第2043回 延長戦でポルトガルに敗れる(1) 決勝に進出したポルトガル
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■決勝戦では強いフランス
1958年のワールドカップ・スウェーデン大会の3位決定戦以来、国際大会で初めてドイツに勝利したフランスは、決勝に進出した。欧州選手権での決勝進出は1984年大会、2000年大会についで3回目となる。またワールドカップでは1998年大会、2006年大会で決勝に進出しており、これまで4回の決勝戦を戦っている。フランスは決勝戦では滅法強く、これらの大会で敗れたのは延長戦でイタリアに屈した2006年のワールドカップだけである。そして地元開催で決勝に進んだのはこれまで2回、1984年欧州選手権と1998年ワールドカップであるがいずれも優勝している。昨年来テロの悲報が続くフランスにとって、今大会はテロとの戦いであり、いわゆるフーリガンの騒ぎはあったが、警備当局の努力により、スタジアム、そして全国各地のファンゾーンでもテロは起こらず、開催国として優勝し、サッカー、スポーツがテロに勝利したことを見せたいものである。
■くみし易しとみられていたグループFで苦戦したポルトガル
さて、決勝の相手はポルトガルである。エースのクリスチャーノ・ロナウドを擁し、優勝争いの2番手グループとして臨んだ今大会であったが、予想外の展開となった。第1シードとして振り分けられた抽選でグループFに入る。このグループFは6グループの中で唯一ワールドカップ、欧州選手権の優勝経験のある国の入っていないグループである。ポルトガルの相手もオーストリア、ハンガリー、アイスランドと近年の国際大会では実績のない国ばかりであり、悠々と首位通過を決め、決勝トーナメントに臨むかと思われていた。しかし、グループリーグでは大苦戦が続き、結局3引き分けとなり、グループ3位。通常の大会規定であればグループリーグ敗退というところであったが、今大会は本大会出場24か国、決勝トーナメント進出16か国となり、運よく決勝トーナメントに勝ち残った。
■決勝トーナメントで恵まれた山に入ったポルトガル
そして決勝トーナメントは大きく2つの山に分かれるが、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、イングランドというワールドカップ優勝経験のある強豪が片方の山に集中し、ポルトガルの入った山には有力国はベルギーくらいしか見当たらなかった。すなわち、ポルトガルは今回の欧州選手権でワールドカップ優勝経験国と決勝まで対戦しないという極めて珍しい組み合わせに恵まれたのである。
■クロアチア、ポーランドに苦戦、初めて90分以内で勝利したウェールズ戦
決勝トーナメント1回戦でポルトガルが対戦したのはグループDで前回優勝のスペインをおさえて首位通過したクロアチアである。90分間は双方ともに決め手を欠く内容で試合は延長戦となる。延長戦に入ってからゴール前のシーンが多くなりクロアチアがチャンスをつかむが、GKに阻まれたり、ポストに嫌われたりして得点には至らない。ポルトガルは延長後半の117分に右サイドを駆け上がったクリスチャーノ・ロナウドのシュートがクロアチアのGK、モナコに所属するダニエル・スパシッチに阻まれるが、このこぼれた球を左サイドからリカルド・クアレスマがシュートし、ネットを揺らす。ポルトガルは今大会初勝利をあげ、準々決勝に進出したのである。
準々決勝の相手は1回戦でスイスを振り切ったポーランドである。4年前のウクライナとの共同開催時はグループリーグで1勝もできずに敗退したが、今大会はエースのロベルト・レバンドフスキの活躍で3度目の出場で初めて決勝トーナメントに進出した。このポーランドはレバンドフスキーが開始早々に先制したが、ポルトガルもレナト・サンシェスのゴールで追いつき、最後はPK戦にもつれ込む。ポルトガルは第1キッカーのクリスチャーノ・ロナウド以下5人全員が成功させ、準決勝に進出する。
準決勝はリヨンでウェールズと対戦する。ギャレス・ベイルとクリスチャーノ・ロナウドのレアル・マドリッドのチームメイト対決として注目を集めたが、クリスチャーノ・ロナウドとナニのゴールでポルトガルは今大会初めて90分以内の勝利を収めて、決勝に進出したのである。(続く)