第2839回 二冠を狙う欧州選手権(1) ディディエ・デシャン監督、26人のメンバーを発表
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■中断後の戦績は8勝2分1敗と好調なフランス
新型コロナウイルスの感染拡大により大きな影響をスポーツ界は受けたが、1年延期となったイベントのうち、欧州選手権が6月に開幕する。今回の欧州選手権は60周年記念ということで多数国での共同開催であり、開催国によっては断念したところもあるが、同じ大会形式、準決勝以降はイングランドのウェンブリーで行われる。
2018年のワールドカップを制覇したフランスはディディエ・デシャン監督が続投、自身が選手として経験した二冠を今度は監督として達成したい。
フランス代表だけではなく、他国も代表チームの活動は昨年は3月下旬の親善試合、6月の欧州選手権とその直前の親善試合が中止、延期となった。9月からのUEFAネーションズリーグで10か月ぶりの試合となったが、本連載で紹介した通り、フランスはそれ以降今年の3月までUEFAネーションズリーグ6試合、ワールドカップ予選3試合、親善試合2試合の11試合を戦い、8勝2分1敗という成績である。しかも1敗は親善試合のフィンランド戦であり、タイトルマッチの戦績は7勝2分と無敗でコロナ時代を乗り切ってきた。
■昨年11月を最後に新人を招集していないディディエ・デシャン監督
他国も同じ条件であるが、新型コロナウイルスの感染拡大により代表チームの活動が制約されたこと、UEFAネーションズリーグの創設によって親善試合の機会が減ってきた。本連載で紹介してきた通り、フランスも今年3月のワールドカップ予選の3連戦では新人を選出していない。新人を招集したのは昨年の11月の3連戦が最後である。10か月ブランクのあった昨年9月以降に新人として招集された選手は9月の2連戦にダヨ・ウパメカノ、ホッセム・アウア、エドゥアルド・カマビンガの3人、10月の3連戦はおらず、11月の3連戦時のマーカス・テュラム、ルーベン・アギラーの2人である。ただ、この中でチャンスをつかんで試合に継続的に出場した選手はおらず、直近の代表戦である3月のワールドカップ予選にはこの5人は誰も選出されていない。
結局、デシャンという監督は新しい力を発掘するのではなく、既存のメンバーで欧州選手権に臨むのではないだろうか、という世間が予想する中で5月18日のメンバー発表の日がやってきた。
■5月18日に発表した26人の中に驚きのカリム・ベンゼマ
デシャン監督は26人のメンバーを発表した。GKはウーゴ・ロリス、マイク・メニャン、スティーブ・マンダンダの3人、DFはルカ・ディーニュ、レオ・デュボワ、ルカ・エルナンデス、プレスネル・キンペンベ、ジュール・クンデ、クレマン・ラングレ、バンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、クルト・ズーマの9人、MFはエンゴロ・カンテ、トマ・ルマール、ムーサ・シッソコ、ポール・ポグバ、アドリアン・ラビオ、コランタン・トリッソの6人、FWはオリビエ・ジルー、ウィッサム・ベン・イェデル、アントワン・グリエズマン、ウスマン・ダンベレ、キリアン・ムバッペ、キングスレー・コマン、マーカス・テュラム、カリム・ベンゼマの8人である。
この26人のうち最大の驚きはベンゼマの6年ぶりの復帰であろう。そして第2の驚きは新人として唯一選出されたクンデである。この2人については次回以降詳しく取り上げよう。
■7人が前回のワールドカップ前に代表入りしながらロシアワールドカップに出場せず
26人のうち、3年前のワールドカップ後に代表入りした選手はメニャン、デュボワ、ラングレ、テュラム、そして新人のクンデの5人だけである。また2018年のワールドカップは23人のメンバーが登録されたが、そのうち14人は今回のメンバーにも選出されている。つまり、前回のワールドカップ前に代表入りしながら、ロシアでのワールドカップに出場できず、今回の欧州選手権で返り咲いた、そういう選手が7人もおり、そのうちの1人がベンゼマなのである。(続く)