第2731回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(8) ポルトガル戦の大敗から巻き返しを図るクロアチア

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■欧州選手権予選は首位突破したクロアチア

 ワールドカップで準優勝しながら、その直後に行われたUEFAネーションズカップでは3チーム中の最下位に終わったクロアチアであるが、ワールドカップで優勝したフランスも2位に終わっている。
 次のクロアチアのミッションは欧州選手権予選である。UEFAネーションズカップの成績が欧州選手権予選のシード分けに使われるが、クロアチアはかろうじて第1シードに入る。グループEに入り、第2シードのウェールズくらいがライバルと思われたが、序盤戦でクロアチアは苦戦する。2019年3月の第1戦はホームにアゼルバイジャンを迎えたが、先制され、かろうじて逆転勝利をあげる。第2戦は逆の展開となり、アウエーでハンガリーに逆転負けを喫した。ようやく本来の力を見せたのが6月のホームでのウェールズ戦、終始リードを保ち、2-1で勝利する。ここからは勝ち点を重ね、最終的には5勝2分1敗で予選を首位で突破する。本大会ではグループDに入り、イングランドとウェンブリーで開幕戦を迎え、それ以外にチェコ、プレーオフの勝者と対戦する予定であった。

■欧州選手権直前にニースでフランスと戦う予定だったクロアチア

 クロアチアにとっては昨年11月16日にスロバキアを破って欧州選手権予選を突破し、その3日後にグルジアと親善試合を行って以来の試合がUEFAネーションズリーグの初戦のポルトガル戦となった。クロアチアは3月にカタールでスイスとポルトガル、6月にはトルコとフランスと親善試合を行う予定であったが、これらは新型コロナウイルスの感染拡大によってキャンセルとなっている。フランス戦はニースで行われる予定であり、欧州選手権前の試金石となる試合であった。欧州選手権に向けての親善試合の相手であるポルトガル、フランスと奇しくもネーションズリーグという公式戦で戦うことになった。

■久しぶりの試合は前回王者のポルトガルに大敗

 ポルトガルは第1回のUEFAネーションズリーグの優勝チームである。ディフェンディンチャンピオンはポルトにクロアチアを迎えた。ポルトガルはエースのクリスティアーノ・ロナウドを欠くものの、クロアチアを試合開始から圧倒する。なかなか先制点をあげることができなかったが、41分にジョアン・カンチェロが得点をあげると、後半に入ってから突き放す。クロアチアが得点をあげることができたのは後半のアディショナルタイムに入ってからのことであり、結局ポルトガルが4-1と大勝した。

■ポルトガル戦とは大幅にメンバーを入れ替えて臨むフランス戦

 クロアチアは9月5日にポルトで試合を行った後、パリに移動して8日にスタッド・ド・フランスでフランスと対戦する。ポルトガル戦の大敗を受けてズラトコ・ダリッチ監督はメンバーを大幅に入れ替える。最終ラインは4人中3人を入れ替え、ポルトガル戦では主将だったドマゴイ・ビダをベンチに下げる。中盤から攻撃陣も半数を入れ替え、結局ポルトガル戦に続いて先発したのは5人だけであった。ただ、ポルトガル戦では後半から出場してきたイバン・ペリシッチは先発してキャプテンマークを着用する。ペリシッチはバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)の選手としてパリサンジェルマンを破って欧州チャンピオンの一員となったばかりである。また、中央のMFにはマルセロ・ブロゾビッチを起用する。また、新型コロナウイルスに感染して、リスボンで行われたチャンピオンズリーグの準々決勝以降に出場できなかったアトレチコ・マドリッド(スペイン)に所属するシメ・ブルサリコもベンチに戻ってきた。またベンチにはアタランタ(イタリア)の一員としてパリサンジェルマンを苦しめたマリオ・パシャリッチも控えている。
 かつて東欧のブラジルと言われた旧ユーゴスラビアの系譜を最も色濃くひく人材の宝庫がクロアチアであろう。2年前のワールドカップ決勝以来の両国の対戦となる。1998年のワールドカップでフランスはブラジルを破って優勝したが、そのブラジルとのワールドカップ決勝以降の最初の対戦はその3年後のコンフェデレーションズカップ、韓国の水原でのことであった。今回はそれよりも1年早く、楽しみな対戦となった。(続く)

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