第2738回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(15) マクシミール競技場で強さを誇るクロアチア

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■守備に課題のあるクロアチア、得点力のないスウェーデン

 9月に開幕したUEFAネーションズリーグで連勝スタートしたフランスとポルトガルの首位決戦はスコアレスドローに終わった。逆にクロアチアとスウェーデンは連敗でスタートしており、初勝利を目指してフランス-ポルトガル戦と同じ10月11日にクロアチアのザグレブで対戦した。この試合で勝利すれば何とか挽回の可能性がある。上位2チーム相手にクロアチアは2試合で8失点という守備、スウェーデンは無得点と攻撃にそれぞれ課題がある。

■スウェーデンを破ったクロアチアがサバイバル

 試合はルカ・モドリッチが復帰したクロアチアが優勢に試合を進め、31分にニコラ・ブラシッチのゴールで先制する。ブラシッチは負傷で倒れたシーンもあったが、その直後に立ち上がり、38分にもあわや2点目を決めようかという勢いであった。前半終了間際にはマルセロ・ブロゾビッチがイエローカード、累積警告でフランス戦は出場停止となった。
 得点力不足の課題が解決されないまま前半を終えてしまったスウェーデンであるが、後半が始まったばかりの51分、相手ペナルティエリアの中でクロアチアの選手がハンドを犯したのではないかと主審に抗議するが、PKは与えられないまま試合は続行する。そして66分にスウェーデンは連続攻撃の中から同点ゴールを主将のマルクス・ベリが決める。 なんとか勝ち点3が欲しいクロアチアは積極的に選手交代を行い、84分に相手ゴール前でボールをインターセプト、アンドレイ・クラマリッチが勝ち越し点をあげて勝ち点3として、なんとかサバイバルしたのである。

■クロアチアに対してポジティブな感情を持っているフランス

 グループリーグで半分の3試合を終えたところで、リーグAのグループ3の順位は勝ち点7でポルトガルとフランスが並び、クロアチアが勝ち点3、スウェーデンが勝ち点0となっている。
 後半戦最初の試合となる第4節は10月14日にクロアチア-フランス、ポルトガル―スウェーデンという2試合が行われる。ポルトガルがホームで最下位のスウェーデンと対戦することから、フランスはアウエーゲームとはいえ、勝ち点3が欲しい。クロアチアはスウェーデン戦と移動のないザグレブでの試合である。一方、フランスは中2日でスタッド・ド・フランスから移動して試合を行うが、ウクライナ戦での快勝のイメージをそのままザグレブに持ちこみたいところである。また、フランスはクロアチアには9月8日に4-2で勝利しただけではなく、2年前のワールドカップ決勝でも同じ4-2というスコアで勝利しており、フランスのメンバーはクロアチアに対してポジティブな印象を持っているであろう。

■クロアチア代表の本拠地、マクシミール競技場

 ザグレブのマクシミール競技場、ディナモ・ザグレブの本拠地として本連載にもしばしば登場してきたが、クロアチアの建国以来、代表チームも使用してきた。クロアチアがこのこの競技場で初めて試合を行ったのは1992年10月の親善試合のメキシコ戦、この試合で3-0で勝利してから、代表チームはこの競技場で30試合無敗という記録を残している。その記録をストップしたのはサッカーの母国イングランドであり、2008年9月10日に4-1とクロアチアを破ったのである。その後もクロアチアが敗れたのはわずか3試合、9月のスウェーデン戦まで18勝3分3敗という成績を誇っているのである。
 今年の3月22日、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、このザグレブでマグニチュード5.3のザグレブ地震が起こった。この地域では実に140年ぶりの規模の地震であり、マクシミール競技場も一時利用できなくなり、再開後もディナモ・ザグレブの試合は一部のエリアを入場禁止として試合を行ってきた。
 新型コロナウイルスの感染拡大の中でこのフランス戦も入場制限がかかり、7000人の観客の中で試合が行われるのである。(続く)

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