第3177回 2024年欧州選手権に向け、好発進(6) 予選初戦はオランダに大勝

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■主将キリアン・ムバッペがアシストし、副将アントワン・グリエズマンが先制点

 ディディエ・デシャン監督にとって6回目となる国際大会の予選、その初戦の相手はFIFAランキング6位のオランダ、簡単には勝利できない相手である。
 試合はかつてリヨンに所属し、現在はスペインのアトレチコ・マドリッドに所属しているメンフィス・デパイのキックオフで始まった。アウエーのオランダは攻めあがることはせず、控えめに試合に入る。しかし、フランスの攻撃陣が高いポジションでチェースする。アントワン・グリエズマンがボールを奪い、ランダル・コロムアニにつなぎ、左サイドにいたキリアン・ムバッペにパスをする。ムバッペが角度のないところからクロス、これをグリエズマンが左足でシュート、開始2分でフランスは先制点を奪った。さらに、これは主将のムバッペからのパスを、主将の有力候補で副将となったグリエズマンが得点を決め、ムバッペ新時代のスタートを祝福するゴールとなった。

■ベテランの後に入ったマイク・メニャンとダヨ・ウパメカノが活躍

 前回の本連載でも紹介した通り、フランスの先発メンバーのうち7人は直近の試合であるワールドカップ決勝のアルゼンチン戦でも先発していた。アルゼンチン戦で先発しなかったのはGKのマイク・メニャン、DFのダヨ・ウパメカノ、FWのキングスレー・コマン、コロムアニである。このうち、メニャンとウパメカノはウーゴ・ロリスとラファエル・バランの代表からの引退によって先発メンバーとなった。ウパメカノはストッパーのコンビをイブラヒマ・コナテと組むが、これはワールドカップの初戦の豪州戦以来のことである。豪州戦は先制点を奪われ、苦戦したことは記憶に新しい。ファンにとっては長らくフランス代表の守備を支えてきたベテランの後に入ったということで不安も感じていたが、それは杞憂であった。 フランスの先制点の直後に、オランダはCKのチャンスを得るが、これをコナテはヘディングで確実にクリアした。そして8分には左サイドからのFKをグリエズマンがゴール前に蹴りこむ。これに対するオランダのGKヤスパー・シレセンのミスもあり、ウパメカノが押し込んで追加点となる。ウパメカノは代表13試合目にして2得点目となった。

■キリアン・ムバッペが2ゴールを追加

 試合はオランダがボールを支配し、ゴール前に迫る回数が多かったのもオランダの方が多かったが、得点につなげたのはフランスであった。オーレリアン・チュアメニのスルーパスがコロムアニにつながる。コロムアニはムバッペにパスし、ムバッペがグラウンダーのシュートで3点目を決めた。主将ムバッペとしての初ゴールである。
 オランダはフランスをはるかに上回るボール保持率であったが、前半は無得点に終わり、フランスが3点を先行して後半を迎えた。 後半に入ってからボール支配率などでフランスは盛り返すが、両チームとも得点を奪うことなく時計の針は進んでいく。78分にムバッペが抜けだすが、シレセンが防ぎ、ムバッペの2点目を許さない。この日が2回目の先発出場となったコロムアニに代わってオリビエ・ジルーが入ってくる。ジルーはスタッド・ド・フランスでのホームゲームでゴールを量産している。スタッド・ド・フランスで出場した過去20試合で15ゴールをあげている。86分にはアドリアン・ラビオからのパスを受けた途中出場のムサ・ディアビのシュートがゴールネットを揺らしたが、オフサイドでノーゴール。そして88分にはムバッペがようやく待望の追加点をあげ、代表通算38ゴール目となる。

■PKをストップしたマイク・メニャン

 試合はこれで終わらなかった。その直後にはケフラン・テュラムがラビオに代わり、うれしい代表デビューとなる。アディショナルタイムの94分にはウパメカノがボウト・ヘグホルストと競り合った際にペナルティエリア内でハンド、PKが与えられる。この日決定的なシーンのなかったメニャンに見せ場がやってきた。オランダのデパイの蹴ったボールに反応し、見事にメニャンはセーブした。
 フランスは難敵相手に4-0と大勝、オランダは1936年以来のフランス国内での勝利はならなかったのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ