第2415回 オランダとの天王山(2) 5連勝中のオランダ戦に臨む追加招集の2人の新人
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランスと勝ち点4差のオランダ、逆転にかける
初代のUEFAネーションズリーグの王者を狙うフランス、ここまで3試合で2勝1分で首位をキープ、最終戦は11月16日、アウエーでのオランダとの戦いである。オランダは2試合しか消化していないが、1勝1敗で勝ち点3、フランスとは勝ち点で4の差があるが、ここでフランスに勝利すれば、勝ち点の差は1となり、最終戦はすでに望みを失ったドイツ戦である。
■現在オランダに5連勝中のフランス
一方、フランスはアウエーのオランダ戦で引き分け以上であれば首位をキープできる。フランスとオランダの過去の対戦成績は13勝4分10敗と拮抗しているように見えるが、近年はフランスが圧倒している。9月9日に行われたスタッド・ド・フランスでのUEFAネーションズリーグでの対戦でフランスは2-1と勝利したばかりであるが、今回のワールドカップ予選でも同じグループとなり、2016年10月のアムステルダムでのアウエーの試合、2017年8月のホームでの試合ともフランスが勝利し、本大会に出場している。さらにさかのぼるならば、2016年3月と2014年にはいずれも3月に親善試合で戦っており、フランスがともに勝利している。フランスは2008年の欧州選手権で1-4と敗れたのを最後にオランダには5連勝している。ワールドカップや欧州選手権の予選のみで対戦する弱小国を除くとフランスが特定の国に対して5連勝したのは1978年から2015年位開けてのポルトガル戦の10連勝に次ぐ記録であり、今なお更新中である。
■欧州選手権優勝の舞台となったロッテルダム
逆転を狙うオランダはロッテルダムのデ・カイプ競技場にフランスを迎える。ロッテルダムは1908年にオランダとフランスが最初に対戦した都市であり、その時はオランダが4-1と快勝している。ロッテルダムでは第二次世界大戦後、デ・カイプ競技場に舞台を移し、オランダが3勝2分1敗という成績を残している。最後のロッテルダムでの対戦は2004年の親善試合、スコアレスドローとなっている。またフランスがロッテルダムで試合をしたのはオランダ相手だけではなく、2000年の欧州選手権の決勝のイタリア戦では2-1と勝利し、優勝を果たしている。
このようにフランスにとっては相性の良い相手であり、さらにフランスはワールドカップ優勝以降も負け知らずである。オランダはワールドカップ予選敗退以降に新チームをスタートさせたが、9月の戦いではフランスに勝利を譲っている。
フランスからはロッテルダムに2000人のファンが移動する。欧州内とはいえ、これだけのファンがアウエーの試合を観戦するというのは極めて異例なことであり、それだけフランスのファンの期待が高いことを物語っている。
■追加招集で初めての代表入りとなったアラッサン・プレアとフェルラン・マンディ
前回の本連載ではFWのアントニー・マルシャルを今年3月以来の代表復帰させたことを紹介したが、合宿初日にクレールフォンテーヌに姿を現したマルシャルはメディカルチェックの結果、マンチェスター・ユナイテッドのチームメイトのMFのポール・ポグバとともに代表を離脱する。マルシャルとポグバに代わって招集されたのがFWのアレクサンドル・ラカゼットとMFのムーサ・サコーである。ところがラカゼットは合流できないことがわかり、さらにバンジャマン・マンディが初日の練習で負傷して離脱する。結局、アラッサン・プレアとフェルラン・マンディの2人を追加招集する。
この2人はいずれも代表初招集である。プレアは昨季までニースに所属、リーグ戦では16得点をあげ、得点ランキングでトップ10入り、フランス人選手としては22得点のフローリアン・トーバンに次ぐ成績を残し、今季ドイツのボルシア・メンヘングランドバッハに移籍してきた。
そしてフェルラン・マンディはリヨンに所属する23歳の左サイドDFである。パリ近郊出身で少年時代はパリサンジェルマンでプレーしたが、出自であるセネガル代表という話もあった。しかし、今回、同じセネガルを出自とする左サイドDFのバンジャマン・マンディの負傷により、フランス代表に招集され、生まれ故郷のイブリン県のクレールフォンテーヌに向かったのである。(続く)