第3179回 アイルランドにも勝利、連勝スタート(2) 完勝したオランダ戦から3人を入れ替え

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■サッカーとラグビーの代表戦で使用されるアビバ競技場

 2010年ワールドカップ予選のプレーオフのティエリー・アンリの疑惑のハンド、そして今年2月のラグビーの6か国対抗、フランスとアイルランドの間の忘れられない勝負を紹介したが、今回の欧州選手権予選の舞台は2月のラグビーの代表チームが戦ったアビバ競技場である。サッカーとラグビーの代表チームが同じスタジアムを本拠地とするのはフランスと同様である。
 アイルランドはこの試合が欧州選手権予選の初戦となる。フランスがオランダと対戦した3月24日にはリトアニアと親善試合を行い、3-2と勝利している。アイルランドも初戦がホームとはいえフランスという厳しい開幕となる。
 アビバ競技場は5万人の観衆で満員となるが、フランス連盟は、この試合には2,905人のフランスからファンが駆け付け、ワールドカップと欧州選手権の予選で国外で行われた試合では史上4番目に多い数字と発表している。アイルランドはフランス人にとっては魅力的なエリアである。

■少数のベテランと多数の若手選手で構成されたアイルランド

 フランスのファンが集結している一角を除けば、緑一色に染まったアビバ競技場、ホームのアイルランドは緑のユニフォーム、白いショーツ、緑のストッキングといういでたちである。
 2020年の欧州選手権予選で敗退した後に就任したアイルランドのステファン・ケニー監督は2022年のワールドカップ予選で敗退したが、チームの軸となるベテランは残しつつも、若い選手を多数起用し、欧州選手権予選の初戦を迎える。ベテラン選手としては主将のコールマンは34歳、副将のジョン・イーガンは30歳、左サイドDFのマット・ドハーティは31才であるが、それ以外のメンバーは20代前半である。特にCFのエバン・ファーガソンは18歳、GKのギャビン・ガズヌは21歳という若さである。また、33歳のジェームズ・マクレーンや31歳のジェフ・ヘンドリックはベンチでスタートとなる。

■オリビエ・ジルーがCF、右サイドに入ったランダル・コロムアニ

 一方のフランスはオランダ戦と同じ白いユニフォーム、青いショーツ、白いストッキングで臨む。先発メンバーはGKはマイク・メニャン、DFは右からバンジャマン・パバール、イブラヒマ・コナテ、ダヨ・ウパメカノ、テオ・エルナンデスの4バックシステム、MFは3人、中央の低い位置にエドゥアルド・カマビンガ、右にアントワン・グリエズマン、左にアドリアン・ラビオ、FWも3人で右にランダル・コロムアニ、左にキリアン・ムバッペ、中央にはオリビエ・ジルーという布陣である。オランダ戦と入れ替わったのは3人、右サイドDFがジュール・クンデからパバール、中央のMFがオーレリアン・チュアメニからカマビンガ、CFがコロムアニからジルーへと変わり、コロムアニは右サイドに入り、キングスレー・コマンがベンチスタートとなった。
 コロムアニに関してはCFではなく右サイドとしてその可能性を確認したいところである。日本の皆様であれば東京オリンピックではサイドのFWとして活躍していた記憶をお持ちであろう。フル代表でどの程度通用するか、期待は大きい。また、チュアメニに変えてカマビンガもその可能性が試されることになる。

■人材難のサイドDFにはバンジャマン・パバールを起用

 そしてディディエ・デシャン監督が悩んだのは右サイドDFである。近年のフランスはサイドDFの人材がなかなか固定しないことが課題である。昨年のワールドカップではルカ・エルナンデスが負傷した後にテオ・エルナンデスが入って大活躍をしたことから選手層が厚いように見えたが、実はそうでもない。サイドDFは専門性が必要なポジションであるが、育成段階で能力のある選手はMFやFW、そしてDFの場合でも中央のストッパーとして育て、年少期において能力のある選手がサイドDFに回らないことが原因と言われている。デシャン監督はワールドカップでは精彩を欠いて出場機会に恵まれなかったパバールを右サイドに起用したのである。(続く)

このページのTOPへ