第3271回 欧州選手権予選を突破(2) 予選突破を導いたキリアン・ムバッペの2ゴール

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■フランスとギリシャに連勝すれば勝ち点で並ぶオランダは負傷者続出

 フランス代表は前回の本連載で紹介した通り、守備陣に負傷者が続出しながらも、欧州選手権予選突破をかけてアムステルダム入りし、10月13日の決戦を待つ。第1シードのオランダはフランスと勝ち点6の差はあるが消化試合数が1試合少なく、10月16日にはフランスは予選の試合がなく、オランダはギリシャと予選を戦う。すなわち、オランダにとってもホームのフランス戦で勝利すれば、残り2試合となる時点でフランスと勝ち点で並ぶことができる。
 名選手の名を冠するようになったヨハン・クライフアリーナにはフランスに勝利することを期待する5万人以上の地元ファンが集まった。ただし、オランダはフランキー・デ・ヨング、メンフィス・デパイ、コーディ・ガクポ、マタイス・デ・リフトなど多くの選手が負傷でメンバーから外れている。

■今世紀になってオランダを圧倒しているフランス

 フランスの先発メンバーであるが、GKはマイク・メニャン、DFは4人で右からジョナタン・クロース、イブラヒマ・コナテ、ルカ・エルナンデス、テオ・エルナンデス、MFは3人、右にアントワン・グリエズマン、中央にオーレリアン・チュアメニ、左にアドリアン・ラビオ、FWは右にキングスレー・コマン、左にキリアン・ムバッペ、中央にランデル・コロムアニという布陣である。本来は同じポジションのエルナンデス兄弟がそろって先発する。
 フランスとオランダの過去の戦績はフランスの14勝4分11敗と勝ち越しているが、勝ち越したのは2016年のことである。20世紀はオランダが優勢であったが、21世紀に入るとフランスが6勝1分2敗と大きく勝ち越している。直近の対戦は本連載第3170回から第3178回で紹介した通り、今年3月23日のスタッド・ド・フランスでフランスが4-0と一蹴している。

■先制点は主将で背番号10のキリアン・ムバッペ

 両チームとも慎重な立ち上がりであったが、先に仕掛けたのはオレンジのユニフォームのオランダであり、フランスゴール前にクロスを立て続けに入れる。フランスの守備陣は難なくオランダの攻撃を防ぐ。白いユニフォームのフランスが先手を取る。7分、DFのクロースが攻撃の起点となる。グリエズマン、コマンとボールをつなぎ、コマンのクロスを主将で背番号10のムバッペが先制ゴールを決めた。これでムバッペは代表41ゴール目、30年前は誰も向くことがないと思われたミッシェル・プラティニの代表通算ゴール数と並んだ。
 その後はフランスが優勢に試合を進めるものの、両チームともシュートまで結びつかず、20分になるまでムバッペの先制ゴールが両チーム合わせて唯一のシュートであった。ようやく20分過ぎになって両チームともシュートを放ち始めるが、前半はフランスが1点リードして折り返す。

■ミッシェル・プラティニを抜く42得点を記録したムバッペ

 後半に入ってもフランスが優勢に試合を進め、52分のチュアメニのシュートはオランダの守備陣に阻まれたものの、53分には左サイドのラビオとムバッペがパス交換をして前進、最後はムバッペが右足で強烈なシュートを放ち、追加点となる。これでムバッペはプラティニを抜く42ゴールとなった。この日のムバッペは背番号10をつけキャプテンマークを付け、40年前のプラティニと同じいでたちである。これからもゴールを量産していくであろうムバッペの代表初ゴールはわずか6年前の2017年8月31日、相手はオランダであった。
 2点差をつけられたオランダは55分にドニエル・マレンのシュートが決まったかに見えたが、オフサイドで認められない。フランスはその後も安定した試合運び、80分にはクロースに代わりマロ・グストが入り、うれしい代表デビューとなる。
 オランダはこの日が代表デビュー戦となったクイリンシー・ハートマンが83分に1点を返すのが精一杯であった。フランスは86分にムバッペがハットトリック達成なるかというシュートを放つが、バーに当たり、ゴールはならなかった。
 難敵オランダをアムステルダムで2-1と破ったフランスは欧州選手権予選突破一番乗りを果たしたのである。(この項、終わり)

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