第2574回 競り合いの続く欧州選手権予選(4) トルコとの直接対決はドロー、本大会出場決定はお預け
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■トルコとの過去の戦績は4勝1敗
欧州選手権出場をかけた直接対決というスポーツ本来の持つ関心に加え、トルコのシリア国内への軍事行動をイメージさせる得点後の軍隊的敬礼が政治的な問題となり、通常よりもはるかに大きな関心を集めたフランス-トルコ戦。試合は10月14日20時45分からスタッド・ド・フランスで7万8000人の観衆を集めてキックオフされた。
今予選においてフランスは6月8日のアウエーで0-2と敗れているが、5回目の対戦において初めて敗れている。それまで4回の対戦はすべて勝利しており、そのうちはフランス国内での対戦、1996年の親善試合、2003年のコンフェデレーションズカップ準決勝、2009年の親善試合である。スタッド・ド・フランスでの対戦は2003年以来のこととなる。
また6月の試合の勢いに乗って連勝をたくらむトルコであるが、フランスが1年間に同じチームに2回敗れるのは1982年のポーランドまでさかのぼらなくてはならない。
■ウィッサム・ベン・イェデル、ムーサ・シソッコを先発させたフランス
上から順に青白赤のトリコロールのユニフォームのフランスの先発メンバーは白いユニフォームを着用したアイスランド戦とは微妙に変わっている。GKはスティーブ・マンダンダ、DFは右からバンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、クレマン・ラングレ、ルカ・エルナンデス、MFは低い位置にブレーズ・マツイディ、コランタン・トリッソ、攻撃的な位置には右からムーサ・シソッコ、アントワン・グリエズマン、キングスレー・コマン、FWはウィッサム・ベン・イェデルである。
最大の驚きはFWのワントップにオリビエ・ジルーではなくベン・イェデルを起用したことである。ベン・イェデルはアイスランド戦には試合の終盤にジルーと交代して10分強プレーしたが、2回の決定機をものにできなかった。先発から外れたジルーはアイスランド戦で唯一の得点をPKで決めている。ジルーはアイスランド戦で警告を受けており、累積警告を恐れて起用しなかったことも考えられるが、ディディエ・デシャン監督は背番号10を背負ったベン・イェデルに期待するものがあったのであろう。また、もう1人の驚きはシソッコである。アイスランド戦でエンゴロ・カンテが試合前のウォーミングアップで負傷したため急遽先発したが、キャリアと複数ポジションをこなせるポリバレントな能力が評価され、2試合連続の先発となり、右サイドの攻撃的なポストに入った。
■終盤に途中出場したオリビエ・ジルーがヘディングで得点
フランスは立ち上がりからパスをつないで攻勢に出る。その最初のゴールチャンスは17分のことであった。グリエズマンのシュートをトルコのGKがはじいたところをゴール前に詰めていたシッソコがシュート、しかしトルコGKに再び阻まれ、得点はならなかった。
その後もフランスが攻めるたびにスタッド・ド・フランスをイスタンブールにしてしまったトルコのサポーターの悲鳴がトルコのピンチを救う。
前半は両チーム無得点。なんとしても勝ちたい両チーム、トルコが先にメンバー交代をする。フランスは精彩を欠くベン・イェデルに代え、ジルーを投入する。遅すぎたエースの投入にスタッド・ド・フランスの青いファンは喜ぶ。76分、フランスは右CKのチャンス、グリエズマンが放ったボールにヘッドで合わせたのはジルーであった。ジルーのヘディングシュートでフランスは1点リード、これで本大会出場が決まったと青いフランスのファンは歓喜する。
■5分後に追いつかれ、試合はドロー
しかし、その歓声は5分で静まり、赤い歓声となった。81分にペナルティエリアのすぐ外でグリエズマンがファウル、好位置で得たFKをゴール前でヘディングしたのは交代出場したカーン・アイハン、マンダンダのセーブも及ばず、同点に追いつかれる。両チームとも途中出場の選手がヘディングでゴールをあげ、引き分けとなる。
同時刻に行われていた試合でアイスランドはアンドラに勝利する。トルコとフランスは勝ち点19で首位をキープし、競り合いは続く。3位のアイスランドとの勝ち点差は4、フランスの本大会出場は11月14日のモルドバ戦に委ねられることになったのである。(続く)