第2031回 スイスとドロー、首位通過(1) ウーゴ・ロリス、ディディエ・デシャンに並ぶ54試合目の主将
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■引き分け以上で首位通過の決まるフランス
このところ1分1敗と相性の悪かったアルバニアに対し、90分過ぎの2ゴールで勝利を手にしたフランス、決勝トーナメント一番乗りとなった。グループAの最終節は6月19日21時にリール近郊のビルヌーブ・ダスクのピエール・モーロワ競技場でフランス-スイス戦、リヨンのパルク・オランピック・リヨネでルーマニア-アルバニア戦がキックオフされる。
最終戦を迎える団塊のグループAの順位は、フランスが2勝(得失点差+3)で首位、2位は1勝1分(+1)のスイス、3位は1分1敗(-1)のルーマニア、4位は2敗(-3)のアルバニアである。グループAでは、2位以下のすべてのチームに決勝トーナメント進出の可能性が残されている。
フランスはスイスと引き分け以上の場合は首位で通過、敗れた場合はスイスが首位となり、2位通過となる。
■首位通過の場合はグループCの2位チームと対戦
首位通過の場合は26日にリヨンでグループリーグを3位で通過したチームと対戦、2位通過の場合は1日早い25日にサンテチエンヌでグループCの2位チームと対戦する。2位通過の方が決勝トーナメントの準々決勝以降の日程は若干有利であるが、決勝トーナメント1回戦の相手となるグループCの2位には2年前のワールドカップで苦汁をなめたドイツが入る可能性もある。また首位通過の場合は対戦相手がすべてのグループリーグ終了後に決定するが、グループCの最終節はグループリーグの中で最終日に行われるため、対戦相手のスカウティングという意味では首位通過も2位通過も大差はなく、フランスもスイスも首位通過を狙っているという点では同じモチベーションである。ただ唯一の違いは首位通過へのハードルがフランスは引き分け以上であるのに対し、スイスは勝利しなくてはならないところである。
■代表での主将54試合目となるウーゴ・ロリスら守備陣は変更なし
さて、このように微妙なモチベーションの違いの中で両チームは対戦する。フランスの先発メンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、アディル・ラミ、ローラン・コシエルニー、パトリス・エブラと並ぶ。ここまではルーマニア戦、アルバニア戦と変更はない。
なかでもロリスはこの試合も主将を務め、54試合目のキャプテンマークとなる。これは現在の監督のディディエ・デシャンの現役時代の主将経験数と並ぶ。デシャンは代表で103試合出場し、そのうち54試合で主将を務めた。78試合に出場して54試合で主将を務めているロリスの方が高い割合で主将を務め、決勝トーナメント1回戦で新記録を樹立することは必至であろう。
まだ29歳であることから今後も記録を更新し続けと思われるが、欧州のライバル国にはこれをはるかにしのぐ記録が目白押しである。突出しているのはスペインのイケル・カシージャス、実に代表167試合出場で104試合で主将を務めている。イングランドはレジェンドというべきボビー・ムーアとビリー・ライトはいずれも代表で90試合主将を務めている。イタリアのファビオ・カンナバロも79試合で主将を務め、ドイツは西ドイツ時代から主将を務めたローター・マテウスは75試合でキャプテンの重責を全うしている。そしてこの欧州選手権で記録更新中というのがポルトガルのクリスチャーノ・ロナウドである。ポルトガルのこれまでの最多代表主将数は71試合のルイス・フィーゴであったが、クリスチャーノ・ロナウドは大会期間中に記録を更新し、第2戦のオーストリア戦で72試合と記録を更新した。
フランスが他国に比べて最多主将数で劣っていることは意外な感じもするが、ロリスには7月10日に優勝カップを掲げてほしいものである。
■4-3-3システムに回帰、メンバーも大幅に入れ替えた攻撃陣
一方、中盤、攻撃陣は大幅な入れ替えとなった。アルバニア戦の前半に採用した4-2-3-1システムがうまく機能しなかったと判断し、4-3-3システムに戻す。中盤の底にはヨアン・カバイエ、攻撃的な位置には右にムーサ・シソッコ、左にポール・ポグバが並ぶ。攻撃陣は右のウイングにアントワン・グリエズマン、左にキングスレー・コマン、中央はアンドレ・ピエール・ジニャックである。MFとFWの先発6人のうち、アルバニア戦にも先発したのはコマンだけ、デシャン監督はメンバーの休息とリフレッシュを兼ねた選手起用をしたのである。(続く)