第2842回 二冠を狙う欧州選手権(4) カリム・ベンゼマ、ニースで復活、ウェールズに勝利
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■ニースで5回目の試合、カリム・ベンゼマの思い出のアリアンツ・アリーナ
5年半ぶりに復帰したカリム・ベンゼマを先発メンバーとして起用したウェールズ戦、ベンゼマが最後に代表として出場した試合は2015年10月8日のアルメニア戦、その試合もこのニースのアリアンツ・アリーナで行われた。ニースが代表最後の試合の舞台だと思われていたベンゼマはニースで復活した。
フランス代表はニースでの5回目の試合となる。1970年にレイ競技場でチェコスロバキア戦を行い、その後アリアンツ・アリーナでは3試合を行っている。アリアンツ・アリーナは2016年の欧州選手権のために新設されたスタジアムであり、フランス代表戦は2018年のイタリア戦以来3年ぶりとなる。新型コロナウイルスの感染の防止という観点からはウェールズ戦もブルガリア戦も無観客とは言えスタッド・ド・フランスで行いたいところであるが、スタッド・ド・フランスの使用には制約がある。それは新型コロナウイルス対策ではなく、3年後に迫ったパリオリンピックの準備のためである。スタッド・ド・フランスはパリオリンピックの会場となるため、その改修に入っており、年間の使用数に制限があり、フランス代表は年4回までとなる。
フランス代表は1970年のチェコスロバキア戦には勝利、アリアンツ・アリーナでも初めて試合を行ったパラグアイ戦は引き分けたものの、その後はアルメニア、イタリアに連勝しており、伝統の地方都市での好成績を受けてウェールズにも勝利したい。
■2016年欧州選手権でベスト4に入ったウェールズ
対するウェールズはこれまでワールドカップ、欧州選手権の本大会とはほとんど縁がなく、1958年のワールドカップに出場しただけであった。しかし、欧州選手権では前回の2016年大会に初出場、グループリーグではイングランドに敗れたものの、スロバキアとロシアに勝利してグループ首位突破を果たす。決勝トーナメントでは1回戦で北アイルランド、準々決勝でベルギーを破り、準決勝に進出する。ここでポルトガルに敗れたものの、初出場でベスト4は驚きであった。この快進撃の主役は3得点をあげたギャレス・ベイルであった。
■両主将はトットナム・ホットスパー所属、ギャレス・ベイルとウーゴ・ロリス
そのベイルは、かつてはスペインのレアル・マドリッドでベンゼマのチームメイト、現在はイングランドのトットナム・ホットスパーに所属する。今回の欧州選手権では主将に任命され、このフランス戦も背番号9をつけて出場する。一方のフランスの主将は同じくトットナム・ホットスパーのGKのウーゴ・ロリス、この試合が首相として100試合目となる。この試合数は驚異的な数であり、2位は現在の監督のディディエ・デシャンの54試合であり、記念すべき試合となった。
■ベンゼマがPK失敗、キリアン・ムバッペなどのゴールで圧勝
本大会に出場するウェールズも大会前のスパーリングマッチは2試合、まずフランス、そしてアルバニアと対戦し、6月12日に本大会初戦のスイス戦を迎える。フランス同様に2試合目は力の劣る相手に完勝して本大会を迎えるという計画をしているであろう。ウェールズは手ごたえのあるフランス相手に勝利、あるいは善戦したいところである。
地力に勝るフランスはパスをつないで試合を支配する。4分にベンゼマがこの試合初めてのシュートを放つ。フランスは試合を支配しながらなかなか次のシュートが生まれない。22分にはアントワン・グリエズマンのCKがウェールズのゴール前にあがり、VARの結果、ウェールズのネコ・ウィリアムズのハンドが認められ、ウィリアムズは退場、フランスにPKが与えられた。このPKを蹴るのはベンゼマ、これを決めれば、アルメニア戦の2得点に続く、ニースでの5年半ぶりのゴールかと思われたが、GKに阻まれてしまう。
嫌な空気が漂ったが、この空気を取り払ったのはキリアン・ムバッペであった。34分に技ありの先制点を決める。
後半開始時にバンジャマン・パバールに代えてジュール・クンデを投入、代表デビューとなる。そのクンデのデビューを祝福するがごとく、同じスペインリーグに所属するグリエズマンが48分に追加点を決める。その後もフランスはウェールズから何度も得点チャンスを得る。そして79分にはクンデも関与した攻撃から同じ東京オリンピック世代のウスマン・ダンベレが3点目を決める。
フランスは3-0とウェールズを一蹴、二冠に向けて好スタートしたのである。(続く)