第3214回 ジブラルタル、ギリシャと欧州選手権予選(4) フランス、ジブラルタルとの初対決を制す

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■フランスの最年長選手は37歳のオリビエ・ジルー

 前回の本連載ではジブラルタルに2人の40代の選手がいることを紹介したが、フランス代表にも36歳と260日のオリビエ・ジルーが先発メンバーとして入っている。フランス代表の最年長出場記録は37歳と258日、スティーブ・マンダンダが昨年のワールドカップのチュニジア戦で記録している。ジルーはチュニジア戦の次の次の試合のイングランド戦でゴールをあげ、36歳と71日での得点はフランス代表の最年長得点者である。
 同世代のカリム・ベンゼマ、ウーゴ・ロリス、ジルーよりも若いラファエル・バランが代表から引退する中で、ジルーは引退せず、ディディエ・デシャン監督は3月のオランダ、アイルランドとの欧州選手権予選のメンバーとして招集し、オランダ戦は途中出場、アイルランド戦は先発出場し、ジブラルタル戦も先発出場、これで代表戦の出場数は123となり、これはロリス(145試合)、リリアン・テュラム(142試合)に続き、ティエリー・アンリと並ぶ3位の記録である。

■フランス代表の最多得点者のジルーが先制点

 2011年に代表にデビューしたジルーはこの間に得点を重ね、53得点はフランス代表で最多である。2位のアンリ(51得点)を昨年のワールドカップのポーランド戦で抜き去り、単独トップとなった。
 このベテランのジルーが、このジブラルタル戦でも活躍をする。キックオフされてから白いユニフォームのフランスはジブラルタルを一方的に押し込む。3分にキングスレイ・コマンのクロスをジルーがヘディングで決める。コマンは2年ぶりに代表戦でアシストを決めた。そしてジルーは自身の持つ代表での最多得点記録を54に伸ばした。そしてこの54得点のうち16得点がヘディングシュートによるものであり、アンリの51得点中6点と比べれば突出している。

■得点ランキング3位のアントワン・グリエズマン

 さて、この日のフランス代表には得点ランキングのベスト5のうちの3人が先発している。1位のジルー、3位のアントワン・グリエズマン(43点)、5位のキリアン・ムバッペ(38点)である。そのグリエズマンが、積極的なプレーでチャンスを作り出す。5分にはグリエズマンからテオ・エルナンデスを経由してムバッペにラストパスを送るが、追加点はならず。フランスは8割を超えるボール保持率でジブラルタルのイレブンをペナルティエリア内にくぎ付けにする。ジブラルタルのゴールにシュートのシャワーを浴びせるが、ジブラルタルのGKが次々とセーブする。30分にはオーレリアン・チュアメニが決定機を迎えたがヘディングシュートはバーをたたいた。これに対してジブラルタルは21分にFKからゴールを狙うが、ゴール前で合わせることができず、フランスのGKブリス・サリバがキャッチする。

■キリアン・ムバッペのPKで追加点、オウンゴールで3点目

 フランスが一方的に試合を支配しながら追加点が奪えなかった前半の終盤に2度のVARがあった。1回目は40分にバンジャマン・パバールのファウル、これは退場や渓谷にならず、ジブラルタルは強く抗議する。続いて42分、ムバッペのシュートがペナルティエリア内のジブラルタルの選手の手に当たる。今度はVARの結果、ハンドと判定、ムバッペがPKを決めて、フランスは追加点をあげる。
 後半に入ってもフランスは攻撃し続けるが、52分にはグリエズマンのシュートがポストに当たり、シュートの嵐も得点につながらない。攻撃陣を次々と入れ替え、負傷から復帰したクリストファー・ヌクンクも昨年9月のUEFAネーションズリーグのデンマーク戦以来の出場となる。78分、フランスはムバッペがスピードのあるドリブルで攻め込み、ゴール前のヌクンクにラストパス、これをジブラルタルの選手がコントロールミスして自らのゴールに入れてしまい、フランスは相手のオウンゴールで3点目を奪った。
 試合の終盤にフランスのシュートがゴールポストに当たるシーンが2度あったが、いずれもゴールインせず、フランスは3-0とジブラルタルとの初対決を制したのである。(続く)

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