第2474回 欧州選手権予選で連勝スタート(1) UEFAネーションズリーグと連動する欧州選手権予選
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■3月から始まる欧州選手権予選
昨夏のワールドカップが終わり、これまでであれば、9月から欧州選手権予選が始まっていたが、今回は3月から始まる。本連載で紹介した通り、UEFAは新タイトルとしてUEFAネーションズリーグをスタートさせ、9月から11月までフランスはドイツ、オランダと4試合を行い、惜しくもオランダに首位を譲り、初代王座を獲得することはできなかった。
■本大会が分散開催となる欧州選手権
そして4年に1回行われる欧州選手権はオリンピックイヤーの2020年に行われるが、今回は大きな大会形式の変更がある。本大会を1か国あるいは2か国で集中開催するのではなく、分散で開催するのである。グループリーグと決勝トーナメントの1回戦(ベスト8決定戦)と準々決勝までは12か国の12会場で行い、準決勝と決勝はイングランドのロンドンのウェンブリーで開催する。準決勝以降のみを1か国で開催するというのは第1回の1960年大会から1980年大会までと同じ方式であるが、当時はベスト4を決めるまではホームアンドアウエーのリーグ戦あるいはノックアウト方式で行っており、今回はグループリーグなどを中立地で行うことになる。
1984年大会以降は8か国、1996年大会からは16か国、2016年大会では24か国が1か国あるいは2か国に集まって本大会を開催するようになった。しかし、本大会の試合数が増え、大会を開催する競技場の数も多くなるとともに、そこに求められるスペックも高くなっている。したがって、24か国が集まって本大会を開催するとなると開催国のみに大きな負担を強いることとなる。また、経済的な裏付けのある大国のみでしか本大会を開催されなくなってしまう危険性がある。2008年のリーマンショックによる世界経済の低迷の後、UEFAは2012年に2020年大会の大会形式の変更を決定したのである。
最初の欧州選手権は1960年に本大会が行われているが、この時に予選に出場したチームは17チーム、それを上回る数のチームで本大会が行われるのである。
■UEFAネーションズリーグの成績が連動する欧州選手権予選
予選の方式はこれまでとは異なる。開催国枠はなく、1980年大会までと同様、すべてのチームが予選に参加する。エントリーしたチーム数は55チーム、それを6チームあるいは5チームの10グループに分け、ホームアンドアウエーの総当たり形式でリーグ戦を行う。各グループで2位までに入った20チームと、2018-19シーズンのUEFAネーションズリーグの成績に応じてプレーオフが行われ、ここから4チームが出場する。
グループリーグの組み合わせであるが、抽選会は昨年12月2日に行われた。これまでの欧州選手権予選の組み合わせはワールドカップ本大会前に行われていたが、これはUEFAネーションズリーグのグループリーグの成績を勘案してシード分けするからである。先述のプレーオフも含め、毎年行われるUEFAネーションズリーグの成績が欧州選手権に連動するようになっている。
■第1ポットに入ったフランス
フランスは昨秋のUEFAネーションズリーグのグループリーグで2位に終わった。しかし、ランキングは6位となり、上位10チームまでの第1ポットとなった。ちなみにフランスの入っていたリーグAのグループ1で最下位となったドイツはランキングが11位となり、第2ポットに回っている。
第1ポットのチームはランキング順に紹介するとスイス、ポルトガル、オランダ、イングランド(ここまでの決勝トーナメント進出国は本来は6月に行われるトーナメントで順位が決まるが、この時点ではグループリーグの勝ち点、得失点差等で決定している)、ベルギー、フランス、スペイン、イタリア、クロアチア、ポーランドとなっている。有力国ではドイツ、アイスランド、ウクライナ、ロシアなどが第2ポットになっているのである。(続く)