第3283回 欧州選手権予選フィナーレ(1) 17歳で代表に選出されたウォーレン・ザイール・エメリ

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■予選突破後に行われる11月の2試合

 来年ドイツで行われる欧州選手権、これまでの本連載で紹介した通り、グループBのフランスは10月13日にアウエーでオランダを倒し、6連勝で予選突破一番乗りを決め、首位も確定している。6試合で13得点、わずか1失点という圧倒的な成績を残した。
 そのフランスは11月に2試合予選の試合を戦う。18日にニースでジブラルタルと、21日にはアテネでギリシャとそれぞれ対戦する。

■17歳の新人ウォーレン・ザイール・エメリ

 11月9日に発表されたメンバーには若い新人の名前があった。それがウォーレン・ザイール・エメリである。パリサンジェルマンの選手としてこの連載でもしばしば登場してきたが、改めてこの若き逸材を紹介しよう。
 ザイール・エメリは2006年3月、パリ郊外のモントルイユで生まれた。ザイールはマルティニーク出身の母の名字、エメリはオーベルビリエ出身の父の名字である。父フランク・エメリはオーベルビリエのサッカーチームのコーチを務めていることからザイール・エメリは4歳の時にこのクラブに入り、父親から指導を受ける。そして8歳の時にパリサンジェルマンの育成組織に入る。ザイール・エメリはすでにカタール資本となっていたビッグクラブでその才能を発揮し、飛び級を繰り返す。わずか15歳で19歳以下のチームの一員となる。16歳の誕生日を前にして、当時のトップチームのマウリシオ・ポチェッティーノ監督はザイール・エメリをトップチームに引き上げる。

■16歳でパリサンジェルマンとプロ契約

 そして2022年7月、チームの日本遠征を前にザイール・エメリはプロ契約を結ぶ。8月6日のクレルモン戦では終盤に出場し、パリサンジェルマンではクラブ史上最も若い16歳4か月でトップチーム出場を記録したのである。さらにその2か月後の10月にはチャンピオンズリーグのマッカビ・ハイファ(イスラエル)戦に出場、16歳7か月もクラブ史上最年少でチャンピオンズリーグに出場したこととなる。そしてトップチーム2年目となる今シーズン、パリサンジェルマンはネイマール、リオネル・メッシが抜けたこともあり、ザイール・エメリは先発メンバーとなり、特にチャンピオンズリーグの第3節でACミラン(イタリア)に勝利した試合ではアシストを2つ決めるなど大活躍したことは記憶に新しい。

■固定メンバーの中に割って入った17歳

 そしてこの逸材は年代別代表の常連でもある。年代別代表チームでもチーム内で最年少で選出され、2022年に行われた17歳以下の欧州選手権では優勝に貢献し、大会最優秀選手となった。ところが2023年5月から6月にかけて行われた17歳以下の欧州選手権は所属するパリサンジェルマンが派遣を拒否した。パリサンジェルマンほどの戦力の充実したチームであってもザイール・エメリが必要不可欠な選手となったのである。9月にはティエリー・アンリが率いる来年のパリオリンピックを戦うチームで主将を務めた。
 そしてオーレリアン・チュアメニが負傷で離脱していることもありザイール・エメリはフル代表に初選出となったのである。
 17歳のザイール・エメリのチームメイトを紹介しよう。GKはアルフォンス・アレオラ、マイク・メニャン、ブリス・サンバの3人、DFはジョナタン・クロース、ルカ・エルナンデス、テオ・エルナンデス、イブラヒマ・コナテ、ジュール・クンデ、ジャン・クレール・トディボ、ウィリアム・サリバ、ダヨ・ウパメカノの8人、MFはエドゥアルド・カマビンガ、ユスフ・フォファナ、ブーバカ・カマラ、アドリアン・ラビオ、ザイール・エメリの5人、FWはキングスレー・コマン、ウスマン・デンベレ、オリビエ・ジルー、キリアン・ムバッペ、ランダル・コロムアニ、マルクス・テュラム、アントワン・グリエズマンの7人である。
 10月のオランダ、スコットランド戦とほとんど同じメンバーであり、ザイール・エメリがどのようなインパクトを与えるか、楽しみである。(続く)

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