第2404回 不振のドイツに勝利(2) ほぼ不動のメンバーのフランス

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■首位のフランスが最下位のドイツを迎える10月16日の試合

 前回の本連載では10月13日に行われたオランダ-ドイツ戦の模様を紹介し、オランダが3-0と勝利したことを紹介した。UEFAネーションズリーグのリーグAのグループ1は各チーム2試合消化したところで、フランスが1勝1分で勝ち点4、オランダが1勝1敗で勝ち点3、ドイツは1分1敗で勝ち点1にとどまっている。首位のフランスが最下位のドイツをホームに迎えるのが10月16日の試合である。

■オランダ戦からメンバーを5人入れ替えたドイツ

 ここで負けてしまうと首位の可能性がなくなるドイツは、オランダ戦とはシステム、メンバーを変えてくる。GKはマヌエル・ノイアーで変わらないが、DFは3バックにし、右からマティアス・ギンター、ニクラス・ズーレ、マッツ・フンメルス、MFは4人、中央の下がり目の位置には右にヨシュア・キミッヒ、左にトニ・クロース、サイドは高めに位置し、右はティロ・ケーラー、左はニコ・シュルツ、FWは右にルロワ・サネ、左にセルジュ・ニャブリ、中央にティム・ベルナーという布陣である。オランダ戦と比べると5人が入れ替わっている。
 そして入れ替わって入った5人のうち3人はワールドカップには出場しなかった若いメンバーである。ニャブリは2016年夏のリオデジャネイロオリンピックで得点王に輝き、同年11月のサンマリノ戦で代表にデビューし、いきなりハットトリックをあげたが、その後の代表戦はわずか1試合にとどまるが、まだ23歳である。また、サネはドイツの先発メンバーで唯一のプレミアリーグ勢(マンチェスター・シティ)であり、2015年11月に19歳の新星として代表にデビュー、2016年の欧州選手権にも出場しているが、ワールドカップではメンバーに入らず、9月の連戦で代表に復帰する。しかし、子供の出産のためにチームを離れ、フランス戦でその能力を見せたい。今季パリサンジェルマンに移籍してきたケーラーは9月の連戦が初めての代表招集であった。メンバーを入れ替え、ヨアヒム・レーブ監督は苦境から脱しようとしている。

■ワールドカップの決勝、準決勝と10人が同じメンバーのフランス

 一方のフランスはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からバンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、プレスネル・キンペンベ、ルカ・エルナンデス、守備的なMFは右にエンゴロ・カンテ、左にポール・ポグバとなる。攻撃的MFは右にキリアン・ムバッペ、左にブレーズ・マツイディ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、FWは1トップでオリビエ・ジルーとなり、全員がワールドカップ出場メンバーであり、ストッパーのサミュエル・ウムティティが負傷のためキンペンベに代わっている以外は、準決勝のベルギー戦、決勝のクロアチア戦と同じメンバーである。9月6日のアウエーでのドイツ戦と比較してもウムティティと負傷中のロリスに代わったアルフォンス・アレオラ以外の9人のメンバーは同じである。
 ディディエ・デシャン監督はこれが87試合目であり、169試合目となるレーブ監督の半分くらいの数値であるが、試合前日の10月15日に50歳の誕生日を迎えた。デシャンがフランス代表に選手としてデビューしたのは1989年のこと、その時に生まれていたのはロリス、ジルー、マツイディだけであり、いかに若いメンバーで今回のワールドカップを勝ち抜いたかがよくわかる。

■ワールドカップが選手の入れ替えの時期ではなくなったフランス

 また、デシャン監督にはワールドカップを区切りにチームを切り替えていこうという考え方はあまりないようである。これはドイツにもある程度言えることであり、ワールドカップでは惨敗したからといって、メンバーを大きく変えているわけではない。マリオ・ゴメス、メスト・エジル、サミ・ケディラなどのベテラン選手が外れ、若手選手が加わるという自然減、自然増であり、30歳以上は主将のノイアーだけで、先発メンバーの平均年齢はフランスよりも低くなっているのである。若い選手が世界チャンピオン相手にどのようなプレーをするのであろうか。(続く)

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