第3285回 欧州選手権予選フィナーレ(3) 14-0という新記録でジブラルタルに勝利
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■ウォーレン・ザイール・エメリ、初得点後に負傷で交代
17歳でフランス代表戦にデビューしたウォーレン・ザイール・エメリ、それより若い代表デビューは過去2人いたとはいえ、100年以上前の第一次世界大戦前のことであり、実質的には最年少記録と言ってもよいであろう。
そして16分には得点も上げており、これも100年以上前のモーリス・ガスティジェに次いで若くしてゴールを決めた。まさに100年に一度の天才少年がフランス代表にデビューしたかと、ニースのアリアンツ・リビエラの3万2000人の観衆だけではなくテレビの視聴者も興奮したが、ザイール・エメリはこのプレーで負傷し、やむなくピッチを後にする。
■前半だけで7得点、ジョナタン・クロース、ユスフ・フォファナも代表初ゴール
試合の6分の1が終わった時点で3-0と差が開き、試合は決まったかと思われたが、この日のフランスは攻撃の手を休めなかった。ザイール・エメリへのファウルにより1人少なくなったジブラルタルに対し、一方的に攻め続けた。27分にはキリアン・ムバッペがチャンスをつかむが、これはオフサイド、しかし29分にはジブラルタルのペナルティエリア内でテオ・エルナンデスがジブラルタルの選手と競り合ったところで、ジブラルタルの選手にハンドがVARによって認められ、フランスにPKが与えられる。このPKをムバッペが決めて、代表74試合目にして44番目のゴールを決めた。
34分にはムバッペが右サイドからCKを蹴り、ファーサイドにいたジョナタン・クロースが右足で強烈なシュート、ジブラルタルのGKは全く反応できず、昨年3月に代表入りした時はすでに29歳と遅咲きのクロースは31歳になってうれしい代表初ゴールとなった。
36分には左サイドのキングスレー・コマンが波状攻撃の末にゴールを決めた。その直後の37分、ザイール・エメリに代わって出場してきたユスフ・フォファナがムバッペからのパスを受けてシュート、ジブラルタルのGKは手にふれることはできたが、フォファナのシュートはゴールラインを通過し、フォファナも代表初ゴールとなる。前半だけでフランスは7ゴールをあげた。相手のジブラルタルが10人で戦うことになったとはいえ、前半のフランスは、シュート数は19本、そのうち枠内シュートが8本という数字に対し、ジブラルタルはシュートを1本も放つことができず、試合はフランス代表史上に残る大差となる。
■ハットトリックを達成し、通算ゴール数で3位となったキリアン・ムバッペ
後半に入ってもフランスは前半同様に試合を支配し、攻め続けたが、得点差をなかなか広げることができなかった。53分にはアントワン・グリエズマンがGKと一対一になるチャンスを作ったが、ジブラルタルのGKデール・コーリングがブロックしてCKに逃れる。テオ・エルナンデスが蹴ったCKもジャン・クレール・トディボがヘディングで合わせるが枠から外れてしまう。
ようやく後半になってフランスが得点を決めたのは63分、CKからダヨ・ウパメカノのヘディングがジブラルタルの選手に当たって跳ね返ったところをアドリアン・ラビオが左足でゴールに叩き込む。このゴールで堰を切ったようにフランスのゴールが続き、65分にはコマンが決めて9-0となり、73分にはコマンに代わって入ってきたウスマン・デンベレがクロースのアシストで得点を決め、10-0となる。これで1995年9月6日にオセールで行われたアゼルバイジャン戦で残したこれまでの最多得点差記録と同じスコアとなる。
この大量点で黙っていないのが現時点でフランス代表の最多得点をあげ、途中出場してきたオリビエ・ジルー、そしてこの日も得点をあげているムバッペである。
ムバッペは74分に記録更新となる11点目を決め、82分にも得点を決めてハットトリックを達成し、代表通算46得点でグリエズマンを抜いて3位となる。
■37歳のオリビエ・ジルー、自身の持つ代表通算最多得点を56に伸ばす
一方、37歳のジルーは78分にシュートがゴールネットを揺らしたが、VARの結果、オフサイドとなり得点は取り消された。しかし、89分に左足でゴールを決めて、自身の持つ代表通算得点記録を55に伸ばす。さらに後半アディショナルタイムの91分にもゴールを決めて、56点まで数字を伸ばした。後半は2人の活躍で前半同様7得点をあげ、14-0という最多得点、最多得点差の新記録でフランスが勝利したのである。(続く)