第3071回 UEFAネーションズリーグ終盤戦(4) オーストリアに勝利し、最下位脱出
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■オーストリアの守備の要のパトリック・ペンツ、攻撃の中心マルコ・アルナウトビッチ
近年の復調が著しい古豪オーストリアであるが、チームを牽引しているのは攻守の2人である。まず、守備に関してはGKのパトリック・ペンツ、スタッド・ド・ランスで活躍する選手である。一方、攻撃に関してはFWのマルコ・アルナウトビッチ、所属するイタリアのボローニャで6点をあげており、セリエAの得点ランキングトップである。そしてアルナウトビッチはこのフランス戦が代表103試合目、オーストリア代表としてアンドレアス・ヘルツォークと並ぶ最多出場試合数となった。記念すべき試合でゴールを決めたいところである。
■シュートの精度が悪く苦戦を強いられているフランス
フランスはこの大会ではシュートの精度が悪い。ここまで4試合でのシュート数は58、これは45のデンマークとオーストリア、34本のクロアチアを抑えてトップである。しかし、これまでの総得点はデンマークが6点、5点がオーストリア、3点がフランスとクロアチアと逆になっている。オリビエ・ジルーとキリアン・ムバッペの2人の奮起が期待される。
■圧倒的に攻めた前半のフランス、ジュール・クンデとマイク・メニャンが負傷で交代
試合は青いユニフォームのフランスが先に攻撃を仕掛けた。開始早々の2分に中盤でオーストリアからボールを奪い、ムバッペがシュート、ボールはゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定でノーゴール、しかし、ゴールへの意欲を表す。この攻撃が示すように、フランスは積極的に攻め、最後尾の3バックの選手まで攻めあがる。一方のオーストリアは、ラルフ・ラングニック監督の十八番のプレッシングサッカーでフランスの攻撃を止めようとするが、ここまでフランスが攻勢に出ると難しい。オーストリアの選手はピッチの下の3分の1、すなわち自陣ゴールラインから30メートルまでの狭いエリアにくぎ付けとなった。攻撃を組み立てることのできないオーストリアは最前線のアルナウトビッチへのロングパスに活路を見出そうとするが、シュートまで結びつけられない。
攻め続けていたフランスにアクシデントが起こったのは21分、3バックの一翼で攻撃にも参加していたジュール・クンデが負傷、早くも23分にウィリアン・サリバと交代した。フランスは試合を支配し、攻め続けながらも先制点をあげることができない。CKのキッカーをムバッペに変えて、ジルーの頭に合わせてもゴールネットを揺らすことができない。これまでの4試合と同様に、シュートを放つが得点に至らないというシンドロームに襲われていた。前半のフランスのシュート数は実に15本、しかし、その中で枠の中に飛んだのは4本だけという不安な数字とともに選手はロッカールームに引き揚げた。
一方、前半のシュートはわずか1本というオーストリアも、勝ち点ではフランスをリードしており、アウエーでの勝ち点1が狙いである。
ロッカールームから出てきたイレブンに、スタッド・ド・フランスの観衆はどよめく。GKのマイク・メニャンが負傷したため、ピッチに戻らず、アルフォンス・アレオラがゴールを守る。ウーゴ・ロリスは負傷でメンバーから外れており、代表4試合目となる第3GKがフィールドに入ることになった。
■終盤に得点を重ねたキリアン・ムバッペとオリビエ・ジルーの2トップ
スタッド・ド・フランスのファンはワールドカップ前最後のホームゲームとなるイレブンに声援を送る。この声援に応えたのがムバッペであった。ムバッペは得意のドリブルから右足でシュート、代表28ゴール目が先制点となる。
そしてもう1人のFWであるオリビエ・ジルーも張り切る。59分にはペナルティエリアに持ち込んだところで押されたが、PKは与えられなかったものの、65分にアントワン・グリエズマンのクロスをヘディングでシュート、代表49得点目、首位のティエリー・アンリまであと2点に迫った。そして35歳357日のゴールはフランス代表史上最年長の得点となった(従来の記録は1959年にロジェ・マルシュがスペイン戦で記録した35歳287日)。まさにフランスの玉鷲と言えるであろう。後半アディショナルタイムにはランダル・コロムアニも代表にデビュー、2-0と勝利したフランスは最下位を脱出したのである。(続く)