第2902回 UEFAネーションズリーグファイナルズ(7) 9年ぶりに決勝に進出したスペイン
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■欧州選手権の決勝トーナメント1回戦でクロアチアと対戦したスペイン
決勝トーナメントに進出したスペインは1回戦でクロアチアと対戦する。クロアチアは2018年のワールドカップでは準優勝、そしてその直後に行われた第1回UEFAネーションズリーグではすでに紹介した通り、スペインと対戦、双方がホームゲームで勝利したが、このグループはイングランドが首位となり、クロアチアは3位になっている。第2回のUEFAネーションズリーグでは今度はフランスと同じグループ3に入り、3位にとどまっており、3年前のワールドカップの輝きを取り戻せないでいる。3月に始まったワールドカップ予選も初戦でスロベニアに敗れてスタートした。
1年遅れの開催となった欧州選手権、初戦はウェンブリーでイングランドに敗れたが、スコットランドのグラスゴーに移動し、チェコと引き分け、最終戦はホームのスコットランド相手に勝利してグループ2位で決勝トーナメントに進出してきた。
■劇的な戦いを制したスペイン、2012年欧州選手権以来の準々決勝進出
デンマークのコペンハーゲンでのスペイン-クロアチア戦は劇的な展開となった。まず、20分にスペインのペドリがオウンゴールで1点を献上、しかし、スペインは前半のうちにパブロ・サラビアのゴールで追いつき、後半に入ってセサル・アスピリクエタが勝ち越し点、フェラン・トーレスが追加点を決め、2点リードで残り5分となる。しかし、炎の男というニックネームを持つクロアチアは85分に1点を返し、アディショナルタイムの92分にはマリオ・パシャリッチが同点ゴール、試合は延長戦となる。しかし、スペインは延長戦に入って延長前半の100分にアルバロ・モラタ、103分にミケル・オジャルサバルと連続ゴールで5-3というスコアでベスト8入りしたのである。主要国際大会でスペインが準々決勝に進出したのは2012年の欧州選手権以来のこととなる。
■スイスにはPK戦で勝利したが、準決勝のイタリア相手にはPK戦で敗れる
準々決勝はロシアのサンクトペテルブルクに移動し、決勝トーナメント1回戦でフランスをPK戦で下したスイスと対戦した。スイスは守りを固めた布陣であったが、スペインはこの試合もオウンゴールで先制、8分に先行する。スイスは68分にジェルダン・シャキリが同点ゴール、両チームは1回戦に引き続き、延長戦となった。延長戦ではノーゴール、PK戦となる。フランス戦に続いてPK戦となったスイスであったが、2人目以降が3人連続で失敗、スペインが準決勝に進出した。
準決勝以降はウェンブリーで開催、スペインはイタリアと対戦した。イタリアはグループリーグで3戦全勝、決勝トーナメントでは1回戦でオーストリアに延長戦の末に勝利、準々決勝では世界ランキング1位のベルギーを2-1と下し、四強の中では唯一の全勝チームであり、予選から通算して欧州選手権で15連勝という記録を樹立した。イタリアは60分にフェデリコ・キエーザが先制点を決めたが、スペインも80分のモラタの同点ゴールで追いつき、スペインは決勝トーナメントでは3試合連続の延長戦となった。延長戦でも決着はつかず、スペインは準々決勝に引き続きPK戦を戦う。先蹴のイタリアはファーストキッカーが失敗、スペインもファーストキッカーが失敗という波乱の予感。その後は両チームとも成功させるが、スペインは4人目のモラタが失敗、イタリアの5人目のジョルジーニョが決めてスペインは準決勝敗退となった。しかし、国際大会で久しぶりの上位進出で秋からの戦いに手ごたえをつかんだのである。
■4か月後に再び準決勝でイタリアと対戦、ミラノで勝利する
そしてその4か月後の10月6日、両者はまた準決勝で対戦した。イタリアのミラノで行われた第2回UEFAネーションズリーグの準決勝、スペインは前半のうちにフェラン・トーレスが2点を奪う。イタリアの反撃を試合終盤のロレンツォ・ペッレグリーニの1点におさえて、2-1と勝利する。スペインは2012年欧州選手権以来の決勝戦に進出したのである。(続く)