第3025回 思わぬ結果となったUEFAネーションズリーグ(1) 唯一の初選出となったブバカル・カマラ

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■6月の上旬に開幕する第3回のUEFAネーションズリーグ

 今回のカタールでのワールドカップは6月開催ではなく11月に開催される。欧州のシーズン直後ではなく、アジアのシーズン直後に行われ、欧州ではシーズン中の開催となる。シーズン中のワールドカップ開催は初めてのことであり、代表チームの編成、運営には苦心するであろう。そして本来であれば、ワールドカップの準備のために親善試合が行われる6月の上旬には今回で3回目となるUEFAネーションズリーグが開催される。
 フランスは本連載第2896回から第2904回で紹介した通り、昨年10月に開催された第2回大会のファイナルズで準決勝でベルギー、決勝でスペインを破り、優勝している。ワールドカップに加えてUEFAネーションズリーグもタイトルホルダーとなった。

■ワールドカップ、欧州選手権の本大会以外では史上初めて短期間に4試合

 第3回大会はグループリーグが6月上旬に4試合、9月下旬に2試合行われ、準決勝、決勝のファイナルズは来年の欧州のシーズン後の6月中旬に行われる。
 ワールドカップ本大会までの試合の予定はこのUEFAネーションズリーグと大会直前の親善試合だけである。UEFAネーションズリーグの連覇だけではなく、ワールドカップ本大会の準備の機会として位置付けたい。短期間に4試合行うことはワールドカップや欧州選手権の本大会を除いて100年を超えるフランス代表の歴史の中で初めてのことである。ワールドカップ本大会に向けた格好のリハーサルともなる。

■3月の親善試合時とほぼ同じメンバーを選出

 ディディエ・デシャン監督はこの4試合のために24人のメンバーを発表した。GKは3人、ウーゴ・ロリス、アルフォンス・アレオラ、マイク・メニャンの3人、DFはプレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、ジュール・クンデ、バンジャマン・パバール、ルカ・エルナンデス、テオ・エルナンデス、ジョナタン・クロース、ラファエル・バラン、ウィリアン・サリバの9人、MFはマテオ・ゲンドウジ、ブバカル・カマラ、アドリアン・ラビオ、エンゴロ・カンテ、オーレリアン・チュアメニの5人、FWはアントワン・グリエズマン、キリアン・ムバッペ、カリム・ベンゼマ、ムサ・ディアビ、キングスレー・コマン、ウィッサム・ベン・イェデル、クリストファー・ヌクンクの7人である。

■セネガル代表入りの可能性もあったブバカル・カマラがフランス代表入り

 直近の3月のアフリカ勢との親善試合に招集したメンバーとほぼ同じであったが、唯一の新人がカマラである。来季はイングランドのアストンビラでプレーするが、マルセイユに所属する22歳の選手である。所属するマルセイユではDFとして出場することが多く、2016年に17歳でプロデビューした試合も終盤に酒井宏樹と交代していることから、日本の皆様もなじみのある選手であろう。しかし、代表チームでは守備的MFとして期待されている。というのも3月に招集したメンバーのうち、唯一離脱したのが負傷したポール・ポグバである。ポグバ不在の守備的MFのポジションはカマラに白羽の矢が立ったのである。
 カマラはマルセイユ出身であり、5歳の時にマルセイユの下部組織に入る。それに加えて幼少期はコルシカ出身の母親とともに、シーズンチケットを保有してマルセイユの試合を毎試合見に行き、マルセイユを代表するサポーター集団であるヤンキーのメンバーであった。
 年代別フランス代表の常連であり、2019年には20歳以下のワールドカップ、2021年には21歳以下の欧州選手権にも出場している。所属するマルセイユではコンスタントに試合に出場し、若手選手のリーダー格であり、今回、初めてフル代表に選出された。しかし、カマラの代表入りは少々意外な印象を持たれた。それはカマラの父親がセネガル人であり、アフリカ選手権を制し、ワールドカップ予選も突破したセネガルのアリウ・シセ監督からセネガル代表入りの打診があった。セネガルの守備的MFはパリサンジェルマンのイドリッサ・グイエかイングランドのシェイフ・クヤテであるが、ワールドカップ本大会時にはともに33歳となる。しかし、カマラはポグバの負傷という要因もあり、フランス代表に選出されたのである。(続く)

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