミが次々と競り合いに負け、マキシム・チョウポ・モティンクに同点ゴールを許す。大抜擢のラミであったが、この日は散々な出来であり、期待を裏切った。
それでも90分、パイエがFKを直接ゴールにたたき込んで勝ち越す。セットプレーからのゴールが少ないフランスにとって、3月から合流したパイエのFKは新兵器となりうるのである。(続く)