第3385回 欧州選手権に臨むフランス代表(2) 力をつけてきたルクセンブルクと対戦

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■上限の26人ではなく25人で本大会に臨むディディエ・デシャン監督

 前回の本連載では欧州選手権に向けて5月17日にディディエ・デシャン監督が発表したメンバーを紹介したが、メンバーの数は最大限の26人に1人足りない25人であった。さらにこの25人の中で前回紹介したキングスレー・コマン、オーレリアン・チュアメニに加え、マイク・メニャンもこの時点では負傷中であり、試合に出場できる状態ではない。大会規定では最終エントリーの締め切りは6月7日であり、それ以降も大会初戦の前日まで負傷などの理由ではメンバー変更可能である。残り1人をデシャン監督が追加するのではないかというファンは憶測した。

■スパーリングマッチは国内でルクセンブルク、カナダと対戦

 ドイツで開催される欧州選手権に向けて、代表メンバーは5月29日に雨のクレールフォンテーヌに集まり合宿が始まった。6月3日にはエマニュエル・マクロン大統領が陣中見舞いに訪れた。本大会が隣国のドイツで開催されるということもあり、フランスは大会開幕直前まで国内で調整する。合宿中には新たな負傷者も出ず、大会前のスパーリングマッチに臨んだ。スパーリングマッチは2試合、6月5日にメスでルクセンブルク、6月9日にボルドーでカナダとそれぞれ対戦する。いずれも国内の地方都市での試合となる。

■4回目のフランス代表戦となるメッス

 メッスではワールドカップや欧州選手権の会場になったことはないが、これまでに3回フランス代表は試合をしたことがある。2005年にハンガリーとの親善試合が最初である。2010年にルクセンブルクと欧州選手権予選、2016年にスコットランドと親善試合を行い、いずれもフランスは勝利している。会場となったサンサンフォリアン競技場は改修を重ね、代表の試合ができるまでになった。サンサンフォリアンとはモゼール川の中州の名前であり、メッス市街地から離れた中州の中にある。昨年で開業100年を迎えた歴史ある競技場であるが、第二次世界大戦時にはナチスに占領され、水没させられたが、戦後、復興する。1984年の欧州選手権の開催候補地にもなったが同じ東部のストラスブールに開催の栄誉を譲った。なお、ストラスブールは欧州議会があるため、都市の機能を損なわれたくないということでそれ以降の主要大会の開催を拒んでいるが、メッスでも開催されていない。

■伝統国ルクセンブルク、プレーオフで敗れ、欧州選手権出場ならず

 対戦相手のルクセンブルクは小国でありながら伝統国である。ワールドカップも予選が導入された1934年の第2回大会から参加しているが、本大会出場はいまだ果たせぬ夢である。欧州選手権も同様である。フランスとの初対戦は今から100年以上前の1911年、当時はワールドカップも欧州選手権も誕生しておらず、親善試合であった。これまでの対戦成績も1勝1分16敗と大きく負け越している。そしてこれまでの対戦の種別であるが、ワールドカップ、欧州選手権が始まると力量の離れた相手とはそれらの予選が中心となり、親善試合は組みにくくなる。ルクセンブルクはフランスと3度目の対戦となった1914年の親善試合で5-4と勝利したのを最後に、ワールドカップ予選または欧州選手権予選でしか両チームは顔を合わせなくなったのである。
 100年以上フランスが勝利し続けたが、直近の対戦となる2017年9月3日のワールドカップ予選、首位のフランスは最下位のルクセンブルクをトゥールーズに迎える。すでにアウエーでも戦い勝利しているフランスであったが、この予選で代表にデビューしたキリアン・ムバッペなどを擁したフランスはルクセンブルク相手に大苦戦、スコアレスドローとなり、ルクセンブルク戦で103年ぶりに勝利以外の結果となったのである。このルクセンブルク戦が薬となったのか、翌年のワールドカップでフランスは優勝する。
 一方のルクセンブルク、この予選では指定席の最下位を脱出し、5位となる。そして注目すべきは今回の欧州選手権予選、第4シードとして臨み、予選ではグループ3位となり、プレーオフに進出した。プレーオフでは準決勝でジョージア(本大会に初出場)に敗れたが、力をつけてきたのである。(続く)

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