第3068回 UEFAネーションズリーグ終盤戦(1) ワールドカップ前の最後の機会に負傷者が続出
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■ワールドカップ前最後の代表の試合となるUEFAネーションズリーグ
9月初めに欧州カップのグループリーグが始まり、本連載ではチャンピオンズリーグに出場したパリサンジェルマンとマルセイユの戦いについて紹介した。第2節も行われ、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグのグループリーグも始まったが、今回からは9月下旬に行われるUEFAネーションズリーグの終盤戦を紹介しよう。
本連載の第3025回から第3030回で紹介した通り、前回大会で優勝したフランスは、3回目となる今大会では苦戦しており、4試合を消化した時点で2分2敗と勝利がなく、最下位に低迷、優勝の可能性が消滅した。にもかかわらず、ファンが注目するのは9月下旬に行われるこの2試合がワールドカップ前の最後の試合となるからである。フランス代表の選手のほとんどは欧州の五大リーグに所属しているが、ワールドカップが11月20日から始まるのに対し、スペインリーグは11月9日まで、それ以外のリーグは13日まで試合を行っており、1週間の間にチームとしての準備をすることは難しい。
■前回チャンピオンながら苦戦しているフランス
フランスは9月22日にオーストリアとスタッド・ド・フランスで対戦し、25日にはコペンハーゲンでデンマークと対戦する。オーストリアは第4節まで終えた時点でフランスよりも勝ち点で2上回っており、フランスはこの1戦を落とすと最下位が確定し、次回大会は2部に相当するリーグBに陥落することとなる。また、デンマークはこの時点で勝ち点9で首位、優勝のかかった大一番になる可能性が大きい。フランスにとっては両チームに勝利して最下位を脱出、前回王者としてリーグA残留を狙いたい。
■負傷者を多く抱え、苦しいメンバー選出
ディディエ・デシャン監督は9月15日にメンバーを発表した。このような真剣勝負がワールドカップ前最後の試合となるが、デシャン監督にとって頭が痛いのが負傷者の多さである。ルカ・エルナンデス、エンゴロ・カンテ、プレスネル・キンペンベ、キングスレー・コマン、ポール・ポグバ、カリム・ベンゼマというメンバーは負傷によりメンバーに入ることができない。
結局、当初発表した23人のメンバーは以下のようになった。GKは3人、ウーゴ・ロリス、アルフォンス・アレオラ、マイク・メニャンの3人、DFはブノワ・バディアシル、ジョナタン・クロース、ダヨ・ウパメカノ、バンジャマン・パバール、テオ・エルナンデス、ウィリアン・サリバ、ラファエル・バラン、ジュール・クンデ、フェルラン・マンディの9人、MFはユスフ・フォファナ、マテオ・ゲンドウジ、アドリアン・ラビオ、エドゥアルド・カマビンガ、オーレリアン・チュアメニの5人、FWはアントワン・グリエズマン、ウスマン・デンベレ、オリビエ・ジルー、キリアン・ムバッペ、クリストファー・ヌクンク、ランダル・コロムアニの6人である。
■メンバー発表後も負傷者続出、代表未経験者5人がメンバー入り
この時点でジルー、ダンベレの復帰と新人としてコロムアニとフォファナ、バディアシルの3人を招集したところから苦しい布陣であることは明白であったが、さらに負傷による離脱者が続出した。DFのテオ・エルナンデスが離脱し、ルカ・ディーニュを招集するが、ディーニュも負傷し、アドリアン・トリュフェールが入る。MFのラビオも負傷で離脱し、ラビオの代わりにブバカル・カマラをイングランドのアストン・ビラから呼び寄せたが、そのカマラもリーグ戦で負傷し、ジョルダン・ベレトゥを招集することになった。そして主将でGKのロリスも負傷、ナントのアルバン・ラフォンが加わった。
結局、キックオフを迎える時点でフランス代表は11人が負傷しており、23人のメンバーのうち、代表経験のないのはコロムアニ、フォファナ、バディアシルに加え、追加招集のトリュフェール、ラフォンを加えた5人となった。苦しい状態でのワールドカップ2か月前の大量新人の起用となったのである。(続く)