第2852回 決勝トーナメント1回戦はスイスと対戦(1) 目まぐるしかったグループFの順位争い

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■最後のグループの最終戦で繰り広げられたドラマ

 グループリーグ最終戦のポルトガル戦はフランスのカリム・ベンゼマ、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドという両チームのスターが2点ずつあげて、引き分けとなっている。死のグループと言われたグループFからはフランス、ドイツ、ポルトガルという3強が決勝トーナメントに進出することになったが、ここには最終戦、そして最後のグループリーグの戦いということでドラマがあった。
 決勝トーナメントには各グループの上位2チーム、そして3位チームの中で成績の良い4チームの合計16チームが進出する。最終戦を迎える段階でグループFでは2位以内あるいは3位以下が決定しているチームはなかった。決勝トーナメントの組み合わせであるが、2位突破の場合はグループD首位のイングランドと対戦することが確定している。3位になれば他のグループの3チームとの勝ち点等の比較となり、これで上位4チーム以内に入れば、グループB首位のベルギーと対戦する。首位になった場合は3位チームの成績に依存し、グループFの3位チームが決勝トーナメントに進出した場合はグループA3位のスイス、進出できなかった場合はグループC3位のウクライナと対戦することになる。

■勝ち点3、得失点差-2のフィンランドとの最後の決勝トーナメント進出争い

 その3位争いであるが、グループAからグループEまでの3位チームは決定している。勝ち点4を獲得しているのは2チームでチェコ(グループD)とスイス(グループA)、そして残りは勝ち点3でウクライナ(グループC、得失点差-1)、フィンランド(グループB、-2)、スロバキア(グループB、-5)となっており、チェコ、スイス、ウクライナは当選、フィンランドはグループFの3位と最後の1つの席を争う。
 グループFは最終戦を迎える時点でフランスは勝ち点4、ポルトガルとドイツが勝ち点3で、いずれも得失点差は+1である。すなわち、ポルトガルとドイツは3位になった場合、最終戦で3点差という大敗をしない限り、決勝トーナメント進出となる。しかし、両チームともフランス同様、3位や2位通過ではなく首位通過を狙っている。
 ポルトガルはフランスに勝利し、ドイツがハンガリーに引き分け以下であれば首位通過となる。ドイツはハンガリーに勝利し、フランス-ポルトガル戦が引き分けに終われば首位突破となる。

■夢に終わったポルトガルの首位突破、ハンガリーの決勝トーナメント進出

 6月23日の21時にドイツのミュンヘンとハンガリーのブダペストで行われた試合、2つの試合とも2-2となり、首位はフランス、ハンガリーは敗退となったが、ポルトガルは首位突破、ハンガリーは決勝トーナメントのドアを開けそうになった時間帯があった。まず、この夜最初にゴールを決めたのは11分のハンガリーである。そして31分にクリスティアーノ・ロナウドのPKで先制する。もしもこのまま試合が終了すれば、ポルトガルが首位突破、フランスは2位(得失点差でハンガリーを上回る)、3位のハンガリーも決勝トーナメント進出となった。しかし、ポルトガルの夢はフランスの帰ってきたヒーローが取り消した。前半のアディショナルタイムと後半開始早々の47分のベンゼマがゴールを決めた時点で、首位フランス、2位ハンガリー、3位ポルトガルとなる。

■バイエルン・ミュンヘン所属のレオン・ゴレツカの同点ゴールで2位に入ったドイツ

 60分にはポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドが2点目をあげて追いつく。ここでポルトガルとハンガリーの順位が入れ替わる。ブダペストでフランス-ポルトガル戦を観戦していた地元のファンにとってはミュンヘンでの試合経過が気になる。4チームのうち唯一得点をあげていなかったドイツは66分にこの大会好調なカイ・ハバーツが同点ゴール、これでドイツが2位に浮上、ポルトガルが3位、ハンガリーは4位に落ちる。ブダペストのファンの願いが届いたのか、68分にハンガリーはアンドラス・シェフェルが勝ち越し点、再び2位ポルトガル、3位ハンガリー、4位ドイツとなる。
 しかし、1万2000人の地元ファンの声援を受けたドイツは84分にバイエルン・ミュンヘン所属のレオン・ゴレツカが同点ゴールをあげ、2位に食い込み、ハンガリーの夢は消えたのである。(続く)

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