第3386回 欧州選手権に臨むフランス代表(3) キリアン・ムバッペの活躍でルクセンブルクを下す

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■負傷や休養でメンバーを一部欠くフランス

 24年ぶり3回目、ディディエ・デシャン監督にとっては初めての欧州制覇に向けて、6月5日のメッスのサンサンフォリアン競技場にルクセンブルクを迎えてスパーリングマッチを行った。ルクセンブルクとの親善試合は実に110年ぶりのことになる。
 前回の本連載でキングスレー・コマン、オーレリアン・チュアメニ、マイク・メニャンが負傷中であることを紹介したが、メニャンはこの試合で先発出場した。他方、コマンとチュアメニは先発せず、ベンチに控える。また、チャンピオンズリーグの決勝を戦ったばかりのスペインのレアル・マドリッドに所属するエドゥアルド・カマビンガとフェルラン・マンディは休養、そして体調を崩したウスマン・デンベレも先発メンバーから外れた。
 この試合のフランスの陣容はGKはメニャン、DFは右からジュール・クンデ、ダヨ・ウパメカノ、イブラヒム・コナテ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にエンゴロ・カンテ、右にユスフ・フォファナ、左にアントワン・グリエズマン、FWは右にランダル・コロムアニ、左にキリアン・ムバッペ、中央にマルクス・テュラムである。

■サウジアラビアのアル・イテハドで活躍するエンゴロ・カンテ

 今回のメンバー発表で驚きの1人となったカンテは2022年6月のデンマーク戦以来、2年ぶりの代表戦への出場となった。カンテはサウジアラビアのアル・イテハドに所属しているが、このクラブには機を同じくして元フランス代表のカリム・ベンゼマもレアル・マドリッドから移籍してきた。それ以外にポルトガル代表のジョッタ、ブラジル代表のファビーニョ、イタリア代表のルイス・フェリペも名を連ねる。サウジアラビアのクラブはアル・イテハドだけではなく豊富な資金量で欧州のリーグで活躍する選手を大量に獲得している。もちろん、ベンゼマ、ネイマール、クリスティアーノ・ロナウドのように峠を越えたスーパースターもいるが、かつての中国リーグと違うのはキャリアのピークにいるような選手も多く存在することである。そしてカンテは今シーズン、所属クラブで44試合に出場しており、これは欧州のトップレベルのクラブに所属してリーグ戦、国内カップ戦、欧州カップ戦に出場しているのと変わらない。カンテは、今シーズン、中東のクラブで充実した選手生活を送り、その成果をこの試合でも発揮し、前半はパス成功率100%を記録した。

■前半終盤にようやく得点を決めたフランス

 試合は三色のユニフォームのフランスが赤いユニフォームのルクセンブルクを圧倒した。6分にはムバッペが枠内にシュートを放つが、ルクセンブルクのGKにキャッチされる。フランスが一方的に攻めるが、ここに立ちはだかったのがルクセンブルクの主将のDFローラン・ジャンである。7年前にフランスと引き分けた試合にも出場しており、代表出場数は100を超える。フランスは攻め続けるものの、なかなか得点をあげることができず、前半も終盤を迎えた。左サイドでボールを受けたムバッペがルクセンブルクの2人がかりのマークを外してクロスを上げる。コナテは届かなかったが、奥に構えていたコロムアニがヘディングで合わせる。ヘディングシュートがゴールに吸い込まれ、フランスは先制する。

■代表デビューのブラッドリー・バルコラ、キリアン・ムバッペのゴールをアシスト

 後半に入ってもフランスは試合を押し気味に進める。追加点は70分であった。ルクセンブルクの組織的な守備に手を焼いたフランスは、CKでグリエズマンがショートコーナーを選択し、目の前のムバッペにパス、ムバッペはペナルティエリア外でフリーとなっていたジョナタン・クロースにパス、これをクロースが豪快にミドルシュートで2点目をあげる。
 80分にはベテランのオリビエ・ジルーと代表デビューとなるブラッドリー・バルコラがピッチに入る。ジルーは37歳249日での出場となり、スティーブ・マンダンダを抜いて最年長出場記録を更新した。一方、バルコラは84分にルクセンブルクの守備の要のジャンからボールを奪って、ドリブルで駆け上がり、中央にクロスを上げる。このグラウンダーのボールをムバッペがスライディングしながら身体を伸ばして右足でシュート、ゴールに吸い込まれる。
 フランスはムバッペが3得点すべてに絡み、3-0でルクセンブルクを下したのである。(続く)

このページのTOPへ