第2510回 シーズン終了後の欧州選手権予選(4) 枠内シュート数0でトルコに敗れる

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■男女のフル代表と21歳以下の男子代表が一堂に会す

 フランスはシーズン終了後にクレールフォンテーヌで合宿を行っていたが、この合宿中に歴史的なシーンがあった。男子のフル代表はボリビアとの親善試合ならびにトルコ、アンドラとの欧州選手権を控えているが、女子のフル代表は6月7日に開幕する自国開催のワールドカップに向けて合宿を行い、さらに21歳以下の代表は来年の東京オリンピックの出場権をかけてイタリアとサンマリノで開催される21歳以下の欧州選手権に向けて合宿を行っている。この3チームが同時にクレールフォンテーヌで合宿を行い、5月30日は男女合同で夕食会を開催するという歴史的な一夜となった。

■地元開催のワールドカップで白星発進した女子代表

 ボリビアとの親善試合で勝利した男子のフランス代表にはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝戦を戦った4人の選手が加わったが、この中でエンゴロ・カンテは負傷し、離脱してしまう。また、公式戦ではベンチ入りの人数も制限されるため、GKのバンジャマン・ルコントもメンバーから外れ、22人でこの2試合を戦うこととなった。
 トルコはフランスとの試合を内陸部のコンヤで行う。国内中堅チームのコンヤスポルのある都市である。フランスは試合前日の6月7日に現地入りした。その日の夜、女子ワールドカップが開幕し、フランスは韓国を4-0と一蹴した。この勝利が男子に良い刺激となるはずであった。

■負傷者の多いトルコは若手が活躍、フランスはエンゴロ・カンテの離脱が影響

 トルコは負傷者が相次ぎ、これまで代表99試合に出場しているベテランのエムレ・ベロゾグルの他に、オカイ・ヨクシュル、ジェンク・トスンもメンバーから外れる。また、イタリアのACミランで背番号10をつける本田圭佑の後継者であるハカン・チャルハノールもベンチスタートとなる。結果的にトルコは年齢的にも若く、代表経験もそれほど多くないメンバーが先発メンバーに名を連ねる。
 負傷者の続出したトルコであったが、代表歴の浅い中盤のバシャクシェヒルとベクシタシュの3人、ドルカン・トクズ、マームト・テクデミル、イルハン・カフベジであった。この中盤の攻撃を止めるのはフランスの守備的MFである。しかし、負傷したカンテの穴は大きかった。本来カンテの指定席である守備的MFにはムーサ・シッソコがポール・ポグバとコンビを組む。この2人の役割はトルコの攻撃を止めるとともに、ボールを奪って攻撃の起点となることであるが、2人はトルコの積極的な攻撃を止めることができなかった。
 さらにフランスの最終ラインも受動的なプレーが多く、トルコは数少ないチャンスを確実にシュートで終わらせるような攻撃を連続する。そして30分、トルコはフランス陣内でFKのチャンス、ゲンギス・ウンデルがゴール前に挙げたボールにまず触ったのは最前線に上がっていたストッパーのメリヘ・デミラルであった。デミラルが流したボールをヘディングでゴールに入れたのは同じストッパーのカーン・アイハンであった。ゴール前に多数いたフランスの守備陣は競り合うこともなく、先制点を許す。さらに40分、フランスのサミュエル・ウムティティが失ったボールからトルコはチャンスをつかむ。ペナルティエリア内でパスを受けたウンデルはルカ・ディーニュを交わしてシュート、前半にフランスは2点を先行される。

■後半開始時の2人の選手交代も実らず、枠内シュート0に終わる

 前半で2点のビハインドとなったフランスは緊急事態と認識し、ハーフタイムにブレーズ・マツイディに代えてキングスレー・コマン、バンジャマン・パバールに代えてフェルナン・マンディを投入する。交代人数が限られている公式戦においてハーフタイムでディディエ・デシャン監督が2人を交代させるのは初めてのことである。しかし、この采配も実らず、フランスはパスをつなぎ、ボール支配率で上回るものの、シュートにつながらない。結局フランスはシュート数わずかに4、そして枠内シュート数0という惨憺たる状況で、トルコとの首位決戦を0-2と落としたのである。(続く)

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