第3284回 欧州選手権予選フィナーレ(2) ウォーレン・ザイール・エメリ、初出場で初ゴール
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■2013年に完成したニースのアリアンツ・リビエラ競技場
フランスは欧州選手権予選のグループBで6連勝を果たし、すでに予選突破を決めている。11月に予選の残り2試合、ジブラルタル戦とギリシャ戦が予定されている。この連戦に向けてディディエ・デシャン監督はこれまで通りのメンバーを選んだが、その中で唯一新人を選出、17歳のウォーレン・ザイール・エメリである。オーレリアン・チュアメニが負傷してメンバーに入っていないことから出場の期待も高まる。
11月18日は最後のホームゲーム、ジブラルタルとニースのアリアンツ・リビエラ競技場で対戦する。日本のファンの皆様にとってはラグビーワールドカップでイングランドと戦ったスタジアムであることから印象に残っているであろう。2013年に完成して以来、地元のニースの本拠地として使用された以外に2016年の欧州選手権、そして2019年の女子ワールドカップでも使用された。女子ワールドカップでも日本はイングランドに敗れており、日本にとっては鬼門である。
そしてフランス代表のサッカーチームはこれまでにニースで5回試合をしているが、そのうち4試合は新装なったアリアンツ・リビエラで行われている。ニースには以前からあったレイ競技場では1970年に1試合だけ行われ、2014年6月のパラグアイとの親善試合は実に44年ぶりのニースでの試合となった。
■ウォーレン・ザイール・エメリ、17歳と244日で代表デビュー
ニースでのフランス代表の試合は2年前のウェールズ戦以来である。3万2000人のファンの前に姿を表したフランスは、GKはマイク・メニャン、DFは右からジョナタン・クロース、ジャン・クレール・トディボ、ダヨ・ウパメカノ、MFは低い位置にウォーレン・ザイール・エメリとアドリアン・ラビオ、高い位置にアントワン・グリエズマン、FWは右にキングスレー・コマン、左にキリアン・ムバッペ、中央にマルクス・テュラムとなり、ザイール・エメリは背番号8をつけて先発メンバーに名を連ねた。17歳と244日での出場は1911年のフェリックス・ビアルの17歳と76日、1914年のモーリス・ガスティジェの17歳と128日に次いで史上3番目の若さであるが、コレラは100年以上前の記録であり、いかにこの若さで代表の試合に出場することが素晴らしいことかは言うまでもないであろう。
■オウンゴールで先制点、すぐさま追加点を決めたマルクス・テュラム
主審はジブラルタルと政治的には微妙な関係にあるイングランド(英国)のジョン・ブルックス氏、フランスのキックオフで試合が始まった。6月にポルトガルで行われたジブラルタルのホームゲームでもフランスは3-0と勝利しているが、試合はさらに一方的なものとなった。
開始早々から右サイドのクロースが攻め上がり、ファーストシュートを放つ。そして3分にはクロースはシュートではなくクロスを入れる。これをジブラルタルの選手がニアポストでタッチ、コントロールミスしてオウンゴール、フランスが早くも先制する。さらにその1分後、グリエズマンのシュートをジブラルタルのGKがはじいたところをテュラムが押し込んで追加点を入れた。
■ザイール・エメリ、初ゴールを決めるも負傷によりピッチを後にする
そして16分、フランス中の期待を受けて出場したザイール・エメリが代表戦初出場にして初ゴールを決めた。右サイドのコマンからのクロスをニアポストで右足で合わせてシュートし、ゴールインする。これは1914年にガスティジェが代表2試合目のスイス戦で得点を決めた17歳と156日に次ぐ2番目に若い得点記録者となった。
ところが、ザイール・エメリはこの得点を決めた一連のプレーの中でジブラルタルのストッパーのイーサン・サントスから後方からのタックルを受け、ひざを痛めて顔をしかめて立ち上がれなかった。結局、サントスはに対して主審はレッドカードを提示し、ジブラルタルは10人となる。フランスもザイール・エメリはピッチの外に出て、フランスとジブラルタルは10人ずつになるが、ほどなくしてザイール・エメリはスタッフに付き添われてピッチを後にし、20分にはユスフ・フォファナが交代出場となったのである。(続く)