第2855回 決勝トーナメント1回戦はスイスと対戦(4) 先制を許すもカリム・ベンゼマの連続ゴールで逆転

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■8強の6番目の椅子をかけたフランス-スイス戦

 フランス-スイス戦の行われる前日の6月27日までに決勝トーナメントは4位四阿を消化、デンマーク、イタリア、チェコ、ベルギーが準々決勝に進出している。6月28日は18時からスペイン-クロアチア戦がデンマークのコペンハーゲン、21時からルーマニアのブカレストでフランス-スイス戦が行われ、勝者同士が準々決勝で対戦する。スペインとクロアチアの戦いは延長戦になり、ブカレストでの試合のウォーミングアップ中に決着がついた。延長前半に2点をあげたスペインが5-3と勝利し、ロシアのサンクトペテルブルクで行われる準々決勝でブカレストでの試合を勝ち抜いたチームを待ち受けることになった。

■3試合連続して先制を許したフランス、リードされて後半に

 アルゼンチン人主審の元、スイスのキックオフで始まった試合、開始早々にフランスはキリアン・ムバッペが攻め込んでCKのチャンスを得る。アントワン・グリエズマンのCKをラファエル・バランがヘディングでシュートするが、これは枠を外れる。一方、その直後の4分には今度はスイスがCKのチャンス、ニコ・エルベディのヘディングもゴールから外れる。
 両チームが積極的にゴール前に攻め込む展開となったが、15分、スイスは左サイドをシュテフェン・ツバーがドリブルで前進、フランスの右サイドMFのバンジャマン・パバールを交わしてクロスをあげる。このクロスをニアポストで、スイスのハリス・セフェロビッチがフランスのCBのクレマン・ラングレを交わしてヘディングシュート、これをウーゴ・ロリスは止めることができず、スイスが先制点を決める。スイスはフランス相手に久しぶりの得点となった。フランスはグループリーグのハンガリー戦、ポルトガル戦に次いで3試合連続で先制を許す。1点をリードしたスイスは引き気味となり、フランスは30分過ぎにパバールを最終ラインに下げて3バックではなく4バックにしたが、攻め手を欠き、フランスは1点を追って前半を終える。

■主将ウーゴ・ロリス、9年ぶりにPKをストップ

 後半開始時にフランスはラングレをベンチに下げ、キングスレー・コマンを投入し、4-4-2システムに変更する。ところがパバールはまたスイス攻撃陣に抜かれてしまい、修正が利かない。さらに53分にはツバーに抜かれたパバールがペナルティエリアのぎりぎりのところでタックル、倒してしまう。VARの結果、PKとなるが、リカルド・ロドリゲスのPKをロリスが右手でセーブし、このピンチは逃れた。ロリスがフランス代表の試合のPKでセーブして得点を防いだのは実に9年ぶりのこととなる。

■カリム・ベンゼマの連続ゴールでフランスが逆転

 主将の見事なセーブで追加点を阻んだフランスはこれで生まれ変わる。そのピンチの直後にはポール・ポグバからのパスをムバッペがシュートまで持ち込んでいる。さらに57分グリエズマン、ムバッペとパスをつなぎ、ムバッペからパスを受けたベンゼマはスイスのGKヤン・ゾマーと1対1になる。これをベンゼマは左足で決めてフランスは同点に追いつく。代表でのゴールが30点目となったベンゼマの勢いは止まらなかった。その直後の59分、左サイドのMFの位置に入ったコマンが駆け上がる。そしてグリエズマンにボールを託し、グリエズマンがシュートを放つ。このシュートはスイスのGKに阻まれたが、クリアボールがゴール前にあがり、ファーポストに走りこんだベンゼマがヘディングで押し込んで逆転ゴールとなった。これでベンゼマは代表通算31得点目、ジネディーヌ・ジダンに並んだ。5年半ぶりに復帰させたディディエ・デシャン監督の判断は正しかったとフランスのファンは思ったであろう。
 そしてフランスのファンが思い出したのは5年前の前回大会を思い出したであろう。決勝トーナメント1回戦、フランスはリヨンでアイルランドと対戦する。この時もアイルランド戦も1点リードされて折り返したが、後半に2点を奪って逆転勝利している。
 しかし、ここから思わぬ展開となったのである。(続く)

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