第2854回 決勝トーナメント1回戦はスイスと対戦(3) 負傷によりメンバーとシステムを変更したフランス

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■10年前のこけら落としで試合を行ったフランス

 決勝トーナメント1回戦のフランス-スイス戦はルーマニアでのブカレストでの戦いとなる。ブカレストの国立競技場はグループリーグを3試合開催したが、両国にとって初めての試合会場となる。
 国立競技場は第二次世界大戦後に建設された旧スタジアムを2011年に建て替えて完成した。ブカレストのチームというとステアウア・ブカレストが有名であるが、ステアウア・ブカレストとルーマニア代表のホームスタジアムである。
 そしてこのスタジアムのこけら落としは2011年9月6日の欧州選手権予選のルーマニア-フランス戦であった。フランス戦がこけら落としとなったのには理由があった。元々は同年8月にアルゼンチンを招いて親善試合を行う予定であった。ところが7月にアルゼンチンで開催された南米選手権でアルゼンチンは準々決勝でウルグアイに敗れてしまう。この責任を取ってセルヒオ・バティスタ監督が辞任し、チームは混乱し、この親善試合がキャンセルとなってしまった。そして1月遅れでフランスを迎えてのこけら落としとなった。そこまで予選で3勝2分2敗という成績のルーマニアは新スタジアムのオープンとともにラストスパートを図ったが、この試合はスコアレスドローとなる。結局、ルーマニアはフランス、ボスニア・ヘルツェゴビナに次ぐ3位にとどまり、予選敗退となり、新スタジアムのオープンを飾ることができなかった。
 スイスはこのスタジアムでは試合をしたことがないが、フランスは10年前のこけら落とし以来の試合となる。

■グループリーグ最終戦と同じメンバーのスイス

 さて、両チームの先発メンバーを紹介しよう。上から下まですべて白いユニフォームのスイス、GKはヤン・ゾマー、DFは3バック、右からニコ・エルベディ、マヌエル・アカンジ、リカルド・ロドリゲス、MFは4人、右からシルバン・ビドナー、レモ・フロイラー、グラニト・ジャカ、シュテフェン・ツバー、FWは3人、中央にトップ下的にジェルダン・シャチリ、右にハリス・セフェロビッチ、左にブレール・エンボロという布陣、3-4-1-2というシステムである。スイスはグループリーグの最終戦でトルコに勝利して3位に滑り込んだが、そのトルコ戦と全く同じ先発メンバーで決勝トーナメント1回戦を迎えることになる。

■3バックシステムを採用したフランス

 一方のフランスは上下は青でストッキングが赤となる。GKはウーゴ・ロリス、DFはこの大会始めて3バックシステム、右にラファエル・バラン、中央にクレマン・ラングレ、左にプレスネル・キンペンベと並ぶ。MFは4人、右からバンジャマン・パバール、ポール・ポグバ、エンゴロ・カンテ、アドリアン・ラビオである。FWは3人、トップ下にアントワン・グリエズマン、右にカリム・ベンゼマ、左にキリアン・ムバッペとなっている。
 グループリーグ最終戦とは先発メンバーだけではなく、システムも変更することになった理由は負傷である。左サイドのルカ・ディーニュとストッパーのジュール・クンデが負傷でベンチからも外れた。ほかにもトマ・ルマール、マルクス・テュラム、ルカ・エルナンデスなどは負傷を抱えてのベンチ入りとなる。ディディエ・デシャン監督は今大会初めて3バックシステムを採用するとともに、ラングレを初先発させる。また、ラビオをワイドに配置し、左サイドでの攻守を任せる。

■欧州選手権史上初の域外主審のフェルナンド・ラパリーニ氏

 そしてこの試合の主審はアルゼンチン人のフェルナンド・ラパリーニ氏である。今大会はUEFAとCONMEBOLの間の審判交流ということで60年を迎える欧州選手権で初めて欧州以外からの審判を迎えた。域外から唯一選出されたラパリーニ氏はグループリーグではウクライナ-北マケドニア、スコットランド-クロアチアの2試合の主審を務めた。ウクライナ-北マケドニア戦はこのブカレストで行われており、ラパリーニ氏についてはこの試合がブカレストでの2試合目となるのである。(続く)

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