第2584回 欧州選手権予選突破(3) アルバニアに勝利、有終の美を飾る
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■アルバニア航空競技場のこけら落としとなるアルバニア戦
第9節のモルドバ戦の前に欧州選手権の予選突破を決め、本年最後のホームでの試合を逆転勝利で飾ったフランス、予選の最終戦は11月日のアウエーでのアルバニア戦である。
最終戦の見所はいくつかある。まず、グループHの首位争いを続けてきたトルコは前節でアイスランドと引き分け、フランスと勝ち点で2の差がついた。フランスは最終戦でアルバニアに勝利すれば首位で予選を終え、引き分けの場合はトルコがアンドラと引き分け以下であれば首位をキープできる。
対するアルバニアであるが、この試合を迎える段階で勝ち点13で4位、3位のアイスランドとは勝ち点3差であり、アルバニアがフランスに勝利し、アイスランドがアウエーでモルドバに敗れれば、勝ち点16で並ぶ。アルバニアはすでにプレーオフへの出場権はないが、アルバニアはアイスランドとの直接対決は1勝1敗であり、2試合通算の成績でアルバニアが上回っているため、アルバニアにとっても意地を見せる試合となる。また会場となったティラナのアルバニア航空競技場はアルバニア最大の競技場として完成したばかりであり、この試合がこけら落としとなる。収容人員2万2500人、この日は2万人近い観衆が集まった。スタジアムの隣にはマリオットホテルがあり、ホテル業界とサッカーの関連はフランスのアコーがパリサンジェルマンのスポンサーであることからも年々緊密になっている。
■ディディエ・デシャン監督の100試合目のメモリアルマッチ
この試合はディディエ・デシャン監督にとって100試合目の試合となる。デシャン監督は選手としても104試合に出場しており、選手としても監督としても100試合という記録を達成することになる。そして選手としてワールドカップと欧州選手権の両方で優勝を経験したデシャンが監督としても二冠を達成してくれることをフランスのファンは期待している。予選突破を決めた後のアルバニア戦でどのような選手起用をするか、ファンにとっての関心は高い。
■3-4-1-2システムを採用、2トップはウィッサム・ベン・イェデルとオリビエ・ジルー
白いユニフォームのフランスの先発メンバーであるが、デシャン監督はこれまでの4-2-3-1システムに代わり、攻撃陣は2トップ、最終ラインは3バックを配する3-4-1-2システムを採用した。GKはスティーブ・マンダンダ、DFは右からラファエル・バラン、クレマン・ラングレ、プレスネル・キンペンベ、守備的なMFは右からレオ・デュボワ、ムーサ・シッソコ、コランタン・トリッソ、バンジャマン・マンディ、攻撃的なMFはトップ下のアントワン・グリエズマン、FWの2トップは右にウィッサム・ベン・イェデル、左にオリビエ・ジルーという布陣である。当初はキリアン・ムバッペが出場する予定であったが、体調を崩したため、アルバニア戦で得点をあげて代表通算得点数でミッシェル・プラティニに2点と迫ったジルーが代わって出場した。ウーゴ・ロリスの代役のGKのマンダンダはこれが代表32試合目の出場で、フランス代表のGKとして7番目に出場数が多くなった。主将はバランが務め、この試合が代表4試合目出場のデュボワは初の先発出場となる。
■コランタン・トリッソが代表初ゴール、アントワン・グリエズマンは通算30点
フランスはレギュラー以外のメンバーも出場していることもあり、なかなかコンビネーションが整わない。しかし、7分にゴールから30メートルのところでFKを得る。グリエズマンの蹴ったボールにニアポストのトリッソがヘッドで合わせる。トリッソのヘディングしたボールにアルバニアのGKは届かず、先制ゴールが決まる。トリッソはこれが代表初ゴールとなる。また、これでフランスは7ゴール連続でセットプレーからのゴールとなる。セットプレーからのゴールの少ないフランスにとってこれは50年ぶりの記録である。
30分にはデュボワがグラウンダーでクロス、これをグリエズマンが右足でシュート、追加点が決まる。グリエズマンはこれが代表30得点目、ジュスト・フォンテーヌ、ジャン・ピエール・パパンという名手と通算得点で並んだ。
フランスはこのまま2-0で勝利し、グループHの首位を決めたのである。(続く)