第2037回 アイスランドに勝利、準決勝に進出(1) 決勝トーナメントに進出したアイスランド
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■決勝トーナメントに入ってからは日程消化が遅くなるフランス
決勝トーナメント1回戦は今大会で初めてリードを許したものの、アントワン・グリエズマンの2ゴールで逆転勝利したフランス、準々決勝は7月3日、スタッド・ド・フランスで行われる。グループリーグ最終戦から3試合連続して日曜日の試合となる。グループAのシードチームとしてグループリーグの最初の試合を戦ったフランスであるが、決勝トーナメントに入ってからは逆に最も試合消化の遅い部類となる。準々決勝4試合のうち最後に行われる試合に登場する。
■イングランドとアイスランドの勝者と対戦
準々決勝のフランスの相手はアイルランド戦の翌日にニースで行われるイングランド-アイスランド戦の勝者である。大幅に若手を起用して予選は10戦全勝、20年前の自国開催の欧州選手権以来の主要国際大会での上位進出を目指すイングランド、対するアイスランドは人口33万人という小国でありながら、予選ではチェコに次ぐ2位に入る。トルコ、オランダをおさえて堂々の初出場であることは本連載の第1944回で紹介した通りである。しかし、快進撃はここまでで本大会ではグループリーグで敗退するであろうと予想された方が多かったのではないだろうか。しかし、同じ第1944回で紹介したウェールズと同様にグループリーグを勝ち抜いたのである。
■ポルトガルが本命視されたグループFに入ったアイスランド
本大会の組み合わせでは本連載第1949回で紹介した通り、アイスランドは一番低いシードの第4シードとしてグループFに入る。このグループFの第1シードはポルトガル、第2シードはオーストリア、第3シードはハンガリーとなり、ポルトガル以外は近年の国際大会で実績のない国ばかりであり、最も容易なグループであると目された。ほとんどのファンの方はポルトガルの首位は堅く、2位以下が混戦であると予想されたであろう。
ところが第1戦のポルトガル-アイスランド戦は、ポルトガルが先制したもののアイスランドが後半に追いつき、引き分けとなる。またもう1つの第1戦でオーストリアに勝利したハンガリー相手に第2戦でもアイスランドはPKで先制し、このまま大金星かと思われたが終了間際にオウンゴールで追いつかれながらも勝ち点1をあげる。もう1試合はポルトガルとオーストリアがスコアレスドローに終わり、ポルトガルの独走と思われていたグループFは最終節を迎える段階で首位ハンガリー(勝ち点4)、2位アイスランド(勝ち点2、得失点とも2)、3位ポルトガル(勝ち点2、得失点とも1)、4位オーストリア(勝ち点1)と予想外の展開となる。
■グループリーグ最終戦のアディショナルタイムのゴールで2位に入ったアイスランド
ハンガリーが決勝トーナメント進出を確定し、アイスランドとポルトガルは引き分け以上、オーストリアは勝利すれば決勝トーナメント進出という条件であったが、2試合ともドラマチックな展開となった。
アイスランドは前半にヨン・ダディ・ボロバルソンが先制、後半に入ってオーストリアが60分に追いつくが、後半のアディショナルタイムにアイスランドはアルノル・イングビ・トラウスタソンが決勝点をあげ、2-1で勝利し、決勝トーナメント進出を決めたのである。
また、同時刻に行われたハンガリー-ポルトガル戦はハンガリーが得点をあげるとポルトガルが追い付くという展開で、3-3のドローとなった。アイスランドはハンガリーと同勝ち点の2位として決勝トーナメント進出、本命ポルトガルは1勝もできなかったが、決勝トーナメント進出となった。
決勝トーナメント1回戦の対戦相手であるが、グループFの首位突破チームはグループEの2位チーム(この時点でイタリア以外のベルギー、スウェーデン、アイルランド)と対戦するが、2位突破となるとグループBの2位であるイングランドと対戦することになる。
もしアイスランドのアディショナルタイムの1点がなければ、総得点で上回るポルトガルが2位でアイスランドは3位通過だったが、貴重な決勝点のおかげでアイスランドは2位になってしまう。しかし、決勝トーナメントに入ってもアイスランドの旋風は吹き続けたのである。(続く)