第2866回 U-21欧州選手権でも惨敗したフランス
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■欧州選手権の1年延期で分離日程となった21歳以下欧州選手権
前回まではオリンピックでの戦いを紹介してきた。今年は主要国際大会としてオリンピックの前にフル代表による欧州選手権、U-21欧州選手権が行われたが、いずれもフランスは惨敗という結果に終わった。
本連載で紹介した通り、オリンピックはグループリーグで敗退、欧州選手権は決勝トーナメント1回戦で敗退(ベスト16)した。
U-21欧州選手権は2年に1回、奇数年に開催され、今回の大会は出場国を従来の12から16に増やしてハンガリーとスロベニアで2021年6月に開催される予定であった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、日程に変更が生じた。フル代表の欧州選手権が1年延期され6月から7月にかけて行われることになったため、大会開催期間が重複しないようにするため、グループリーグと決勝トーナメントの時期を分離させ、決勝トーナメントは5月末から6月初旬に行い、グループリーグは3月の末に開催することになった。またU-21(21歳以下)とはいえ、出場資格は1998年以降生まれであり、実際には23歳以下である。
■ワールドカップ予選と重なった3月のグループリーグ
グループリーグはフル代表のワールドカップ予選と同じ時期に行われ、決勝トーナメントはフル代表は欧州選手権を控得た時期の開催となる。当然、グループリーグと決勝トーナメントではメンバーの入れ替えが選手のパフォーマンスやコンディションだけではなく、フル代表との兼ね合いという観点からも行われる。またこのチームの監督はシルバン・リポル、すなわちオリンピック代表の監督と兼務しており、オリンピックに関しては各クラブとの選手の招集に課題が生じたとしても、アンダーエイジでの最強の人選を現場ですることができるはずであった。
3月のグループリーグに臨んだ23人のメンバーのうち、この時点でフル代表の経験があったのはジョナタン・イコネとエドゥアルド・カマビンガの2人であり、それ以外にジュール・クンデはその後欧州選手権メンバーとなり、代表経験者となった。
無観客で行われたグループリーグでフランスはグループCに入り、ハンガリーで戦った。フランスは第1戦でデンマークに0-1に敗れたが、第2戦でロシア、第3戦でアイスランドに連勝し、デンマークに次いでグループリーグ2位で決勝トーナメントに進出した。
■欧州選手権の直前に行われた決勝トーナメント、初戦でオランダに敗れる
決勝トーナメントに臨むメンバーは5月20日に発表された。欧州選手権のメンバーの発表が18日であり、まずフル代表のメンバーを固め、それからアンダーエイジのメンバーの発表となった。
3月のメンバーから6人が入れ替わった。新たに加わったメンバーはダヨ・ウパメカノ、ホッサム・アウアという3月の時にはフル代表に入っていたメンバー、ドイツのレバークーゼンで活躍するムーサ・ディアビなどが入り、フル代表に抜擢されたクンデが抜けた。
この陣容で欧州の頂点を目指すべく、ハンガリーのブダペストでオランダと対戦する。オランダもフル代表は欧州選手権に出場している。しかし、フル代表経験のある選手も3人いる。その中の1人のマイロン・ボアドゥが先制点をあげる。フランスもフル代表経験のあるウパメカノが同点ゴールを決めるが、後半のアディショナルタイムにボアドゥに決勝点を入れられて、フランスは敗退してしまった。
■U-21欧州選手権のメンバーからオリンピック出場は2人だけ
この大会の出場資格は1998年1月1日以降生まれであり、1997年1月1日以降生まれのオリンピックとは1歳しか異ならない。エントリーした選手はオリンピックの出場資格があったが、結局オリンピック代表した選手はピエール・カルルとランダル・コロ・ムアニの2人しかいなかったのである。フル代表の欧州選手権に出場した選手がいないだけではなく、ほぼ同世代の23歳以下代表のメンバーもほとんどいなかったオリンピック代表の早期敗退は妥当な結果であろう。(この項、終わり)